マダガスカル旅行記(2013/10) (1)はじめに/1日目
10月の後半に6泊8日のマダガスカル・ツアーに参加しました。
冗長な旅日記で、8回の連載にしています。
1回目の記事です。
-------------------------------------------
はじめに:
マダガスカル、と聞いて思い浮かぶのは、CGアニメ映画『マダガスカル』(2005年)や、繰り返しテレビ番組などで見た、アフリカのインド洋に浮かぶ大きな島で、そこにはバオバブの並木があったり、針金のように細長い中指を持つアイアイが棲んでいて、また横っ飛びに走るレム-ル(Lemurs:原猿類)のシファカが暮らしていたりなど、独特の(豊かな)自然を紹介した映像くらいしかありません。
ただ、現在、かつては国土のほとんどを占めて特異な生態系を育んできた森林が、ご多分に漏れず、開発のため切り開かれ(森が)激減してしまった結果、それらの希少な生物固有種が絶滅の危機に曝されつつあるということです。
そして希少生物固有種を絶やさないため、それらの保護と同時に自然保護活動にも、日本をはじめ国際的な協力が続けられているということでもあります。
そのような現状が皮相的ながらも、一目見えるかなということで、今回初めてのマダガスカル・ツアーに参加しました。
マダガスカル共和国は巨大なサツマイモ型の本島に、わずかの島々があるだけですが、その面積はフランスより少し大きい面積58万7,000平方キロメートルで、日本全土の約1.6倍、グリーンランド、ニューギニア、カリマンタンに次ぎ世界で4番目に大きな島。
そしてフランス植民地時代を経て 1960年6月独立。人口は約2,130万人(2011年現在)で、およそ18ほどの民族が存在し、主食は米。首都はアンタナナリボ。
ほとんどが南半球の熱帯で、地形の多くは高原丘陵です。首都の近くには最も高いところで2,634mのアンカラチ山脈が走っています。
そしてこの地形は恐竜時代の2億年前には既に決定されていました。
日本列島の骨格が2,000万年前の中新世に形作られたことを思えばその古さは歴然。
ゴンドワナ大陸はおよそ3億年前の古生代から、1億年前の中生代にかけて南半球に存在した超大陸でしたが、マダガスカルはその超大陸の中心に位置していました。
この超大陸は中生代に次第に分裂をはじめ、マダガスカルはジュラ期後期の1億6,000万年前にアフリカ大陸から離れ、それ以降は広大なインド洋に隔てられて孤立した島となりました。
その結果として、他の地域と全く異なる独特の進化をした生命世界が形成されてきたのです。
全世界の植物および動物種の5%(25万種)がこの島に生息・生育していて、その大部分がマダガスカル島固有種なのだそうです。
ただ、そのような生き物の歴史の中に人間が加わるようになったのは1世紀前後で、ボルネオ島から航海カヌーでインド洋を横断して移り住んだのが初めてと考えられていて、世界の島々の中では最も遅いということです。
そしてその時には人間たちは既に農耕文化を持っていました。
このことが、それまでマダガスカルに形成されていた独特・固有の生物の生態/生存/存続に大きな影響を及ぼすことにもつながったのでした。
もちろん人間が生態系に重大な影響を与え続けて来たことは地球全域にあって、何もマダガスカルに限ったことではありません。
今は、自然環境に対して「人の活動が地球規模で影響を与えている」ことはもはや世界の人々の共通認識です。
むろん地球上に暮らす人々の生活があります。環境を維持・保全しながら生活も守るために、ひとり一人が考え、行動することがますます必要になっていることをあらためて感じてきました。
現在のマダガスカルは、その豊かな生物多様性にもかかわらず、2000万人を越える住民の多くは貧困に直面している世界最貧国の一つでもあります。
そして現地を訪問して初めて知ったのですが、10/25と間近に迫った大統領選挙を控えていた街中は、激しい選挙運動の真っ只中にありました。
マダガスカルは18部族からなる部族社会で、6つの自治州があり、その国家運営には多くの課題や困難があるようですが、民主的で等しく希望のある国に発展してほしいと願うばかりです。
そのように、まず人の生活確保が最優先という状況を別にすれば、現時点では、全霊長類の36%(5/14)を占めるレムール(原猿類)の保護や、生息環境の保全は、さらなる種の絶滅を防止するための最優先課題になっています。
今からでもしっかり対応していけば、マダガスカルの自然は、まだ助かる、のでしょうか。
(ボーッとしてこのまま経過すると、人間という種も同じ経過をたどりますよ、という警告でもあるとされているのです。自然に過酷な人間という種が先に滅べば(~_~;)、喜ぶ生き物は多い気もするのですが・・・。)
※参考:
マダガスカルで1999年以降の約10年間に発見された新種は615種で、その多くが既に絶滅の危機に瀕しているそうです。(→WWF 2011/6 報告書「宝の島:マダガスカルの新たな生物多様性」*)
*WWF Japan: http://www.wwf.or.jp/activities/2011/06/992506.html
(ハイパーリンクはしておりません。ご覧になるには上記URLをブラウザに”コピー、貼り付け”してアクセスして下さい。)
なお報告集(全文PDF(4.3MB))は、記事中に紹介されている)、リンク:Treasure Island: New biodiversity in Madagascar(宝の島:マダガスカルの新たな生物多様性)からダウンロードできます。
その他:
*「マダガスカルがこわれる」 藤原幸一(著) ポプラ社(2010.5.14刊)
*「マダガスカル アイアイのすむ島」 島 泰三(著) 草思社(2006.3.30刊)
(島さんたちのおかげで、現在、アイアイは上野動物園・アイアイの森施設で観察することができます。)
*「マダガスカルの動物」 -その華麗なる適応放散- 山岸 哲 (編) 裳華房(1999.6.20発行)
******************************************
※ここからは実際の観光旅日記です。
但し、上記は旅日程計画をそのまま記載していますが、現地到着後、当日になって予定ががらりと変更になったりして、先進国とは相当ワケが違うこともあらためて理解しました。
1日目:
成田発→乗り継ぎ地タイのバンコクへ。(約6時間30分)
15時30分、バンコク着。
(見えているのは乗り継ぎのマダガスカル航空機)
その後、マダガスカル航空に乗り換え、首都アンタナナリボへ。(所要約8時間35分)
22:30着後、空港内の両替所で両替。
当日の交換レートは、1円=21.05アリアリ(ARIARY) → 100アリアリ=4.75円
両替した現地通貨「アリアリ」の少額紙幣です。
(前後しますが、ほしかった記念切手が買えなかったため、使い切れなかった小額紙幣を代わりに持ち帰りました。全額で約180円分です。なお最高額紙幣は10000アリアリでした。
ちなみに日本までの郵便はがき切手代は1700アリアリ(約80円)でした。)
紙幣両面に、マダガスカルを象徴する自然風景や文化遺産、産業、動植物などがデザインされていて気に入りました。(それにしても桁数が多すぎます。)
その後、迎えのツアーバスで空港近くの宿泊ホテルへ。
なお今回の旅では、添乗員Aさん、スルーガイドJさんとアシスタントNさん、そしてドライバーSさんのお世話になります。
ホテル到着午後11時30分。
部屋はきれいでゆったりしていて、一見、宮殿の寝室かとも思えますが、蚊除けのための立派なカヤです。
事前の案内にあったとおりで、少ないものの、やはり蚊が飛んでいました。
持参した蚊取線香をつけて、こちらも事前に可能性ありと言われていたとおり、お湯の出ないシャワーを浴び、明日の準備をして、午前0時半頃就寝。
蚊取り線香をつけての就寝は初体験で、臭いが気になり、また暑くてうとうと。
| 固定リンク
「海外旅行」カテゴリの記事
- 2010/10北京ツアー(4,5日目)(2011.07.01)
- 2010/10北京ツアー(3日目)(2011.07.01)
- 2010/10北京ツアー(2日目)(2011.07.01)
- 2010/10北京ツアー(1日目)(2011.07.01)
- シルクロード(ウルムチ・トルファン・敦煌・西安)をめぐる旅(完)(2016.04.27)
「自然」カテゴリの記事
- ムラサキシジミ(初見)(2018.03.28)
- ムラサキシジミ(2010.03.13)
- 五月(2008.05.01)
- ツクシ、胞子と弾糸の運動(2010.03.12)
- サクラにヒヨドリ(2018.03.11)
コメント