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2014年4月 1日 (火)

蚕影神社(養蚕の神様)

 春本番。エイプリルフールの初日。
 あまり関係ない記事ですが、“嘘のような本当の話”です。

★蚕影(こかげ)神社/養蚕の神様:
 所在地:
  〒300-4211茨城県つくば市神郡1998番地 (旧・筑波街道の筑波山麓、田井地区)

※実は約1年前の話です。
 調べ物でネット上を伝い歩きしていて偶然 “蚕影神社”なる記事に遭遇しました。
 もとより神社仏閣について素養も特別の関心も在りませんが、何だろうと暇ついでに少しばかりネット情報をハシゴして見ました。
 その結果、
 ・蚕影神社は筑波山麓に鎮座すること。
 ・今は訪れる人も少ない「養蚕の神様」であること。
 ・本殿は三間社流造りで、創建は926(延長4)年とされていること。
 ・そして、養蚕について記された天竺国の「金色姫伝説」が残るなど、日本の絹の発祥の地といわれ、北は岩手県、南は長野県まで、各地に同名の神社があり、分霊が勧請されていること。
 ・現在も、毎年3月28日に筑波山神社の神主さんによる、神事「蚕糸祭」が、そして10月23日には蚕影神社秋の大祭が執り行われていること。
 (なお、筑波山神社と蚕影神社は姉妹の関係にあり、蚕影神社が姉、筑波山神社は妹に当たるということ)などが、予備知識として得られました。

 そこで、現地までさして遠くはないので、車でふらりと探訪してきたのです。
 事前の情報では、長年、風雨に晒されて建物の傷みが進み、さらに加えて先の東日本大震災、その後の台風などの被害で石段や石垣の一部も崩れたりしたままになっているということでした。
 実際のところ、社殿に関しては、拝殿だけはさほどではありませんが、特に奥の院(本殿部分)の傷みはひどく、一応記録写真は撮ってきましたが、整理もせずそのままになっていました。

 本記の終わりに、遅ればせながら過去ログとして纏めることにしたきっかけを記しましたが、お蔵入りにならずに、ようやく記録にしたものです。
 当然ながら、記録写真は最新の様子を表すものではありません。あるいはその後、修復等が進んでいれば良いのですが。

※蚕影神社、初めての訪問(2013.4.12):
 古くなったカーナビ検索に住所を入力しても当該神社は表示されませんでしたが、ともかくその住所を目的地にセットして出発。
 大分近くなったあたりで、対向車が来るとすれ違いできない狭くて曲がりくねった田舎道になり、一度、近くの工事現場で作業休憩中の人に、行く先と駐車場の有無を訪ねました。
 そのまま行けば良いこと、駐車スペースは在るはず、とのことで安堵。
 ほどなく道路の行き止まりになり、目前が蚕影神社の入り口でした。
 行き止まりの左の建物は蚕影神社のお札授与所だそうですが、その時は無人になっていてカーテンが引かれていましたので中の様子はわかりません。
 在ると聞いていた駐車スペースは見当たらなかったため、やむなく行き止まりの狭い路隅に駐車。車はもちろんのこと、人影も皆無でした。

 
①参道入り口左に「蚕影山 湧水の滝」の表札が立ててある池があり、正面石段脇に、蚕影神社・案内板がありましたので、とりあえず確認してから登ります。
 (以下の画像はクリックで拡大します。1

 
②所々傷んだままの石段を登り、途中3ヵ所の鳥居をくぐりぬけて行くと、標高200mの蚕影山の北西中腹にある神前に着きます。
 (左手に社務所がありますが無人でした。普段、人はいないそうです。)Photo_3

 
③さして広くない境内には、正面に社殿があり、「日本一社蚕影山」の扁額が掲げられた拝殿・幣殿そしてその奥に続く奥の院(本殿)の造りになっています。
 そして右手には額堂(絵馬堂)/休憩所があります。
 絵馬堂軒下の内外周囲には、戦前、養蚕産業が日本の外貨獲得の源として隆盛を極めていた時代に、全国の養蚕業者から、奉納された絵馬や寄進された奉銘板が飾られていました。
 それらの1つずつを丹念に判読していくと、直接的関わりは無いものの、まったく無縁でもなかった往時の養蚕業の活況を、どこか懐かしく思い起こしたことでした。Photo_4

 
④そして絵馬堂内側には、入り口の神社案内板にも記してあった、知る人ぞ知る『金色姫の伝説』をモチーフにした彩色額絵が掲げられていました。
 垂れ壁の内側に掲げられているため、外側ほどに直接の風雨に晒されることが少ないからでしょう、まだ彩色が残っています。往時はすばらしかったでしょうね。
 「奉納」の下に「長野縣信濃國小縣郡神川村大字国分 國分蠶業會社員 蚕種製造人 山邊六兵衛」と墨書の文字が読み取れました。4

 
⑤最後に拝殿奥に続く三間社流造りの本殿をぐるりと回ってみました。
 足元も悪く、建物はすっかり寂れて痛みがひどく、手入れされた様子もあまり窺えませんでした。

 余談ながら、途中の地面に、風雨に晒されて色あせた天蚕/ヤママユの繭が一つ、砂にまみれて落ちていました。
 拾い上げて汚れを落としてみると、穴はあいていなかったので、途中でダメになった繭だったようです。
 これも何かの因縁だったのでしょうか。5l

 神社拝殿の唐破風(棟飾り)に「蚕」の文字があるように、この神社は「養蚕の神様」として全国からたくさんの養蚕関係者/信者の人々の参拝があり、大層賑わっていたそうです。
 しかし養蚕業の衰退と共に神社を信仰する人々も少なくなり、現在は、神社境内は傷みが進んで行くままになっているとは事前に承知していました。
 実際にその通りで、”妹”とされる今日の筑波山神社の盛栄ぶりに較べると(較べること自体に意味が無いのでしょうけれど)、”姉”の凋落振りはいかにも残念な気持ちになりました。
 日本養蚕業の衰亡とともに歴史の表舞台から退場し、それにつれてこの蚕影神社も人々の記憶から遠のいていくことはやむを得ないことと思います。
 しかし”伝統文化”としての光は小さくても維持していかなければならないものと、単なる”カイコ趣味”だけではなく思いつつ、人気の無い神社を後にしました。

※出かける前に参照した記事です。
(リンクはしておりません。ご欄になるにはURLをコピーしてブラウザに貼り付けてアクセスして下さい。いずれも2014.4.1現在の確認)

①一般財団法人 総合科学研究機構 CROSST&T No.45(2013.10) p11-14.「つくば市蚕影神社にみる養蚕信仰」:
 http://www.cross.or.jp/img/CROSSTT-45.pdf

②花と山を友として:金色姫伝説の蚕影神社を訪ねて: 
  http://blog.goo.ne.jp/kurikoma_333/e/ffe5081f6cefb3c5f3d77775330e7e60

③蚕影山神社 蠶影神社:
  http://www.kasumigaura.net/usr/mizukusa/Kasumigaura/page/A0609.html

④蚕糸・織物関係の記念碑・遺跡・歴史的建造物等:蚕影神社
  http://www.nias.affrc.go.jp/silkwave/silkmuseum/ITKokage/kokage.htm

⑤神社探訪:蚕影山神社:
  http://5.pro.tok2.com/~tetsuyosie/ibaraki/tukubasi/kokagesan/kokagesan.html

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※話変わって、『皇后陛下のご養蚕』:
 はじめに記したように、本末転倒しましたが、実はこの記事を残す気持ちになったきっかけは (こちらもいささか旧聞になりました。ご覧になられた方もいらっしゃるでしょうが)
 『皇后さまの養蚕 初の映像を公開』という、去る2月14日5時47分からのNHKテレビニュースの報道でした。
 現在、身近で見るにも知るにもほとんど機会が無くなった「養蚕」ですが、報道された内容は自然科学映像としてもすばらしく、天蚕などについても触れられています。

 内容は、下記URLの政府インターネットテレビ 皇室チャンネル『2014/02/14皇后陛下のご養蚕』(映像時間30分)で見ることが出来ます。
(ご覧になる時は、URLクリック数秒後に映像がスタートしますが、画面右下の「拡大アイコン」をクリックしてフル画面にされることをお勧めします。)
 http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg9310.html
 (URLは2014.4.1現在確認済み)

 なお余談ながらDVDも頒布されましたので、すぐに求めて繰り返し鑑賞してしまいました。R0070432

(参考までに記載:平成26.2.14発売「皇后陛下のご養蚕」DVD 30分:価格1,500円+送料500円、但し2014.2.14現在) で頒布されています。問い合わせは下記まで。)
「財団法人・菊葉文化協会」:http://www.kikuyou.or.jp/dvd.html

※補足参考付記:
①天蚕/ヤママユガ(ヤママユガ科):
 ヤママユ(山繭))はヤママユガ(山繭蛾)またテンサン(天蚕)とも呼ばれる日本在来の代表的な野蚕で、幼虫は全国のクタギ、コナラ、カシワ、シラカシなどの落葉性雑木林に分布し、葉を食物として生息しています。
 (なお成虫は口が完全に退化していて、蛹化以降は一切摂食しないで活動後に命を終えます。)
 この繭から取れる絹糸は「天蚕糸」と呼ばれ、淡緑色で、独特の光沢と優美な風合いを持ち、カイコ(家蚕)の絹糸より光沢があり手触りも良く、またその希少性から「繊維のダイヤモンド」と呼ばれているということです。
 http://www.nias.affrc.go.jp/silkwave/hiroba/Library/tensan/tensan.htm

②天蚕は昔から一部の地方では飼育もされていて、現在も長野県安曇野市(旧穂高町穂高有明地区)のものは「穂高天蚕」として有名で、有明山麓の天蚕飼育林は同市の観光スポットにもなっています。
 http://www.city.azumino.nagano.jp/kanko/jiman/tensan.html

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