キジバトの巣立ち
キジバトは市街地でもごく普通に見かけられる身近な野鳥です。
時には自宅前の通学路に面したご近所のTVアンテナや、電線ケーブルなどに止まって、”クックーポーポー“と鳴いています。
去る9月初旬、わが家のイヌマキの樹に”つがい”らしいキジバトが1羽ずつ交互にやってくるようになったのに気がつきました。
丁度果実が稔っていた時期でもあり、はじめはその実をついばみに来ているのかなとも思っていました。
しかしその後も2羽一緒には来ないで、目にするのは常に1羽。
どうやら巣作りのためではないかと思うようになりました。但し、茂みに入りこんでしまうので、どちらの個体が何をしているのかを具体的に確認したわけではありません。
お隣の奥さんからも、朝方、彼女が2Fベランダで洗濯物を干している折に、”しょっちゅうお宅の木にきているわよ”、とも教えられていました。
その後も、リビングから成鳥が頻繁に去来を繰り返していることは垣間見ていましたが、それ以上に関心を払うこともなく過ぎました。
そして10月初旬も終わりかけた日(10/8)のこと、リビングからふと視線を向けたイヌマキの頂部で、一部の小枝が風も無いのに間欠的に小刻みに揺れ続けていることに気がつきました。
●2羽の雛確認:
あるいはキジバトのひな鳥がいるのではないかと、初めて双眼鏡を持って外に出て、少し離れたところから見上げながらしばらく観察してみると、やはりもうかなり大きく育ったひな鳥が2羽いることを確認したのでした。
葉の茂み奥はまったく見通しがきかないので、なかなか存在が確認できませんでしたが、葉先が小刻みに揺れるあたりを注視していた双眼鏡の視野に、僅かな葉の隙間からほんの一瞬、白いうぶ毛の生えた一羽のひな鳥の頭部が見え、更に“ドアップ“の目玉が見えたのです。これが1羽目。
そして隣に並んで、白い糸状になったうぶ毛残っていますが、雌キジに似たウロコ模様の羽になった2羽目も確認できました。
・巣の真下近くから:
小枝の巣(材)の位置は確認できましたが、雛は隠されていてまったく見えません。
・少し離れたところで、斜め横下から覗いてみると、葉陰に2羽の雛が確認できました。
(画像はクリックで拡大します。)
・次いで、2Fベランダの洗濯物干し場から見下ろしてみました。
巣はその位置からは完全に死角になっていて、何も見えません。
日常的に洗濯干し物を出し入れしている家人がまったく気付かなかったのもこのおかげでしょう。
そして物干し台をくぐってベランダの端っこまで行ってから望遠レンズで覗いてみると、見下ろす先、僅か180cmほどの茂みの奥に2羽の雛がいて、1羽はもう十分大きくなった巣立ちも近いように見える個体で、もう1羽はまだ頭部には白いうぶ毛がたくさん残り、羽色もまだ灰色が残る個体の存在を確認できたのです。
・それから数日後の朝方、親鳥が1羽飛来したのがリビングから見えたので、窓越しに望遠で覗いてみました。
葉の奥にピント合わせが出来なくてピンぼけながら、親鳥、そして雛2羽が確認できました。
その数日後から雨降りの日が続くようになりました。
ある朝、玄関先で雨傘をバサッと開いたら、茂みから親鳥が飛びだしていきました。
翌朝も雨。そして近くから“クックーポーポー”と盛んに鳴きつづける親鳥の声が聞こえていました。
その次の日も、同じように近くから鳴き声が聞こえ、小雨の中、玄関先まで出て見ると、親鳥が電柱に止まっていたのです。
その日はまだ巣に雛鳥がいるのを確認しました。
■そして今朝(10/14)、やはり降ったり止んだりの小雨で冷え込んでいましたが、巣には雛鳥の姿はありません。
旅立ちには不向きな小雨模様の中、無事に巣立ちしていったようです。
親鳥の声も聞こえてはきません。
カラスや近隣を徘徊している野良猫などの被害に遭わないよう、元気で暮らして欲しいものです。
最初にキジバトの去来に気がついてから本日まで、およそ35日間が経過していました。
※キジバトに関するメモ:
繁殖期はほぼ周年で、1回に2個の卵を産みます。
抱卵日数は15~16日。抱卵は雌雄交替で、夕方から朝までの夜間は雌、昼間は雄が行います。
孵化後、雛は約15日で巣立ちします。
食性は雑食性で、果実や種子や、昆虫、ミミズなどを食べています。
繁殖期間中には雌・雄共にピジョンミルク*を吐き戻して雛に与えて育てるため、親が餌を食べられる限りは、周年いつでも繁殖期となり子育てが可能になります。
*ピジョン・ミルク(pigeon milk、鳩乳の意)は鳩の仲間が、繁殖育雛する期間中に、素嚢の内壁から分泌される高タンパク・脂肪性の液体で、それを吐き戻して、子に与える素嚢乳。
ハト以外にフラミンゴにも見られるとのこと。
・余談:
10年以上前のことになりますが、やはりイヌマキの樹上でキジバトが巣作りをしていた事がありました。
その時点では特に観察などはしていませんでしたが、晩秋になって、刈り込み剪定をしていた際に、水平に張りだした枝の上で平皿状に小枝を敷き詰めた巣があるのを見つけたことがありました。
巣は到ってシンプルなもので、小枝の巣材をあちらこちらへ引き回してうすく一重に敷きつめたもの。親鳥が坐れば、尾がほとんどはみ出すほどの狭いものでした。
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