« ルリタテハ蛹にアオムシコバチ寄生② | トップページ | ムモントックリバチ、フタモンアシナガバチ、イボバッタ、ホタルガ、バン若鳥 »

2017年10月19日 (木)

ルリタテハ終齢幼虫に「タテハサムライコマユバチ(の仲間)」寄生

 前報の続き。

●先に無関係の別記録ですが、
 ・9/.28、別個体のルリタテハ終齢幼虫に寄生蜂2匹が乗っているのを見かけていました。(写真①) 
 その3日後(10/1)に、“風船に孔があいて萎んだように”干からびてぶらさがっていました。(写真②)原因は不明。92823101

 
●ここから、ルリタテハ終齢幼虫が「タテハサムライコマユバチ(の仲間)」に寄生されていた観察記録です。

 ・10/1:
  後日、画面左側の終齢幼虫が、すでにタテハサムライコマユバチ(の仲間)に寄生産卵されていたことが判明した個体です。
 この時点では幼虫体内で異変が進行していることは分かりません。101img_6296

 
 ・10/3:
  9月下旬までに、庭のホトトギスで終齢幼虫になっていた終齢幼虫7~8頭が残っていました。
  その中に、1頭の終齢幼虫が葉裏で、白い繭をかかえこむように体を丸めているのに気がつきました。
 なお、詳細なことは知りませんが、サムライコマユバチの仲間は、チョウの幼虫に産卵寄生し、寄生蜂の幼虫は宿主(チョウ)の体内で成長し、チョウが終齢幼虫の末期になるとその体壁などを咬み破って体外に出てから、宿主の体表などに繭を作り、その中で蛹になり羽化していくという。
 その間、終齢幼虫はあたかも繭を守るかのようにしながら、しばらく生存しています。

 (また、ここでも幼虫の体表にアオムシコバチ(の仲間)と覚しき寄生蜂が執拗に乗っているのも観察していました。)
 (以下の画像はクリックで拡大します。)Photo_5

 
 その後
 ・10/7:
 経過観察のために10cmほどの茎ごと切り取りました。107

 
 ・それを観察容器に入れる前に、繭に触ると、嫌がるように(写真①から順に⑥まで)大きく体をくねらしますが、再び繭を抱え込む姿勢にもどります。Photo_21

 あたかも体内に侵入したエイリアンが命令して、その様な行動を取らせているかのようで、こんな様子を目にするのは初めてのこと。

 ・観察容器は味噌の入っていた空容器です。 
 切り取った茎ごと、底に少量の水を入れた約600ml容量・方形の透明プラスチック容器に入れて、中央に錐(キリ)で2mmφほどのピンホールを開けた蓋をし、屋外の日陰に放置して経過を観察しました。
 
 それから一週間経過した、
 ・10/14:
 容器内にタテハサムライコマユバチ(の仲間)と思われる成虫が動き回っているのを目にしました。
 なお、この時、終齢幼虫は繭から離脱・落下し、容器底に長く伸びて(一部は水に浸かり)死んでいましたが、外見的に大きな変化は見られませんでした。
 終齢幼虫が繭をかかえている姿を見つけてから11日後のことでした。R0014956

R00149511014

 
 ・動き回る成虫。
 大きさ(体長)は約3mmで、触角が体長と同じほどに長いことがわかりました。Photo_3

 
 ・その後、殺虫剤を蓋のピンホールから注入して殺処分してから蓋を開け、底に集めてからすべてを取り出して計測と情況確認をしました。
 その際に1個の蛹(らしいもの)も見つけました。(写真左中央付近の棒状のもの)
 発生していたタテハサムライコマユバチ(の仲間)成虫数は意外に少なく、22匹でした。R0014969221

 
 繭の外観(写真①、②)からは、およそ50個の蛹が入っていたように見受けられますが、羽化して出てきた成虫の数はその半分程度という結果です。Photo_4

 底に少量の水があり、蓋にピンホールしかないプラスチック容器内の温湿度は観察時の自然環境に比較すれば高温多湿状態の過酷条件だったと思われます。
 そのせいか否か分かりませんが、観察後に貼り付いていた葉から取り外した繭はとても硬く変質していました。
 中を確認しようとくっついていた葉から外して、カッターナイフまた、更に鋭利な安全カミソリの刃で半分に切ろうと試みましたが切れませんでした。(写真③葉についていた部分に僅かな切り傷)
 そのため、半分くらいが羽化出来ないで蛹のまま残ってしまったのかどうかは分かりません。

 なお、「蛹」に寄生したアオムシコバチ(の仲間)に較べて、「終齢幼虫」に寄生したタテハサムライコマユバチ(の仲間)の体長は同程度の3mmほどですが、触角は体長と同じくらい長く、翅には黒い斑紋があることで明確に識別できました。

 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

※蛇足:
 今回の一連の観察記事まとめ:
 9月初旬、ホトトギスの葉に若齢(2齢くらい)幼虫が30頭程度いるのを見つけた。
 初齢幼虫が蛹になるまでの平均的な期間の、およそ2~3週間を過ぎた9月末になって残っていたのはおおよそ終齢幼虫と前蛹で7~8頭、蛹は8頭ほどになっていた。
 なおその時点では(羽化した)蛹の抜け殻などは見当たりらなかった。  
 幼虫のおよそ半分は、事故に遭ったか何者かに食べられたか、あるいは蛹になる場所を探して何処かにいったのか、ともかく行方/経過不詳になっていた。  
 大量発生する害虫・毛虫(蛾の幼虫)なども、最終的に生き残るのは少数だから、同じことのようだ。   
 10月になって、すでに標準的な蛹化、また羽化時間が経過していても、終(5)齢幼虫のまま、また前蛹のままで、さらには、蛹になっていたものも一向に羽化する気配がなく、黒くなっているなどのおかしな情況が見られた。
 そして、初めてのことだったが、その後の経過観察で、様子がおかしかった幼虫や蛹の中には、2種類の寄生蜂に侵襲されて異変を起こしている個体があったことがわかった。
 ・1種は「アオムシコバチ(の仲間)」で、隣り合ったホトトギスの茎で蛹になっていた2頭の個体【1頭は9月18日、異常に長い間(74秒)激しく体を振る黒っぽくなっていた個体(写真及び動画撮影)で、他の1頭はその隣にいた蛹で、翌9月19日に終日寄生蜂がまとわりついていた個体】が寄生産卵していた事。

 ・2種目は「タテハサムライコマユバチ(の仲間)」で、いつまで経っても終齢幼虫のままで経過していた1頭の幼虫が、10月3日になって、白い繭に覆い被さるようにしていた姿を見つけ、それが本種に寄生された姿であった事が、観察結果から判明しこと。

                - 完 -

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■参考:

※鮮明な画像の関連記事
  http://net1010.net/2010/10/post_1857.php

※寄生蜂の解説 (名城大学農学部昆虫学研究室 山岸健三)
 http://www-agr.meijo-u.ac.jp/labs/nn006/entomol/parasitic-wasp.pdf

|

« ルリタテハ蛹にアオムシコバチ寄生② | トップページ | ムモントックリバチ、フタモンアシナガバチ、イボバッタ、ホタルガ、バン若鳥 »

昆虫」カテゴリの記事