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2018年5月 5日 (土)

エゴツルクビオトシブミ揺籃づくり

 2018/4月中旬、散歩がてらに出かけた自然林保全地で、エゴノキの小木にエゴツルクビオトシブミの姿を見つけました。
 居たのは頭のすぐ上ほどの枝で、手を伸ばせばたぐり寄せられる位置。
 そして、ちょうど揺籃作り作業を開始したばかりで、葉の片側からの切り込みを始めていたところでした。

 枝をそっと引き寄せても、作業を中断したり、逃げだしたりはしません。
 ただ、時折吹く風で、片手でたぐり寄せた枝先のオトシブミがいる葉は大きく揺れるし、時には葉がオトシブミごと裏返しに吹き上げられるようなこともあって、観察にはあまり適した状況ではありませんでした。
 しかし作業を始めたオトシブミは動じる様子はまったくなく、作業を継続しています。

 そこで、過去に何回か観察記録もあるので新味はありませんが、今回はつききりではなく、適当な間を置きながら、風が止んだ時などに片手で枝を引き寄せ、片手のコンデジで撮影した画像の中からを選んで以下の記録としました。

■揺籃を作っていたのはこんなところ。.(am11:27撮影)
 林縁のエゴノキ小木で揺籃作業中。葉の二つ折りがほぼ出来上がりつつあります。
 黄色円内→にいるのが今回主役のエゴツルクビオトシブミ♀です。
 (以下の画像は全てクリックで拡大します。)1

 
■観察経過記録:

 今回の観察例では、葉の切り込み開始から揺籃完成までの所要時間はおよそ70分と推測しました。

●揺籃作製経過観察記録:

 ・am11:09 観察開始。
 葉の片側からカットをはじめ、1109

 
 ・am11:10
 主脈には切り離さない程度の咬み傷をいれました。1110

 
 ・am11:12
 さらに主脈を跨いでその先へと切り進み、後に揺らんをぶら下げるための部分を残してから、再び主脈まで戻ってきました。1112

 
 ・am11:14
 先に傷を入れた主脈の切れ目をもう少し深くする咬み傷を慎重に入れてから、”首の皮1枚で”つながっているのを確認して、これで裁断作業は完了になりました。
 ここまでの所要時間は5分でした。1114

 
 ・am11:15~11:33
 葉の裁断を終えてから葉裏に回ります。

 それから延々と、およそ20分以上の時間をかけて、揺籃を作りやすくするために葉の”柔軟加工“作業が行われました。
 揺籃作製に選んだ新鮮で柔らかい葉には弾力があります。
 そのため1度挟みつけただけでは、すぐにもとに戻ってしまうなどして、揺籃作りの際にはこの弾性が障害になるのです。
 葉の裁断を終えた後の揺籃成形行程では、まず葉の主脈を折り目にして(葉表を基準にして谷折りに)合わせ折にします。
 次いでその2枚合わせになった葉の下端からロール状に巻き上げていくのです。
 そのために、まず”柔軟加工“が必要なのです。

 葉の柔軟化という具体的な行動は、揺籃にする部位の葉を頑丈な脚で“挟み込む”ようにして撓めながら、直ぐに戻らないように葉の所々の葉脈に咬み傷を入れて、葉の弾力を削いでいくという仕事を繰り返してまんべんなく行うという、根気の要る作業なのです。
 
 ・am11:15~171115

 
 ・am11:17~19111719

 
 ・am11:21~241121248

 
 ・am11:24~2711241027

 
 ・am11:27~33まで。11272

※am11:33まで現地に居ましたが、まだ同じ作業が繰り返し続く様子なので、この後はニンゲン様の休憩のため現地を離れました。(オトシブミ様は本当にお疲れ様なのです。)

 
 ・pm12:03
 (柔軟化作業が始まってから48分後)に戻ってみると既に2枚合わせにした葉の下部から揺籃の巻き上げ作業が進んでいるところでした。
 (このため、柔軟化作業が何時終わったのかは、不明です。)
 巻き上げ作業工程では、巻き上げをはじめて数回目の小さな“揺りかご”に産卵がおこなわれます。
 “揺りかご”の一部に咬み傷の穴を開け、産卵管を差し込んで卵を産みつけてから、更に巻き上げていくのです。
 残念ながらその段階は既に終わっていて、せっせとさらなる巻き上げにがんばって居るところでした。

 この間も相変わらず風が吹き、枝が吹き上げられたりしますがお構いなしに働きます。
 お手伝いしてやりたいほどでした。

 ・pm12:03~11まで。1203

1203_2

1203_3

※ pm12:11まで見ていましたが、まだ半分以上の巻き上げが残っていて、しばらく時間がかかりそうだったので、再び怠惰な人間は30分ほど休憩に離れました。

 ・pm12:39 戻って見ると、さぼっていた間に既に揺籃は完成していて、傍にはオトシブミの姿はありませんでした。(このため揺籃完成時間は不明です。)
 完成した揺籃はなかなか立派なものでした。1239

■葉の切り込み開始(am11:09)から揺籃完成(pm12:11~12:39の間)までの推定所要時間は70分ほどでした。

 今回の観察例では過去の観察例とは少し状況が異なりますが、かなり長い時間がかかったようです。

 
 ・過去のエゴツルクビオトシブミ揺籃作製観察記録:
1) http://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/20154-c4f2.html
2) http://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/-120155-d7fb.html
3) http://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/-2120155-8644.html

 なお余談ですが、揺籃内部に産みつけられた卵から孵化した幼虫は、揺籃内部を食べながら成熟し、蛹になり、そして脱皮し成虫になってから、揺籃壁に穴を開けて外界に出てきます。状況にもよりますが2~3週間くらいかかるのでしょうか。

※エゴツルクビオトシブミ(オトシブミ科オトシブミ亜科):
 エゴノキ属のエゴノキやハクウンボクに寄主特異性を持ち、それらの葉上で見られる。
 光沢がある黒色のオトシブミで♂は首が長く、♀は葉を巻いて揺籃を作る。
 大きさ♂7~8mm、♀5~6mmの小型種。
 出現時期は4~8月、分布は日本各地。

 この小さなオトシブミに対抗できる、『最先端人工知能組込みロボット・オトシブミ』を作ることは容易ではないでしょうね。

 
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■追記:

  ・なお、出来上がっていた揺籃の観察を終えた、その後しばらく後に、場所的には少し離れたところのエゴノキに、1匹のエゴツルクビオトシブミ♀(首が短い)が、葉の上をウロウロしているのを見かけました。
 一仕事終えた後の食事中の個体だったのでしょうか。412blg

 
 また更に長くなりますが、別の枝に先に出来上がっていたと思われるもう一つの揺籃を見つけました。
 写真を撮って確認したところ、やはり主脈を切り離さない作り方の揺籃で、上述の揺籃と同じ特徴を持つため、制作者は同じではないかと推定しましたので、追加しました。1

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