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2018年5月10日 (木)

カツラの花

●カツラ(カツラ科カツラ属):
 カツラの花に関しては既に何回か断片的には記事*にしていて新味はありませんが、改めて数年来撮り貯めた画像を処分するに際して、冬芽、雄花の開花、雌花の開花、結実のはじめ、また展開直後に観察される新葉の溢泌液(いっぴつえき)などについて再整理し、まとめの記録としました。

 公園に複数のカツラが植栽されています。
 雄異株で、高さ10~30mになる落葉高木。 
 散歩コースの公園では3月中旬から4月初旬にかけて、新葉の展開に先だって(雌株の)雌花、(雄株の)雄花が開花しますが、雄花の方が少し早めに咲きはじめます。
 (繰り返しですが、花の開花後に新葉の展開が始まります。)
 小さな花は遠目には目立たず気付かないことがありますが、関心を持って見ていれば開花の時期には樹全体がうっすらと赤味を帯びて見えるので気がつきます。
 (3/30撮影)330t

 同じ頃に咲く、更に小さく目立たないケヤキの花に較べればわかりやすいものですが。

 開花(~結実)の時期は個々の木により、また年度毎の気象条件などにより、10日間前後の変動があり、また同一個体でも、枝の位置、日照条件もなどでも変わります。
 一方、同一個体の花の寿命(紅色を保つ期間)は短くて、5日間ほどしかありません。
 また雄花が雌花に先行して開花するため、雌花のきれいな時に写真撮りに行くと、雄花は既に萎れるかダメになっています。
 そのため、少し早めの時季から観察を続けることが必要でした。

概要:
 花期は3~4月。雌雄いずれも花に花弁や萼はなく、(雄花は)雄蘂だけ、(雌花は)雌蘂だけで基部は苞に包まれた特異な形態です。

●雄花:
 雄花には20個ほど紅紫色の葯があり、大きさ5mmほどで、白い花糸が伸びて熟すと葯が開き花粉を放出して終わりになります。

 ・3/19:
 雄花の開花が始まっていました。部位によっては既に白い花糸が伸びだしている花もありました。319

 (なお同日、雌花はまだ蕾でした。後述。)

 ・3/30:
 白い花糸が伸びきり、葯が開裂して花粉を放出していました。
 更に進んで淡褐色に萎れた花がらも散見されました。330

 ・4/2:
 雄花が終わって展開した新葉には溢泌液の粒がきらきら光ってきれいでした。
 ”朝露”などと違って、気温が上る日中でも”消える”ことはありません。42

 
●雌花:
 雌花には紅紫色の雌蕊花柱が3~5本あり、柱頭は1.5cm程。

 ・3月19日(雄花の開花が始まっていた日)、昨年の果実のからが残る枝についた雌花は、まだ蕾のまま。319r0015508

 ・3/30~4/7:
 開花が始まり、その後4/7までには花柱が伸びきり、柱頭も、縮み始めて花の終わりに近づくとともに、脇から新葉の展開が始まっていました。
 雄花より5日ほど遅れての進展です。3307

 
●果実:
 花後に結実した若い果実は緑白色の長細い袋果で、大きさ1.5cmほどの円柱形で小さなバナナのような形をしていて、先に柱頭の名残がついています。

 ・4/25:
 樹木全体がきれいな若葉の新緑で覆われるようになり、その緑陰に隠れるように、黒っぽく糸状に萎縮した柱頭の名残がついた若い果実が形成されています。
 この頃には傍に行ってかき分けてみないと果実は見えないこともあります。425

 ・5/8:
 枝に残っていた昨年度の果実の殻は全て脱落してなくなり、多数できている青いバナナのような若い果実は、見る位置や角度によって見えたり見えなかったり。58

 (果実は)秋に黒紫色に熟すと裂開して翼のある小さな種子を散布します。
 種子散布後の殻は翌年春まで枝に残っています。

 ・3/29撮影:
 殻です。(秋に熟して種の入っている時の観察画像がありませんでした。)329

 すっかり裸になった冬の間には雄株、雌株の見分けが簡単にできます。

 
●葉:
 葉は卵形~広卵形で縁に波状の鈍い鋸歯があり、3本の長い脈(側脈の三行脈)が目立ちます。
 長枝では対生し、短枝には1枚つきます。
 葉身の長さは3~8cm、葉柄の長さ3cmほどで赤みをおびています。

 ・5/8:58_2

 ・春の新葉、秋の黄葉は美しく、また黄葉が進んで萎れる頃にはキャラメルや綿菓子のような甘い匂いがします。

 
●カツラ冬芽と葉痕・維管束痕:
 ・3/10:
 冬芽は三角錐形ないし円錐形で対生し、長さ3~4mmほど。
 芽鱗は2枚で無毛、赤紫色~赤褐色で、外の1枚の背面に割目がある。
 短枝では頂生芽が1個つく。310

                 -完-

*過去ログ:

 1) カツラ雄花の開花 18/03/26 :
  http://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-5928.html

 2) カツラ新葉の溢泌液 17/04/05:
 http://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/post-4492.html

 3) 晩秋の公園(2015/11) 15/11/20:
 http://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/201511-cb45.html

 4) カツラの雄花と雌花、エノキの雄花と両生花 15/04/13:
   http://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-5928.html

 5) カツラ、冬芽と葉痕・維管束痕2011年3月10日:
 http://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-1ed6.html

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