ミズオオバコ(2016/9)
●ミズオオバコ【環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)】*
2007年に初めて観察したことがあるミズオオバコ。
その後2014年にも、専門家に教えられて近くの生育地まで観察に行きました。
今シーズンも同じところにミズオオバコが花をつけているのを観察できました。
水田地帯の一角で、小さな農業排水路の限定された一角だけに生育しています。
少しの雨でもすぐに植物体全体が水没してしまったり、日照りが続くとほとんど干上がったりするような、必ずしも生育に適した環境ではなさそうですが、今のところ途絶えないで生残している様子です。
・9月初旬観察時:
一昨年前に観察した時に較べれば、生育株数はかなり少ない感じになっていましたが、水面を覆い尽くすほど浮き草が繁殖した中に花茎を持ち上げて、淡いピンクの花を開いていました。
水表面下にある葉の様子は浮き草に阻まれてよく見えません。
・9月中旬観察時:
水面を覆うように油膜が浮かんでいて、また水質悪化に伴うメタンガス発生と思われる気泡がたくさん発生している環境になっていました。
そのような水中から、果実波状の翼のある苞鞘に包まれた果実が付き出しているのも観察できました。
※ミズオオバコ(トチカガミ科):
(過去ログにほぼ同じ内容を書いていますが、繰り返し記載です。)
湖沼やため池、水田など富栄養の浅い水域に自生する沈水性植物で、1年草です。
かつては主要な水田雑草の1つでしたが生育環境の変化により生息・生育数は激減し、現在は環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類(UV)になっています。
春から夏にかけて生育し、葉は長さ10~30cm。水深によっては1mにも達するなど生育環境で大きく変化します。
開花期(8~10月)になると水面に花茎を伸ばして花をつけます。花は1日花で、直径3cmほどの白~淡いピンクの3弁花。
基本的に花茎1本から一つの花ですが複数の花を開花させることもあります。花は結実し終わると枯れ、花茎は縮んで水没します。
果実は長さ2~5cmで波状の翼のある苞鞘に包まれています。中に長楕円形で長さ約2mmの多数の種子が詰まっています。
種子が熟すと果実は再び水面に出て苞鞘が3裂し、水面に種子散布します。放出された種子は水面に浮遊しますが、後に水底に沈殿。
植物体は暑さには耐えますが寒さには弱く、土中に沈んだ種子で越冬して世代交代します。
なお西表島や東南アジアでは食用にもしているとのこと。
* http://www.env.go.jp/press/files/jp/28075.pdf
環境省レッドリスト2015の公表について
別添資料4)レッドリスト(2015)【植物Ⅰ(維管束植物)】絶滅危惧Ⅱ類(VU)ミズオオバコ
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