カニムシ(栃木県・大小山)
3月中頃の里山はまだ芽吹きも進んでいませんが、尾根筋のドングリが成る樹の落ち葉がふかふかに積もった所にはたくさんの土壌生物が住んでいます。
落ち葉を含む表土の生き物を観察しました。
センチュウ類がいっぱい居て気持ち悪いのを我慢しながら、80%アルコールに捕集された標本の、表面に浮いているトビムシ類と、捕集容器の底に沈んでいるものを調べました。
微細な土粒の間にカニムシが沈んでいるのを見つけました。
カニムシは、トビムシ等を捕食する肉食性の土壌動物で、トビムシがどんな劣悪な環境にも生息できるのに対して、自然の生息環境が変化すると急速に姿を消すため、”自然度”の指標になる生物です。
トビムシと一緒に作ったプレパラートで大きさを比較計測しました。
カニムシ(右下)は体長1.7mmでした。(ムラサキトビムシ(左上下)は2.2mm、ツチトビムシ?(右上)の小さいのは0.8mm)。
プレパラートにする前に直接観察したカニムシの腹面からの写真です。
体は円筒形で、四対の歩脚と、一対のよく発達した、体長と同じくらいの長さがある大きな鋏状の触肢、さらに頭部最前部に”鋏顎”と呼ばれる文字通りハサミ状の構造を有する大変印象的な姿をしています。
一度見ると忘れられません。
プレパラートにしたカニムシ。
プレパラート作製液の厚みがあるので長い足やハサミが不自然に変形してわかりにくくなっています。
上と同様、腹面からの写真。
プレパラートを裏返しにして、背面からの写真。
けっこう毛だらけですね。感覚毛だそうです。
ムネトゲツチカニムシに似ていますが同定は出来ません。
以前生きたままで抽出したカニムシは、捕集瓶の中を長いハサミを伸ばして振りながらそろそろと歩きまわり、何かがあるとハサミを体に引きつけてはねるように後退していました。
里山はまだまだ自然が豊かのようです。
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