オニフスベ観察
およそ2ヶ月前の9月はじめに、公園のケヤキ並木に下植えされたサツキの株元に、真っ白いボールのようなものが2、3個”落ちている”のが目にとまりました。
近寄ってみると直径20cm以上はあるオニフスベでした。
近くの落葉だまりにも別の、ピンポン玉くらいの小さい子実体が数個のぞいていました。
オニフスベは日本特産のキノコで、夏から秋、畑や雑木林に一夜にして巨大なボール状の子実体を形成するそうですから、膨らんでいくスピードはとても速いのですね。
一つ拾って帰り、風雨で転がっていかないように庭の木陰の窪みに据置いて、その後の変化を観察してみました。
観察初日①は中まで真っ白のようでしたが、3日経過後②は外皮と一部皮が剥けているところから見える内部が、まだらに黒っぽくなりはじめました。胞子の形成が始まったようです。
15日目③では、既に外皮は紫黒色になり一部剥離が生じていました。
内部も明るい焦げ茶色になっています。
30日後④には既にカラカラに乾いた様子でやや縮んだ印象です。
皮がだいぶめくれていますが球が崩れるような様子は全くありません。
指先でトントンと叩くと茶色の煙がポッポッと噴出しますので、中には胞子が充満していると思われます。
さらに2ヶ月を過ぎた先日、外観は雨で濡れると黒くなり、乾くと茶色になる繰り返しで、15日経過時点と様子は変わりません。
どうやら子実体の変化は早くに終わってしまっているようです。
そこでしびれを切らして大型カッターナイフを持ち出して半分に切ってみました⑤、⑥。
まず手に持つと非常に軽いこと、しかし変形するようなことはなく、丈夫なスポンジ球のような弾力がありました。
カッターの刃を当てると、(胞子の飛散で)煙が立ちのぼり、あたかも発泡スチロールの球を切るような感触で、サクサクと切れました。
中には空洞など全くなく、緻密なフェルト繊維の塊⑥のようでした。
カラカラに乾いてとても軽い半球⑦を、火ばさみでドン、ドンと叩いてみると、きわめて弾力性に冨み、ウレタンフォームのスポンジボールのようでした。
叩くたびに紫茶色の多量の胞子が煙のように舞い上がります。
スポンジは復元性に富み、すぐ元に戻ります。
フェルト繊維のような菌糸塊の一部を覗いてみると、弾糸と呼ばれる乾燥した菌糸組織と多数の丸いツブツブの胞子⑧が確認できます。
胞子には突起があるそうです。
この後さらに風雨にさらされると、乾燥した緻密な菌糸の絡まり(弾糸)がだんだんほぐれて中の胞子を飛ばし、やがて跡形もなく消滅する、ということですが、今の様子を見る限りまだ相当の時間がかかりそうです。
なお余談ですが、まだ白いボール状の幼菌の時期には、皮をむいて調理するとはんぺんのような触感で食べられるそうです。
味はまずくはないが、さりとて美味しいモノでもないとか。
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