小笠原ツアー:4日目午後、アカガシラカラスバト・サンクチュアリーから中央山を歩く
今日から7月。今年も半分過ぎてしまいました。相変わらずのスローペース、なかなか直りません。
ツアーの続きです。
小笠原の固有種で天然記念物のアカガシラカラスバトは、小笠原全体で30~40羽しか生息していないと推定されており、父島や母島には約20羽が生息していると考えられています。絶滅が危惧されるため、種の維持対策として東京都の上野動物園で人工増殖に成功しており、いずれは小笠原に戻すことも検討されているそうです。
この貴重なアカガシラカラスバトの生息環境に適した小笠原国有林・父島内の中央山・東平・植物群落保護林内に一定の区域が「アカガシラカラスバトサンクチュアリー」として設定されています。
サンクチュアリーはA,B,Cの3域にゾーニングされていて、Aゾーンは自然観察散策路、Bゾーンはバッファーゾーン(コアゾーンCを緩衝する役割の区域)です。Cゾーンはアカガシラカラスバトの生息する重点区域です。原則、人の立ち入り禁止区域です。
そしてBゾーン(バッファーゾーンまで立ち入るためには東京都認定自然ガイドの同行が必要です。今回は環境省自然公園指導員のプロ同行。
生息数自体がこのような状況で、また繁殖シーズンにはつがい形成のため集まりますが、その時期も終わりバラバラに分散しているため、今回のツアーではまず見られません、というガイドさんのお話。やむを得ませんが、その雰囲気だけでも、ということで、いざ出発です。
1)サンクチュアリ入り口まで:
夜明道路沿い、サンクチュアリ区域の近くで車を下りて、入り口に向かいます。その間にも固有種の植物がたくさんあります。
①オオバシマムラサキ(固):
紫色の小さい花がたくさん集まって咲いています。
②ソウシジュ(相思樹)(固):
島ではホタルの木、と呼ばれるそうです。黄色の毛玉のような花が満開でした。
③タコノキ(固):
タコノアシのように木根を広げる。オガサワラオオコウモリもこの実を食べるそうです。
④サンクチュアリー入り口案内看板:
区域の説明、立ち入りの留意事項など記されています。ガイドさんから説明を受けてスタート。(写真はクリックで拡大表示します)
2)Aゾーンの自然観察散策路を通り,Bバッファーゾーンに向かいます。
①散策路入り口にある案内看板
②タコズル(絞め殺しの木):
他の樹木にまとわりついて這い登っています。中にはもとの樹木が分からなくなるほどぐるぐる巻にしていて、これではやがて巻き付かれた木は枯れてしまうのではないかと思うほど。
絞め殺しノ木、と言われることに納得。
③シマホルトノキ(固):
絶滅危惧種。蕾と紅葉。いつも数枚の赤い葉があり、判別のよい目印。現在このバッファーゾーンの林内一角で植栽試験が進められていました。
④林野庁の看板:
サンクチュアリー入り口から約15分でBバッファーゾーンに到着。
3)広くて、整備された自然観察散策路から別れて、いよいよ自然林内の細い自然道を歩くバッファーゾーンに入ります。
①入り口門柱:
奥に続く木道。広いのは入り口付近だけです。片方の門柱の上にはアカガシラカラスバトのモニュメント。
今回の訪問ではこのモニュメントで、観察出来たことに。
②マルハチ(固)の葉痕:
木性シダです。高木になると幹の、葉を落とした跡に大きな「逆○八」模様の葉痕がたくさんあり、この樹だけは一度で覚えられました。
③バッファーゾーン終点:
ここから奥は立ち入り禁止です。独特の樹林景観が広がっています。アカガシラカラスバトはどうしてこのような環境に住みついたのでしょうか。
小休止してから往路を辿りながら戻ります。たくさんの固有種植物、昆虫の観察ができました。
④メヘゴ(固):木性のシダ。木が低いため葉がノヤギの食害を受けると言うことです。
4)夜明道路に駐めた車まで戻り、中央山入り口に向かいます。
①キキョウラン(固):
駐車した道路脇に咲いていたキキョウラン。ムラサキ色の小さな花を付けていました。とても素朴な花です。
②中央山入り口:
父島のほぼ中央に位置する中央山。山頂展望台へは入り口から10~15分程度。
③中央山頂上展望台:
父島第2位の標高312mの中央山展望台からは360度の景観が楽しめます。晴れた日には母島や聟島列島も望むことが出来ると言うことですがこの日はやや曇りで見えませんでした。
頂上には太平洋戦争時の電波探信儀の台座残骸があります。
④島内最高峰:
展望台の案内板に記入されていましたが、山名も標高も記載はありませんでした。ズーム撮影。
5)中央山下山、帰路につきました。途中で小笠原水産センター立ちより。
①マルハチ(固):
中央山頂から樹林帯を見下ろしてよく分かったマルハチ(固)の樹形。
これまでは下から見上げるばかりで全体の様子は分かりませんでしたが、やはりとても特徴的のある姿でした。
②グリーンアノール:
島内で定着、繁殖した結果、生態系に悪影響を及ぼし問題視されている外来種のトカゲ、グリーンアノール。
保護色と逃げ足が速いのでなかなか撮影のチャンスがありませんでしたが、見つけて望遠撮影。
③ムニンヒメツバキ(固):
帰路の道路沿い崖下にムニンヒメツバキの巨木林があり、たくさんの白い花が咲いていて見事でした。
④アオウミガメ:
小笠原水産センターに立ちよりました。ここでは海産魚の種苗生産に関する飼育が見学できます。ここは「アオウミガメ放流事業発祥の地」ということでした。アオウミガメが悠然と泳いでいました。
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