アメリカネナシカズラ(寄生植物)
6月中旬のことです。
荒れ地に群落を作ったシロツメクサの草原に、なにやら黄色い網のような物が放置されているように見える一角がありました。
こんな処にゴミを捨てるなんて、と思いながら近くに行くとそうではありませんでした。
見るからに怪しげな植物でこれまで見たことがない代物です。
アメリカネナシカズラ、という名前の寄生植物の群落でした。
アメリカネナシカズラは一年生のツル植物で北アメリカ原産の帰化植物。
そして葉緑素も葉も持たない寄生植物です。
1970年頃に東京を中心に見つかり現在は日本全土に分布しているということです。
河原・放棄畑・荒地の草原などで植物を覆って黄色の群落を形成するので、遠目には黄色い網や布が捨てられているようにも見えます。
種子の発芽適温は20~30℃で、発芽した時は地面に根を張り、蔓を伸ばします。
その後、宿主植物を選ばずに寄生し、寄生する植物を見つけて巻きつくと寄生根を出して、寄生した植物の養分だけで生きるようになりますが、この時には根は枯れてなくなってしまいます。
発芽しても寄主が無い場合は、発芽後10~15日で枯死するそうです。
寄生されたばかりのシロツメクサにはまだ白い花がありますが、すっかり栄養をとられた花は茶色に枯れていました。
寄生した植物の栄養分を吸収して太くなったツルには白い花がたくさん咲いています。
初夏~初秋にかけて咲かせるそうです。
花冠は5裂し、花径は約3mm。
また大群落に踏み込んで中をのぞいてみると、ツルの途中にところどころ瘤のような固まりが見つかりました。
これはネナシカズラコブフシと呼ばれる虫こぶで、アメリカネナシカズラに寄生する昆虫が卵を産みつけてできたものです。
一つ虫こぶを切り開いてみると、中に寄主昆虫(ゾウムシの仲間などだそうですが)の幼虫が住みついていました。
他の植物に寄生するネナシカズラもまた他の昆虫に寄生されるという不思議な自然の仕組みです。
本種は大繁殖したり、その翌年は数が減ったりして、その詳しい生態は十分解明されていないそうです。
参考:
アメリカネナシカズラ https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/80280.html
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