トビムシ(栃木県・出流ふれあいの森)
3月はじめのウィークデイ、久しぶりに遠出して寄り道した山里の森公園には、午後ということもあって全く人影はなく、落葉樹の芽吹きも未だのようで、まだまだ春の息吹は感じられませんでした。
車を置いて少し歩いてみましたがやはり薄着では肌寒く、スギの植林地では茶色のスギの実が鈴なりのようで、君子危うきに近寄らず、と早々に退散してしまいました。
帰路、しばらくぶりにトビムシ観察の目的で、落ち葉の腐植を一つかみ採取。一帯は雨続きだったようで、山際の落葉の堆積もずいぶん底の方までたっぷり水分を含んでいました。
腐植にいたトビムシはツルグレン法で抽出し観察しました。特に目新しいものにはお目にかかれませんでしたが、陸のプランクトン、とも言われるとおり、いつでも、またどこにでもいて慎ましやかに生活している小さな生き物です。
トゲトビムシの仲間:
長い触角で、第3、4節は環状に小分節するなどの特徴からトゲトビムシの仲間のようです。立派な跳躍器(バネ)もあり、太めの体型から大きく見えますが、計測すると体長は1.7mmほどでした。
(倍率×50倍)
シロトビムシの仲間:
名前のとおり白色のトビムシ。目がなく擬小眼などの感覚器が発達しているそうです。跳躍器は有りませんでした。
胴部中心に見える透けて見える細長い茶色の”ソーセージ”は摂食した腐植。これを糞として排出すると、バクテリアがさらに分解します。こうしてトビムシは腐植の分解に貢献しています。大きさ約1.2mm(×50倍)
(写真下:別の個体の腹面から)
マルトビムシの仲間:
胸部と腹部の体節が融合して球形になり、全体として丸い体型をしています。頭部より長い触覚と、跳躍器(バネ)を持っています。また比較的小さいものが多く、トビムシの中では見た目、一番気持ち悪さは少ないと思います。
多くは地表付近の腐食層で生活しています。
(写真上:シロトビムシ(大きさ約1.2mm)と一緒の記念写真。マルトビムシは大分小さい(0.3mm))です。
(写真下:マルトビムシ大きさ0.3mm(倍率×50倍))
ツチトビムシの仲間:
体調1mm~位のもので、腐食土壌中にもっとも多いそうで、どこにでもいるようです。この仲間では、跳躍器(バネ)の発達状態は様々の種類がいるそうです。
大きさ1.0mm(倍率×50倍)
写真上の個体には長い”ソーセージ”が観察できます。写真下は食事をはじめたところだったのでしょうか。
| 固定リンク
「トビムシ」カテゴリの記事
- ギンヤンマ、アキアカネ、ショウジョウトンボなど;キカシグサとトビムシも(2015/9)(2015.09.19)
- トビムシ(2012.05.31)
- 落ち葉腐植層のトビムシなど(2011.10.07)
- トビムシ(2011.09.17)
- 2011/3月末の信州路を歩く(その7) トビムシ(2011.04.10)
コメント