秩父路春景色:桃、フタバアオイ、ウスバサイシン、ミミガタテンナンショウ、キブシ、ダンコウバイ、オオシマザクラ
関東では、平均気温は平年並みながら、日間変動は極端で、冬と初夏を行きつ戻りつするような天候不順の春です。そのせいでこのところ春菜類、特にキャベツの値上がりが大変のようです。
そんな最中、先週(4/9~11)に秩父路から甲州路へと国道140号線を往復してきました。
秩父路、甲州路とも、平野部はすっかり春景色でしたが、標高600m~1000mを越える山間部沿道はまだまだ春は浅い、というところでした。
毎年、秩父路でこの景色を目にすると、山里にも春が来たことを実感できて、気持ちも暖かくなるのです。これから越えていく峠越えの風はまだ冷たいものの、桜と桃のパステルカラーに彩られた暖かな春景色です。
小休止で立ち寄る農産物直売所の山野草コーナーには、多分、持山で採取されたのでしょうか、季節の山野草が陳列されていて、いつも眺めるだけですが、今回も覗いてきました。
フタバアオイ:
徳川家の紋として有名な葵は、このフタバアオイの葉を3枚組み合わせてデザインされたものです。
山地のやや湿った林床に生える多年草で、2個の葉のつけ根から花柄をのばし、紫褐色を帯びた花を下向きに1個つけます。
花は直径約1.5cmで、内側には紫色のすじがあります。なお、花弁のように見えるのは萼片で3枚あり、下部は重なって筒状になっています。萼片の上部は外側に反り返り筒状の部分にぴったりくっついています。花弁はありません。
花期は3~5月。分布は本州~九州。
もう一つ目を惹いたのはチョコレート色の花をつけたウスバサイシン。こちらも山地のやや湿った林床に生える多年草です。茎は地面を這い、先端に長い葉柄のある葉を2枚つけます。葉は長さ5~8cmの卵形で、先は急にとがり、基部は深いハート形。
2枚の葉のつけ根に暗褐色を帯びた花が1個つきます。花は直径1~1.5cm。フタバアオイと違って、3枚の萼片の下部は完全にくっついています。萼片の上部は水平に広がり、その先端がキュッと上向きに広がっているのが特徴です。
花期は3~4月。分布は本州~九州北部。
さらに山間部を走り、つぎの休憩所の近くに行くと、林縁には背の低いカタクリやニリンソウなどがまだ咲き残っていました。その中にひときわ目立つ背の高い仏炎苞がありました。ミミガタテンナンショウです。
ミミガタテンナンショウ:
紫褐色の仏炎苞の開口部が左右に耳状に張りだしているのが特徴で、”耳形”の名もここからきています。花の頃はまだ葉が開いていないことが多いです。
花期は4~5月。分布は本州の岩手県、宮城県、関東地方と、山梨県、および四国西南部。
標高およそ600m以上になる山中の林縁にはキブシ①が小さな淡黄色の花を鈴なりに付けた花序を枝々からつり下げて浅い春の訪れを告げていました。
またダンコウバイ②が鮮やかな黄色の花をいっぱいにつけていました。いつものことながらよく似たアブラチャンと見紛うのですが、アブラチャンには花柄がありますが、こちらは無柄の散形花序に花がついていたので、ダンコウバイと判断しました。
また別の山肌斜面に、白い小さな花が密集して咲いているように見えた樹木③-1がありました。
傍に寄ってみると真っ白の花が数輪開いていただけで、花の形からは桜の種類かなと思いながら写真③-2に。
後で原画像の拡大写真と数冊の樹木図鑑を見比べましたが、はっきりしないものの、花弁の先に凹みがあるなど、オオシマザクラによく似ていると思ったのですがどうでしょうか。
標高1000m付近の山地では、ほとんど全ての桜はまだつぼみのままでした。あたりは晴れても風は冷たく、本格的な春の訪れはもう少し先のようでした。
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