ナガミヒナゲシ結実
5月も終わりです。ふり返って見ると、”五月晴れ”といわれる澄み切った青空に爽やかな風がそよぐ日、というのは少なかった様な気がします。気象がなんだか変だ、というのは国内だけではなさそうですが・・・
さて、鮮やかなオレンジ色の花を付ける地中海沿岸原産の外来植物「ナガミヒナゲシ」ですが、
現在、花はほぼお終いになり、長細い実(ケシ坊主;さく果)も大半が黄~茶色に熟して、なかにはたくさんの種が出来ています。数日前に雨とかなりの風が吹いて、種を全部まき散らして空っぽになったケシ坊主もありますが、まだ青いものもありますので少し観察してみました。
町内にある青空駐車場と公道境界のフェンス際に大株のナガミヒナゲシがたくさん生えました。まだ青いケシ坊主、茶色に熟して、蓋が持ち上がり、なかの種がばらまかれてしまったもの、また、まだ蓋が閉まっていて中に熟した芥子粒大の種がぎっしり詰まっているものがあります。指先でケシ坊主を摘んでみるとすぐ分かります。
茶色に熟して、固いケシ坊主を一つちぎって、ケシ坊主を破いて見ました。じつにたくさんの芥子粒が出てきます。
まだ青く、蓋がしっかりしまっているケシ坊主と、黄色~茶色に熟して蓋が持ち上がり、中の種が出てしまったケシ坊主の比較です。
なお蓋が開いたケシ坊主を(中に種が残っていれば)逆さにするだけで、開いた隙間から中の種がこぼれ落ちてきます。
まだ青いケシ坊主を切り開いてみると、黄白色で熟していない芥子粒がぎっしりと詰まっています(写真上)。また、茶色に熟して中身があることを確認したケシ坊主の一つを小型シャーレに開けてみました(写真下)。
参考程度ですが、目盛り付きのマイクロルーペで、隙間なく並んでいる、単位面積あたりの種の数を計測し、シャーレの面積の半分位を占める量として計算してみると、芥子粒の概数は、1、700個/ケシ坊主、ということになりました。
参考書などによると、発芽率は悪くはなく、栄養状態によって種の数は変動するものの、とんでもない大量の種が出来てしまうことに疑いの余地はありません。
環境調査の専門家から、場合によってはその地域の在来植物と競合して、植物環境に影響を及ぼす可能性も指摘されているようです。
確かに愛らしい花で、ご近所でも草取りの時には残されているようですが、このような事実があれば、花後はすみやかにケシ坊主は刈り取って、生ゴミ焼却に出すのが良さそうです。
なお、茎を切りとると黄色の汁液が出て来ますが、ケシ、で予想されるようなアルカロイド成分は含まれていない、ということですからその点は安心です。
可愛いと 情けをかけて残したる ナガミヒナゲシ したたかに殖え (詠み人知らず)
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