変形菌(粘菌)①-2(ウツボホコリの仲間)
6月の初め、雨降り数日後の日曜日、蒸し暑い日でしたが朝の散歩を兼ねて、かつて知っている社の森へ、変形菌の観察に行きました。
ウツボホコリの仲間:
社の森に数年来横たわっている太い腐朽倒木が、橙色に見えるところがありました。たくさんのウツボホコリの仲間と思われる変形菌の子実体子嚢が破れて、中から飛び出した細毛体が重なり合ってぶら下がり、また胞子が飛び散って周りを橙色に染めていたのです。
近寄って目を凝らしてみると、チョコレート色から橙色で、マッチ棒の頭のような形の子実体が密集しています。そして、その子実体の子嚢の内部には胞子とともに網状の細毛体という構造がありますが、子実体が完成して乾燥すると膨らんで子嚢の膜が破れ、中から細毛体が飛びだしているもの、
また飛び出した細毛体がヘチマタワシのように膨張して重なり合っているもの、さらにその中に閉じこめられていた胞子が飛び散り、周りを橙色に染めているという、一連の子実体の経時変化が見て取れる状況がありました。
ヘチマタワシのように膨らんで転がりでた細毛体の傍には、それが収められていた子嚢壁の下部が盃(サカズキ)状になって残っています。
なお成熟して破れる前の子実体で、ワイングラスのような柄のある子嚢1個の大きさは1~2mmのごく小さなものです。
ウツボホコリの仲間は倒木によく見られるそうですが、今回は、完成直前の子実体、成熟した子実体が乾燥して内部の細毛体が膨らみ子嚢を破って飛びだしているもの、そして胞子を散らしているものが同時に観察できた標本でした。
素人には何とも名状しがたい、奇妙な生き物のライフサイクルの一端を垣間見たものです。
はじめて見たときは、この一連の”絵”は、同じ生き物が時間と共に姿を変えたもの、ということが分かりませんでした。
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