2011/3月末の信州路を歩く(その3) 冬芽と葉痕、維管束痕(オニグルミ、ハリエンジュ、タムシバ、ヤマウルシ、キハダ)
3月末の信州路を歩いてきました。
冬の間、山地や山里の雑木林、林縁に出かけると、葉を落とした木々が寒そうに見えますが、枝先をのぞき込んで見ると、春に備えて休眠している葉や花になる「冬芽」(とうが/ふゆめ)が目につきます。
また葉が脱落した痕の「葉痕」と、その中に「維管束痕」(“維管束”は水分や養分が通る“管”のことで、葉、枝、幹、根とつながっています。そして葉痕の中に、その管(維管束)の断面が斑点のように残っているのが維管束痕です)があり、その数や並び方は木の種類によって異なっていて、葉痕と維管束痕のつくりだす形には、全体として、まるで人や動物の顔のように見えるものや、面白いものがあり、冬の雑木林歩きの楽しみにもなるのです。
暖地では冬芽は既に動き出していますが、信州ではまだ春浅く、除雪された道路の林縁で、通りすがりに何種類かの冬芽と葉痕・維管束痕を観察することができました。いずれも雪を背景にして。
オニグルミ:
羊の顔に見立てられることが多いです。この世界では有名です。ルーペなど必要なく、肉眼で十分楽しめる大きさです。雪焼けで黒い顔でした。
ハリエンジュ(別名ニセアカシア):
冬芽は葉痕の中に隠れています(隱芽)。葉痕は丸みのある三角形で、葉痕の中央が盛り上がり3つに裂けます。葉痕の両側に鋭いトゲがあります。葉痕とトゲは悪魔のようだ、とか、オオカミのように怖い顔、と見られます。
タムシバ:
花芽は大きく、ボサボサと乱れた白い軟らかい毛で被われています。葉芽は灰色の寝た毛に覆われています。葉痕はV字形、維管束痕は多数が1列に並んでいます。観察にはルーペが必要です。
使い古した筆のようです。
ヤマウルシ:
枝先の頂芽は大きく、水滴形~円錐形。葉痕は肉眼で十分楽しめる大きなハート形~三角形でやや隆起して。います。観察した時はすべて赤ら顔でした。
維管束痕一個の形はV字や三角、丸、線形など色々です。それが5個、V字形に並んでいます。酔っぱらいの顔、かな。
キハダ:
オニグルミさん同様、この世界の”有名人”。ピエロに見立てられることが多いようです。
冬芽はほぼ半球型で、赤みを帯びた茶色の伏毛に覆われています。葉痕はO字形で、肉眼で観察できる大きいものです。維管束痕は3個あります。
(続く)
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