2011/3月末の信州路を歩く(その6) 古道 「塩の道」
3月末の信州路を歩いてきました。
松本から糸魚川まで約120km(30里)の「古道 塩の道」。日本では岩塩の産出がないため内陸では塩を得ることが出来ませんでした。そこで海または川船の終着から内陸地へと塩が運ばれましたが、その道が「塩の道」。そして有名な千国街道です。
(画像はクリックで拡大します)
白馬駅隣の観光案内所に立ち寄って、「塩の道」について尋ねると、まずこの時期はすべて雪に埋まっていて通行できません。ただ自動車道になっているところだけは除雪されていますから大丈夫ですが、とのこと。
また特に「古道 塩の道」に関するパンフレットや本は用意されていない、ということで、最寄りの書店を教えてもらって「古道 塩の道」(ほおずき書籍)を買い求め、泥縄式の“行き当たりばったり徘徊”に出発。
白馬村の市街地に沿った塩の道は狭い道ですが舗装道路で、除雪されているので辿ることができました。白馬駅に近い交差路に、「塩の道(千国街道)」の案内看板があります。
なおこの案内板は主要スポットの随所に設置されていました。
傍に小さなお堂と足湯がありました。むろんお湯はありません。小さな「地蔵堂」の中には赤い服を着たお地蔵様がいるそうですが見られません。奥に、まだ雪に埋もれる「石碑群」があります。
ここから北東に歩いていくと「平川神社」がありました。白馬村の産土神で、祭神は誉田別尊 息長足比売令 という。
村役場や“本日休館”の札が出ている村の図書館や、スーパーなど寄り道し、道草を食いながらうろうろと。
翌日、もっと“風情のある田舎道がいい”と、時々道に迷いながら行ったり来たり、途中でNew「道祖神」?にお目にかかり、その後、道路脇の案内に従って歴史的古民家「庄屋まるはち」へ。何とここも休日。
Uターンして信濃森上駅を通り過ぎて東に折れ、またまた予定のコースをはずれて森上、塩島集落を巡り、道中、交差路の随所に見られる「庚申塔、道祖神、石碑」など眺めながら、せっせと歩き、橋の上から白馬三山が見えるはずのところに差しかかった時には曇り空。あいにく三山は雲の中で、白馬散々な目に。
12時も大分まわり、お腹がすいたので、昼食を。道中に一軒あったコンビニの、”震災のため品種も数も入荷が少なく申し訳ありません”と張り紙のあるお弁当コーナーで買った”妙な取り合わせのお昼。
雪の田圃の脇で濡れた地面にシートを敷いて座り込んで。
少し休憩してからその先へ。姫川沿いの水田の中に「1本松とお堂」が見える、という所では、地図の表示と180度反対方向だったりしてすぐには見つけられず、雪の田んぼに1本松が見えて、ああ、あれのことかと納得し、白馬三山バックに写真スポットという歩行者専用「大出吊り橋」(やはり三山は雲の中)を渡ります。あたりは公園になっていますが雪でダメ。
一度入り込んだ遊歩道、雪に埋もれた“詩の小路”は諦めて引き返し、自動車道を帰りました。それでも一日、いい運動になったので、運動量には満足したことでした。
そして3日目、午後から雪の天気予報、”そんなところ、歩いて行く人はいませんよ”、と言われながら、スキー場と自然園で有名な「栂池」目指して片道5時間ほどのウオーキングへ。まず、道幅も広く整備された「塩の道通り」取り付きを目指します。
辿りつくまで例によって“整備されていないくねくね道”を迷いながらも、魔除けのご利益があるという庚申塚、その他の石碑が並ぶ「切久保石仏群」に辿りつきました。やれやれ。
そこから“整備された道”を歩き、松本藩によって篤く保護されたという「切久保諏訪社」へ。
そして塩の道の名残を見せる杉並木(雄花のスギ花粉の出来は悪そうでした!)を辿り、やがてそろそろ飽きがきた頃にたどり着いた“車止めの向こうに旧塩の道へと続く橋があり、伝説「おかるの穴」がある”という山道は、一面雪に埋もれて進入もできず、洞窟も見えませんでした。
古道の雰囲気が色濃く残っている、という街道筋あたりに残っていたのは雪ばかり。足の裏が痛くなったあたりで、やっとおばあさんに出会い、「風切り地蔵」を尋ねる。
風害や病魔の風を鎮める力を持つと伝えられるお地蔵さんは雪の中に静かに佇んでおられました。
お賽銭も上げられずに、人間の責任である”原発の風”もお鎮め下さい、と無理なお願いもしてから、雪に埋もれた落倉自然園の看板前と傍の石碑群を過ぎ、「栂池の下に広がる棚田」が見事、という風光はすべて見事に雪に埋れていて分かりません。犬の散歩に通りかかったおじさんの話では、5月過ぎないとねえ、とのこと。
そして「松沢文殊堂(薬師堂)」:小さなお堂ですが、素朴な小屋組が建築学的にも面白い、とありました、そして隣の「石仏群」を過ぎると、もう間もなく予定コースの終着地、栂池です。
栂池でお昼にすることにして、美味しい手打ちそばをたべながら一息。午後から雪模様という天気予報でもあり、傘は持っていましたが同じ自動車道を歩く元気もなく、帰りは栂池から白馬駅まで路線バスに乗りました。他に乗客はなく貸切でした。
たしかに文明の利器はすごいな、それに比べて二本足の効率の悪さよ、と、あらためて認識。バスの所要時間は30分でした。
それにしても、やはり整備された広い車道は、歩くには心理的に”快適”ではありません。庶民が額に汗して塩を運んだ往時の苦労を偲びながら歩くには、苔むした山道や峠道のほうが辿り甲斐があるはずだ、などと勝手に思ったことでした。
世情が落ち着いて、皆んなで頑張ればいい時が来て、季節の良い時期にまた機会があればと思うのですが・・・
(続く)
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