2011/3月末の信州路を歩く(その7) トビムシ
3月末の信州路を歩いてきました。
田んぼの傍で、日当たりだけ雪が融けた林地の落ち葉の堆積を一掴み採取して、トビムシを抽出してみました。
新しい生物分類学では、その居場所が確定しづらい位置にまで追いやられた、原始的で目立たない生きもの、トビムシ。
大きさはせいぜい数mm以下。陸のプランクトンとも言われるように、どこにでも住んでいます。
その多くはあまり光の届かない地表の近くで、落ち葉など有機物の腐植を食べ物としてひっそり暮らす草食系、自らは食物連鎖の上位にある肉食性生物の餌になっています。
これまでも、時に少し気持ち悪い姿のものも登場するトビムシは、単なる「埋め草記事」で、しばらく気が向かないで途絶えていましたが、気分転換に腰を上げて、撮ってみました。
アカイボトビムシの仲間:
体表面全体が、半球状の赤いイボで覆われたトビムシ。バネ(跳躍器)はありません。結構、毛だらけです。大きさは約1.5mm。肉眼でも赤色が粒のようによく目立ちました。
写真(×30倍)は、プレパラートにする前に、背面および腹面から観察したもので、短い触覚の第4節と、3対の脚は白く見えます。
プレパラート標本にしてから同様に背面、腹面から観察したもの。プレパラートにすると標本が透明化してきて、眼斑や、イボイボの体型などがよくわかるようになります。
シロトビムシの仲間:
写真(×30倍)上はプレパラートにする前。下はプレパラート標本にしたもの。大きさは約1.2mm 。名前のとおり白くてずんぐりむっくりのメタボ体型。バネはありません。
ムラサキトビムシの仲間:
写真(×30倍)上はプレパラートにする前。下はプレパラート標本にしたもの。大きさは約1.0mm 。基本的にメタボ体型で、体は紫色でバネはありません。
ツチトビムシの仲間:
写真(×30倍)上はプレパラートにする前。光源の調整のため白く光ってしまいました。大きさ約0.6mm と小ぶりな個体で、スリムな体型です。
下はゴミがまじって不出来なプレパラート標本。短いながらもバネを持っています。天敵のカニムシに襲われたりすると飛んで逃げるのでしょう。
たまたま今回は見つかる種類が少なかったようです。
今回で、やっと白馬村の徘徊シリーズは終わりになりました。
(完)
完全封じ込めには時間がかかり、今や世界中で神経質に、さらには苛立ちに変わり、時には過剰・過敏に注目されている福島原発の放射性物質の漏出事故。ともかく早く収束してほしいと願うのは誰も同じです。
ヨウ素-131の半減期は8日、セシウム-137は30年、話題にならないウラン238の半減期は45億年。地球誕生はおよそ45億年前(→http://www.ngcjapan.com/tv/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/590)というから、地球ができた時のウラン238放射能は、まだ半分残っています。
トビムシは昆虫類のもっとも古い化石として、4億年前の地層から出土しているそうです。その頃から、元気に、静かに暮らしてきたのでしょうか。
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