ホオジロ(留鳥)のさえずり
春に聞かれる野鳥の“さえずり”というのは、主に、オスがメスを呼んだり、他のオスに対して縄張り宣言をしたりするときに発する鳴き声のこと。
そして昔から「聞きなし」といって、その鳥のさえずりを人間の言葉に置き換えて親しんできました。
4月初めからツバメが飛んでいますが、その聞きなしは、巣作りの泥を運び、子燕に虫を運ぶ姿からも、「土食うて虫食うて渋~い」などです。(祖母から教えられて子供心にもソックリだと納得したものです。)
ホオジロのさえずりの聞きなしは、「一筆啓上仕り候」です。覚えやすい聞き做しですが、これまでなかなかそうだと腑に落ちるさえずりを耳にしたことがありませんでした。
ところが先日、曇り空で肌寒い日ではありましたが、ホオジロが懸命に、“イッピツケイジョウ、一筆啓上、ピッピツ ピッピィ”、と胸を張り空にむかって口をあけ、大きな声で鳴いているのを確認できて、なるほど、と納得することができました。
ただ、“仕り候”、の部分は小声になり、殆んどムニュムニュで、聞きとり出来ませんでした。
ウグイスなども同様、はじめはヘタクソで不完全ですが、学習して上手になっていくのだそうです。
練習中の若オスだったのでしょうか。
なお冬の間の「地鳴き」は、”チチッ、チチッ”とごく短い地味な声です。
「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」
日本一短い手紙として有名なこの一文は、徳川氏の家臣、本多重次が、天正3年(1575年)の長篠の戦いの陣中から妻にあてて書いた手紙で、その昔は『手紙の書き方』など一般教養本の巻頭言などにもよく掲載されていたものです。
今なら、さしずめ「一筆啓上、地震と津波、それに加えて原発用心」、ですね。
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