ノブキ、ツリフネソウとキツリフネ、コバギボウシ、ミズヒキとキンミズヒキ、ゲンノショウコ
姫川源流自然探勝園周りの林縁、草原で見かけた植物です。
●ノブキ:
林縁にたくさん生えていました。小さな白色の頭花が目に付きました。
ノブキは、日本各地で湿り気のある山道の脇や林縁などに普通に生える多年草です。
葉がフキ(蕗)に似た腎円形なのでこの名前です。
夏から秋にかけて花茎を形成し、順次花を咲かせるので、花と果実が同時に観察できます。
小さな頭花は白色で、頭花の周辺部に雌花が、中心には雄花があります。
今回はまだ時期が早いため、果実はほとんど分かりませんが、頭花周辺の雌花は稔ると棍棒状の果実ができ、また中心部の雄花は落下して、その跡が中心に白い点となって見えるようになります。
果実には粘液を出す濃紫色の粘腺点があり、動物などに付着して種子を散布する粘着型の“引っ付き虫“になります。
●ツリフネソウとキツリフネ:
ツリフネソウ、キツリフネいずれも1年生草本植物で、低地の水辺から山地の谷あい、また林縁など、湿り気のある半日陰地に生育しています。
両者は混生していることも多いようです。
ツリフネソウの花の袋状の部分は3個の萼(がく)片の1個が変化したもので、基部は渦巻き状の「距」になっています。ここに蜜をためてマルハナバチのような舌の長い花粉を運ぶ昆虫を呼び寄せています。
キツリフネの花も一見ツリフネソウによく似ていますが、「距」は渦を巻かず(今回その様子示す写真はありません)、単に下方に垂れ下がるだけです。
またツリフネソウは葉の上で花を付けるのに対して、キツリフネは葉の下に花があります。 葉の形は、ツリフネソウは先がとがった菱状楕円形で細かく鋭い鋸歯があるのに対して、キツリフネは長楕円形で、ツリフネソウのようにはとがらず、鋸歯も粗い等の差が見られます。
いずれも草丈は50cmほどになり、花期は夏から秋です。
分布は日本各地。
●コバギボウシ(ユリ科ギボウシ属):
林間の湿った草原に咲いていました。湿原に生育する多年生の草本で、高さ50cmほどになります。
夏の湿原を彩る植物の1つで、紫色の花をつけます。
葉は小型のさじ型です。葉身は長さ10~20cm、幅5~8cm。
なお、秋に稔った翼を持つ種が茎の上部に長く残り、風で散布されるのを待っています。
花期は7~8月、分布は本州から九州。
●ミズヒキとキンミズヒキ:
ミズヒキ(水引)は、タデ科の多年草で、花をつけた花茎が慶事用の紅白・金銀糸の水引に見立てられての名前です。
花後あちこちに種を飛ばして、どんどん増える丈夫な野草です。
キンミズヒキ(金水引)は、花の色も形も全く違うバラ科の多年草です。
山野の道端を好み繁殖力は旺盛で草叢になります。
葉の形がキジムシロに似ています。
8月頃に花茎を伸ばし、小さいながら黄色の5弁花をつけて良く目立ちますが、ミズヒキのように一斉には開花せず、下から順々に開いていきます。
一つの花は数日の命です。
●ゲンノショウコ:
草原に咲いていました。フウロソウ科の多年草で、ドクダミ、センブリなどと共に、下痢止めや胃腸薬として親しまれてきた民間薬草の一つです。
茎は約30cmに伸び、葉は掌状に分かれます。
夏期に5弁花を開きますが、東日本では白紫の花が多く、西日本では紅紫色の花が一般的なようです。
(続く)
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