« スカシヒメヘリカメムシ、マルカメムシ | トップページ | マメホコリの仲間《変形菌》 »

2011年12月 1日 (木)

ツチグリ

 今年もいよいいよ最終月、お坊さんも走るほど慌ただしい時期になってしまいました。暇人は一層スローモーションで行きたいのですが。

 暇人ペースの記事です。

ツチグリ(土栗)(担子菌門ツチグリ科ツチグリ属):
 晩秋の山地林縁で、裸地斜面に1つだけ残っているのを見つけました。2日ほど前にかなりの雨が降った後で、外皮が星形に完全に開いていたので運良く目にとまったものです。
 もう発生時期は終わりです。(撮影2011.11.13)R0018889trm1113

 
 「腹の中に胞子をかかえた」腹菌類のツチグリは、広葉樹林、マツ林などの斜面や、裸土の崖などで普通に見られる中型のキノコで、ツチガキ(土柿)とも言われています。
 地中に埋もれるように発生した幼菌は扁球形で、袋状の内皮の中に胞子が入っています。その外側には皮質の厚い外皮があり、成熟すると外皮は7~10片に裂け、星形に開いて地表に姿をあらわします。
 成熟した菌体の外観は、星型の座布団の上に胞子の入った袋が乗っている形で、英語では「地の星」。
 外皮は主として2層の膜構造となっていて、内側の層が水分を吸収して膨張したり、乾燥して収縮することで(湿度に応じて)閉じたり開いたりするので「キノコの晴雨計」とも呼ばれています。
 そして乾燥時、外皮が胞子の袋を包むように縮む時には、袋が押されて袋の穴から胞子が放出されます。
 また胞子は、袋が雨粒で叩かれたり、物理的な刺激を受けたりする時にも穴から煙のように立ちのぼって放出されます。
 
 昔、登山道脇に並んで顔を出していたホコリタケやツチグリの袋を、通りすがりに小枝でぽんぽん叩いて、袋の穴からポッ、ポッと”煙”が出るのを喜んでいた脳天気な思い出があります。

 なお、このかわりもの腹菌類の仲間には食用菌のショウロや、ハタケチャダイゴケなどが含まれています。ちなみに、ツチグリも美味いかどうか経験がありませんが、幼菌は食べられているようです。(http://www.komisen.net/ke-koro.html)

 採取した標品を日の当たる地面に置いておいたところ、乾燥して外皮が閉じ始めていました。Photo_8

 
 そこで、あらためて厚手の紙ナプキンに載せて日当たりの戸外に置いたところ、外皮は完全に閉じ込んでいました。R0019166

 
 外皮が閉じた標品を、基部がぬれる程度に浅く水を入れたプラスチック容器に入れて観察したところ、90分後には外皮は再びかなり開き、R0018996150790cctrm

 
 2時間後に見たときには、最初に林地で見つけた時と同じまでに開いていました。この開閉反応は繰り返して観察できました。よく出来ているものです。R00190011700trmcc

 発生時期は8~11月、分布は日本各地。

(参考)植物の運動:
 オジギソウに指で触れると葉が折りたたまれたり、モウセンゴケに触れた虫が捕らえたりするなど、植物運動の仕組みには、
①成長運動:
 植物体の一部が他の部分より速く,あるいは大きく成長するために,植物体が一定の方向へ屈曲する運動で、植物の屈性や傾性は,この成長運動によるもの。
②膨圧運動:
 植物体の一部の細胞の膨圧に変化が起こり,細胞が膨張したり収縮したりする結果,植物の一部が屈曲あるいは変形する運動で、これによってオジギソウの葉に触ると折りたたまれたり、ネムやハギなどの睡眠運動や気孔の開閉などが起こるもの。 
③乾湿運動:
 湿度の変化によって起こる物理的運動で、多くは細胞の細胞壁の含水量変化による伸び縮み運動で、ツチグリの外皮開閉や、スミレやホウセンカの果皮がはじけたり、またシダの胞子のうがはじけたりする運動、などがあります。

|

« スカシヒメヘリカメムシ、マルカメムシ | トップページ | マメホコリの仲間《変形菌》 »

キノコ」カテゴリの記事

コメント

ツチグリ・・・・実際に見たことありませんが先日
切手の整理していたらツチグリのものとおもわれるのを
見つけました。
キノコの切手というのは集めている方も多いそうです。

投稿: kin | 2011年12月 3日 (土) 15時27分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« スカシヒメヘリカメムシ、マルカメムシ | トップページ | マメホコリの仲間《変形菌》 »