フタモンアシナガバチ(♀)と、古い空っぽの巣
連日の寒気が緩み、3月中旬の気温まで上昇したというニュースのあった先日のこと、駐車場に一匹のハチが落ちていました。
危うく踏みつけるところでしたが、つまみ上げて見ると、まだ生きていて弱々しく脚を動かします。
長く続いていた寒風の吹きだまりになって微砂塵がたまっていたので、埃にまみれていました。
よく見るとアシナガバチではありません。少し手荒いですが、水で洗ってから観察すると、腹部前部に黄色の二紋があるので種類はフタモンアシナガバチ。
黒い顔の前額に黄色の横スジがある特徴から、やはり越冬中の♀と判別できました。(雄は冬のはじめに死に絶えます)
かわいそうですが、越冬中の雌バチが、もう目の前までやってきた春に背いて、持ちこたえられなかったようです。小さな自然の片隅でのできごと。
フタモンアシナガバチ(スズメバチ科):
体長14~18mmのアシナガバチの仲間で、むやみに人間を襲ったりしない温和しいハチです。(以前記載済みの記事から写真再掲)
黒地に黄色い紋のあるハチですが、腹部前部に一対の黄色い円形紋があり、名前の由来になっています。
翅は黄褐色から黒褐色で、肢と触角は基部を除き黄色から黄褐色をしています。
雄の触角は先端がくるりとカールしていて、顔面全体が黄色ですが、雌は黒い顔の前額に黄色の横スジがありますので容易に識別できます。
食性はおもに肉食で、昆虫を捕らえて餌としますが、蜜を集めることもあります。
巣は人の住む住宅周辺に普通に見られ、アシナガバチが作るハスの実のような円形ではなく、横に大きく広がった形の巣で、大きな巣では育房数は800~1000室にもなるそうです。
冬には雄バチはすべて死に絶え、雌は成虫で越冬します。無事に越冬した雌が、春に女王蜂として家屋の軒下や木の枝、草むらなどに巣を作り、新しいコロニーを形成します。
なお直接関係のない話題ですが、先にネコヤナギの枝で見かけた、縦に広がった大きな空っぽの古いハチの巣(再掲)は、どうやらフタモンアシナガバチの”作品”ではないかと推測しています。
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