2012年5月
2012年5月31日 (木)
2012年5月30日 (水)
キランソウ(ジゴクノカマノフタ)、カラスビシャク、ヤセウツボ
雑草3種。
キランソウ(シソ科):
別名ジゴクノカマノフタ)。
お気に入りの雑草です。少し日陰になるような庭の隅や植栽の根元などにあって、わかる人には分かる『地獄の入り口』に、落ちないようにフタをしてくれる多年草で、辺りをうろうろする年代になった私にはありがたいのです。
縁に紫色がかった小さな葉をロゼット状につけて、地面を這うように茎を広げます。そして鮮やかな紫色のきれいな花をつけます。(撮影2012.5.1)
カラスビシャク(サトイモ科):
別名ハンゲ(半夏)。毎年田植えが終わって一段落した頃にきまって生えてくる多年草です。
5月になると花茎をすっと伸ばしてその先に緑色のスマートな仏炎苞をつけ、そこから緑色の付属体が長く伸び出した独特の草姿が目立つようになります。
繁殖力が強く、田んぼ脇の斜面草地に毎年必ず生えてくる駆除のやっかいな雑草仲間です。
なお、漢方薬の半夏(はんげ)は本種の球茎です。分布は日本各地。(撮影2012.5.10)
ヤセウツボ(ハマウツボ科):
葉緑素を持たず、陰気な感じがする寄生植物です。アカツメクサやシロツメクサが生い茂る堤防や草地に生えてきますが、人為的攪乱によって、今シーズンは今まで見ることがなかった場所にたくさん生えていました。(撮影2012.5.10)
1937年(昭和12年)に千葉県で初めて確認されたという帰化/寄生植物です。主にマメ科植物のアカツメクサやシロツメクサ、コメツブツメクサなどの根に寄生し、寄生根で養分を吸収して成長し花を咲かせます。
そのため農作物に被害を与えることもあり、外来生物法で要注意外来生物に指定されています。
草丈は15~40cmになる1年草で、花期は5~6月、分布は本州、四国。
2012年5月29日 (火)
コブシハバチ幼虫;シュウメイギク食害の小さなイモムシ
**今回の記事には気持ち悪い画像がありますのでご注意を**
コブシハバチ幼虫:
昨年晩秋に思いきり切り詰めたので、今春は全く花が咲かなかったハクモクレン(白木蓮)でしたが、新梢が伸び、大きな葉が広がっています。
その若緑の葉をふと見上げると、大きな葉の上半分がなくなって、葉裏に茶色のシミのような穴が点々と開いた部位がありました。
そしてその近くにイモムシがぎっしりと並んでとぐろを巻いているのが目にとまりました。
以前から、いろいろな黒いハバチが入れ替わりやってくるのはいつものことで承知していましたが、そのほとんどは何者かわかりません。
きっとその中にコブシハバチも来ていて柔らかなハクモクレンの葉の組織中に卵を産んでいったのでしょう。初めてのことですが、 他の葉は大丈夫なので、そこだけ切り取りポリ袋に入れて殺虫剤噴霧、口を縛って生ゴミへ。
それにしても食樹〔モクレン科(モクレン、コブシ)などの葉〕はきっちり守るのですねえ。何でも食べる人間様と違って・・・) (http://www.hfri.pref.hokkaido.jp/zukan/konchu/00data/hati/habati/kobusiha/note.html )
シュウメイギクを食害している小さなイモムシ:
その後、シュウメイギクの葉が、カスリ状に抜けているのも見つけました。葉を裏返して見ると、葉裏に3~4mmくらいで緑色の小さなイモムシがたくさんうごめいていました。
尺取り虫のような動きです。
シャクガの仲間の幼虫でしょうか。
他に“伝染”していませんでしたから、そこだけ切り取り袋に入れて処分。
2012年5月28日 (月)
ミシシッピアカミミガメ
昨日(日曜日)、少し強く吹く風に、自生の川柳がなびく調節池散歩コースの風景。
4月下旬、日射しが暑いくらいになった用水路の水辺で、ミシシッピアカミミガメが甲羅干し。
辺りで見かけるのはすべて外来の本種ばかりで、近くではクサガメやイシガメなどの在来種はまず見なくなりました。
5月初旬、関東地方に降った大雨で用水路は増水し、もちろん調節池にも大量の水が溜まりました。
池の濁った水面にたくさんのアカミミガメが浮かんでいました。
そして、根元が水没した川柳で、水面に出ている枝(○印)に木登りして休憩中のお仲間3匹も。
カメは、おだてなくても木に登ります。
上流からずいぶんたくさんのミシシッピアカミミガメが”流入”して、いずれまた下流域に”流出して行ったことでしょう。
そのあと、別の水路傍を通る農道で、”ミドリガメ”(ミシシッピアカミミガメの子供)が車の犠牲になった姿もありました。
生き物も大変です。
2012年5月27日 (日)
2012年5月26日 (土)
ネコハエトリ(♀)、カタオカハエトリ?、マミジロハエトリ他ハエトリグモの仲間
ネコハエトリ(♀)(ハエトリグモ科):
晴れた日、窓外の、近くにある竹竿の上を時々ぴょんと跳びながら歩いている“ネコちゃん”を窓越しに見かけました(写真上2枚)。大きさは8mmほど。
ネコハエトリは日本全国に分布し、最も普通に見られる徘徊性のハエトリグモの仲間です。
狭い庭に網を張って、通るたびに邪魔になるクモと違って、ネコちゃんは、巣を張らないで、あちこち歩きまわってエサをさがし、庭にやってくるハエなどの小虫をとらえて食べてくれる働き者です。(写真下2枚)
エサを探しているネコハエトリは、チョコチョコと歩き回り、時々ピョン、とジャンプして移動していきます。
とても目がよくて、カメラを向けると、すぐにこちらを向きました。窓越しに撮影したお姿です。
正面から顔だけ見つめると、三角髭をはやしたヒゲもじゃの爺さん風ですが、ひときわ目立つ1対の前中眼は、まるで双眼鏡でのぞいているようで、何となく愛嬌があります。
なお、クモの体は「頭胸部」と「腹部」の2つの部分からなり、8個の単眼(6個や4個のものもいる)と、4対の肢(あし)、また肢が変化した触肢(しょくし)をもっています。
触肢は、昆虫の触角、カニのハサミにあたります。そして昆虫のような胸部、触角、複眼はありませんので、昆虫とは別の分類になっています。
カタオカハエトリ?(ハエトリグモ科):
こちらはヒシバッタが住んでいる草地にいたクモです。大きさは約4mmで、オレンジ色の歩脚がきれいでよく目立つ、小さなハエトリグモの仲間です。
図鑑の「カタオカハエトリ」(ハエトリグモ科)によく似ていましたのでカタオカ、としましたが、確かではありません。
近づくと、時々、先が黒い第一歩脚をバンザイ!するように広げ、黄色い毛の生えた触肢をふるわせながら、獲物を誘うのか、あるいは威嚇するかのような行動を取ります。
ハエトリグモの仲間は、近寄るとこのバンザイ姿勢を良く見せます。
マミジロハエトリ(ハエトリグモ科);その他不明のハエトリグモ仲間:
5月の草むらにいました。
マミジロハエトリは、草や木の葉の上、また倒木の上などに普通に見かける体長6~8mmほどの徘徊性のクモで、やはり網を張らずに歩き回って小虫などの獲物を捕らえています。
触肢の先が丸く白色で、目の上に白い帯がある特徴から♂のようです。
真ん中の個体は庭にいたものですが、1枚しか撮れず、はっきりしませんがアオオビハエトリかも知れません。
写真下の個体の名前はわかりませんでした。
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2012年5月25日 (金)
ウサギアオイ(兎葵)
春先から畑地の隅などにたくさん伸びだしていたウサギアオイですが、その後に雑草として除草され、すっかり姿を消しました。
そして、田植えが終わった農道端に、草取り、除草作業から免れたものが、当面競合する雑草がないため生き延びて、花をつけていました。
ウサギアオイ(アオイ科ゼニアオイ属)は、ヨーロッパ原産の帰化植物で、関東地方以西から沖縄まで帰化している一年草です。
市街地の道端、空き地や、畑地、田の畦などに生えています。
草丈は20~50cmの1年草で、茎はよく分枝して匍匐または斜上し、また直立します。葉腋に白~淡い紫色の5花弁で、先が淡いピンク色を帯びた小さな花(直径は6~8mm)をつけます。花期は5~9月。
萼は浅く5裂し、花と同じぐらいの大きさです。花柄は5~10mm。萼の基部に被針形の小苞が3個あり、萼に寄り添っています。
また、茎や葉柄、花柄などには白い毛が生えています。
葉は円心形、長さ5~8cmで5中裂掌状、各裂片にも鋸歯があり、長い柄があって互生しています。
秋に径10mm程の扁平な果実ができます。果実は10~14の分果に分かれていて、その表面は面白い形をしています。
この場所では今後、次の除草作業によって、実をつける頃までは残れないでしょうが、以前に別の場所で種を付けた株を見かけたことがあります。
2012年5月24日 (木)
アカヒメヘリカメムシ、スカシヒメヘリカメムシ、そしてブチヒゲヘリカメムシ
5月、フィールドにいた「ヒメヘリカメムシ科」のカメムシ3種です。
上翅に透明部分があり、体色が透けて見えるなど、似たもの同士で、見分けについて良く分からないところもあるのですが・・・
アカヒメヘリカメムシ:
大きさ6~7mmの小さめのカメムシ。全体は赤味のある黄褐色で、細かな黒点が見られます。イネ科、タデ科植物の汁を吸います。イネの穂を加害する害虫にもなります。
翅を閉じていても体の斑紋がよく見えます。
この個体は写真をよく見ると右中肢が欠損していました。
ブチヒゲヘリカメムシ:
6~7mmほどで、小さめのカメムシ。透明な上翅から体色が透けて見えます。アカヒメヘリカメムシとよく似た食性を示し、同様にイネの穂を加害します。
2012年5月23日 (水)
イチモンジカメムシ、ウズラカメムシ、ナガメ、ホソヘリカメムシ、クサギカメムシ
5月のフィールドや自宅に飛んでくる、ありふれたカメムシ。”ヘッコキ虫”に懲りもせず。
イチモンジカメムシ:
体長10mmほど。全体は淡い緑色で黒点が密に散らばっています。前胸部背に一文字の模様があるのでこの名前です。
模様の色は、♀は白色~黄白で、♂は淡い紅色だそうで、写真では少し赤く見えますから♂でしょうか。大豆の害虫ということです。
ウズラカメムシ:
体長9mmほど。全体は褐色で、頭部先から前翅中央に2本の淡い褐色条があります。またその間は濃い褐色で、中央に細く淡い線があります。
頭部が三角形で大きく、先が尖って下向きで、どこかウズラのような印象を与えることから付いた名前です。
年2回発生し、成虫で越冬します。イネ科の雑草の汁を吸います。
ナガメ:
体長8~9mm。黒地に橙色から赤色で、漆塗りの面の様な模様が目立ちます。菜の花など、アブラナ科の植物について汁を吸っています。
今頃一番多く目に付きます。
ホソヘリカメムシ:
体長16mmほど。後肢腿節のガニ股が特徴です。幼虫,成虫共に稲類や豆類などの汁を吸います。特にインゲン、大豆につく害虫です。
クサギカメムシ:
塀に飛んできました。平地でも山地でも普通に見られるかめむしです。模様がありますが、全体としては暗褐色で、体長は15mmほどです。年1~2回の発生を繰り返します。
成虫は特に多食性で、幅広い植物につき、ダイズなどの豆類や、ナシ、カキ、ミカン、モモ、リンゴなどの果実を吸汁する害虫です。
また成虫越冬の際に人家に入り込むことがあり、指でつまんだりするとその悪臭は強烈でひどい目に遭う衛生害虫の代表格。
なお幼虫はマツ、イチイ、スギ、サクラ、キリなど樹木につき、果実にはつきません。分布は日本各地。
2012年5月22日 (火)
コツバメ
5月中旬、山地林縁で小さな茶色のシジミチョウが草の上で、陽に向かって翅は閉じたまま、体を斜めにして止まっているのを見かけました。
コツバメでした。翅を開く気配は全くありませんでしたので、写真はこの1枚しか撮れませんでした。(画像はクリックで拡大します)
コツバメ(シジミチョウ科):
大きさ(前翅長)約14mm。春まだ浅い3月頃に飛び始め、6月上旬には姿を消すという、短い季節だけ姿を見せる蝶で、個体数も地域によっては少なくて、観察の機会は多くはありません。
他のシジミチョウと異なり、静止時には陽光に向かってもほとんど翅は閉じたままです。胴体は毛深く、雌雄とも翅裏の色は茶色ですが、翅表は♂渋い群青色、♀明るい水色という地味な色合いです。
雑木林の周辺に生息し、敏速に飛翔します。飛び続けることはなく、すぐに草の葉や地面にとまり、春の陽を十分に受けるために、太陽に向けて体を倒していることが多いのです。
表翅色の観察ですが、静止時にはまず翅を開くことはなく、さりとて敏速に飛翔中の翅表を撮影することは素人には至難の業で、なかなか記録は取れません。
幼虫は、アセビやツツジ類などの花やつぼみを食べます。
蛹で越冬します。成虫の出現時期は3~6月上旬頃まで 、分布は日本各地。
2012年5月21日 (月)
金環日食2012.5.21 ②画像
金環日食①am6:06~6:48
初めの頃は薄い雲でしたが、食の始まりと同時に厚い雲に覆われるようになってしまいました。
金環日食②am7:16~7:31
(全面雲に覆われてしまいました。雲のフィルターを通しての画像。日食グラスではほとんどわかりません)
金環日食⑤am7:36~7:46
金環日食2012.5.21 ①前置き
鹿児島から福島までの、およそ8000万人の人は見られるという世紀の天体ショー・金環日食。
太陽の前を月が横切ると太陽が月によって隠される部分ができますが、これが日食で、月の見かけの大きさが太陽よりも小さい場合、太陽の中に月がすっぽり入り、太陽がリング状に輝いて見える、これが金環日食。
[関東]で前回、金環日食が見られたのは173年前、次に見られるのは300年後とも言われています。(『彩の国だより』No.496から引用)
予行演習:2012.5.19、天気快晴。太陽撮影。黒点も見えました。
そして、当地の本日天気予報は『曇り』で、あらためて日本の天気予報の正確さを認識したのです。
午前6時過ぎ、カメラ2台持って、誰もいない田んぼ道へ。
薄曇りです。しかし十分明るい太陽です。観測用グラスをつけて1台のカメラをセット、試し撮り。
撮影予定概略時間:
①食の始まり 6:20
②金環食の始まり 7:32
③金環食最大 7:35
④金環食の終わり 7:37
⑤食の終わり 9:02
何とかいけそう。しかし、です、食の始まる直前から厚い雲が・・・。そしてそれでも食の初めのシーンは何度か雲が薄くなる時があって撮影のチャンスがありましたが、肝心の金環食の時間帯はすっかり厚い雲に覆われて、肉眼で、太陽のある位置が白く見えるだけの状態になってしまいました。(観測グラスでは、真っ暗で何も見えません)
幸か不幸か、厚い雲がフィルターになって金環食の画像は、観測グラスも、カメラのフィルターも不要で、そのままもう1台のコンデジで写真が撮れました。
(なお念のため注記します。当然のことですが、肉眼で直接、太陽は見ない様にして、デジカメのモニターを上から見下ろすようにセットし、モニターに見える白い光の塊を確認しながら撮影しました。)
期待された美しい整った金環ではなく、ふやけた太ウドンを”輪っか”にしたようなもの。
まあ、今生の、冥土の土産にはこれでも十分と、一人納得した世紀の天体ショー・フィーバーも終りになりました。(画像はクリックで拡大します)
前後の画像は次のページに(おざなりですが)記録しました。
(次ページに続く)
2012年5月20日 (日)
不明のハエ、ヒメセアカケバエ、クビボソハムシの仲間(アカクビボソハムシ)、ドウガネサルハムシ?
「五月蠅い」(うるさい)虫。
5月の草むらには一斉にいろいろな虫が出てきて、時にうるさく飛び回わり、また這い回っています。時には狭い庭にも小さい正体不明の虫がやってきます。
折々に撮りためたものを掲載しました。
不明のハエの仲間:
ハネオレバエ科の1種?(大きさ8~10mmほど)
ヒメセアカケバエ♂:
大きさ9mmほどで、胸部後半が赤いケバエ。頭(複眼)が大きいので♂。胸部以外は黒色で、見た目はよくありません。
花の蜜や腐った果実などに来ます。
不明のクビボソハムシの仲間?:
(大きさ6~7mm)オレンジ色の翅に点刻があり、特徴のある黒色斑がありました。図鑑を調べましたが名前はわかりません。
→再度検索した結果、アカクビボソハムシのようです。
ドウガネサルハムシ(ハムシ科)?:
銅色メタリックに光る”粒”に気がついて撮った小さな甲虫。大きさは4mmほどで、写真の絵合わせで似ていた名前ですが、正しいかどうか分かりません。
背面には光沢があり、密な点刻があります。
なおドウガネサルハムシなら、食草はノブドウ、エビヅル、ヤブガラシなどブドウ科植物。分布は本州、四国、九州。
2012年5月19日 (土)
カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、カスマグサ
いずれも、春先から草むらに蔓性の茎をのばして、近くのものに絡まりながら立ち上がるやわらかな蔓性の越年草で、マメ科ソラマメ属で越年草の御三家。
カラスノエンドウが先輩格で、おおよそのところ、花期は3~6月。続いてスズメノエンドウが4~6月。カラスとスズメの間(マ)だから、という名前のカスマグサは、やはり、間の4~5月が花期です。
5月は、3者そろい踏みで花を咲かせ、,実をつけてわかりやすい時期です。目新しさはありませんが、近くにはびこっているのを並べてみました。
カラスノエンドウ、カスマグサ、スズメノエンドウ3者の果実:
大きいのはカラス。小さいのは、鞘が毛深いスズメノエンドウ、見た目がサヤエンドウに一番近いのはカスマグサです。
2012年5月18日 (金)
ハチの仲間 ④クマバチ
5月はじめ、花盛りの菜の花にたくさん群れ飛んでいました。見かけによらず、きわめて性格”温厚”なハチで、何もしなければ、まず刺されたりすることはありません。
余談:
記事に無関係ですが、ご近所の庭先に性格”凶暴な”スズメバチの構造がわかる標本を”展示”してありましたので写真に。
標本になる前の巣は当然、外壁で完全に覆われていて、出入り口の穴が一つ開いているだけです。優れた建築家なのですね。(再掲)
2012年5月17日 (木)
2012年5月16日 (水)
カッコソウ/鳴神山(2012/5)(続)
椚田(峠)下のカッコソウ保護地を観察後、そのまま下ればコツナギ橋に下山できて、そこから車道を20分歩いて大滝口に戻ると周回コースになります。(再掲)
そのまま下っても良かったのですが、まだ時間も早く好天で、展望360度という鳴神山(桐生嶽)山頂を拝まずに帰るのはもったいないな、ということで、来た道を戻ることにしました。
往路を辿り、やがて上り坂になりました。そのまま進むとちょっとした鞍部になっていて、その進行方向左手に「桐生嶽山頂」への道標があり、右手を見ると足下に小さな祠が一つあって、何となく分岐点らしい道がありました。
ほんの数メートル踏み込んだところで、樹間から桐生嶽のピークらしいものが見え、またすぐ傍に道標があり、”引き返すと山頂(桐生嶽)、前進すれば座間峠・裏の肩”の案内でした。
そしてさらにびっくりしたことには、往路、確かに通過し、そこで写真も撮った「赤城山方面眺望」の標識がすぐ先にあるではありませんか。
どうやら往路のルートは眼と鼻の先を通過していたのでした。赤城山方面眺望の“眺望の岩”まで行ってあらためて赤城山の写真を撮ってきました。
そこから引き返す途中、今度は目前の灌木に、ほとんど文字が消えてしまった標識板が取り付けられているのが目にとまりました。
何とか判読できたのは、「この尾根道(往路通過したとルートと思いますが)は未公認の登山道です。次のことに注意して下さい」とあり、まだ続きが数行ある様でしたが、残りは全く見えませんでした。(写真の文字は後で画像の上に書き込んだもので実際ではありません)
ともかくあまり一般的なルートではなかったようで、ともあれ今回は仁田山岳/山頂の確認は出来ませんでした。
元の鞍部に戻ってから数分の登りで桐生嶽の山頂に着きました。4つの祠が置かれた山頂はうわさ通りの展望台で、案内標識にある山はすべて見えました。
北には男体山と日光連山、皇海(すかい)山、白銀の日光白根山、袈裟丸山から足尾山塊の山々、西には上毛三山と浅間山、西南には富士山、そして南西に都心の高層ビル群と東京スカイツリーはやや霞んでいて”老眼”には厳しかったですが。(写真はその一部です)
さして広くもない山頂に到着時には誰もいなくて、のんびり写真を撮り終わった頃、一組のご夫婦が、しばらくして”山ガール”二人組が登ってこられたので、お先においとますることにして、ヤマザクラ咲き残る雷神嶽神社へ戻ります。
後はひたすら、脇目もふらず、元来た道を大滝口へと下山しました。
(結果的には,今回のルートではなく、展望の良い桐生嶽に先に登り、その後で仁田山岳へ、そして椚田からカッコソウ移植地を経てそのままコツナギ橋に下る方が、カッコソウ撮影のためには良いコース選択でした。)
全くの余談ながら、上りより下りの方に時間がかかりました。予想した通り次々に、大滝口から大勢のグループ登山者があり、開花状況を聞かれたり、また通過待ち時間が増えたからです。やはりカッコソウ人気でした。
なお今回の所要時間は一般的な参考になりませんので省略しましたが、ぶらぶら時間も含めて4時間半程度でした。
最後になりましたが、あらためて「カッコソウ」の現状について:
カッコソウは、これまでに生育に適した自生地が戦後のスギ植林地の拡大で減少したうえ、園芸愛好者による採取が続くなどして、著しく個体数が減少し、環境省指定 絶滅危惧IA類(CR)にリストされていました。
残念なことにその後も依然として盗掘などの被害が後を絶たないため、カッコソウ(学名:プリムラ・キソアナ変種キソアナ)も本年(H24)4..20、 政令第134号により、[種の保存法](絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)に基づく「国内希少野生動植物種」に指定され、先日、H24. 5. 1施行されました。
これにより今後は盗掘や譲渡、輸出入、販売目的の陳列行為については罰則が適用されることになります。大切に見守りたいものです。
“手に取るなやはり野に置け蓮華草” (滝野瓢水)、だと思います。
2012年5月15日 (火)
カッコソウ/鳴神山(2012/5)
カッコソウ(勝紅草、サクラソウ科):
国内で唯一の自生地とされる鳴神山で、地元の人達が大切に保護管理されている移植地に咲くカッコソウの写真を撮りに行ってきました。
2012.5.13時点の記録です。(画像はクリックで拡大します)
鳴神山は、群馬県桐生市北部の梅田町と川内町にまたがる、古くから山岳信仰の対象とされた山で、山頂部は露岩の双耳峰です。
西峰が仁田山岳(979.7m)、東峰が桐生嶽(981.5m)と呼ばれていて、川内側では仁田山岳を、梅田側では桐生岳が、それぞれ祀られていて、山頂肩には雷神嶽神社があります。
国土地理院の地図で標高979.7mは仁田山岳の標高で、桐生岳の981.5m(桐生市基準点)が最高点ですが、地図上は仁田山岳にあるはずの三角点は確認できず、鳴神山の三角点は行方不明ということです。
主な登山道は梅田側と川内側からそれぞれ2経路ずつですが、さらに北側の座間峠と南側の吾妻山方面からの縦走路を含めると6経路になります。
今回はカッコソウの写真撮りが目的でしたので、カッコソウ移植地2カ所を尋ねることにして、大滝口から雷神嶽神社下の移植地へ、そして鳴神山を過ぎ、椚田(峠)近くにある保護地までのコースを往復してきました。
なお大滝口(ハイキングコース)入り口脇にある駐車場は、樹徳高校大滝山荘の私有地で、駐車禁止になっています。
付近の道路幅は狭いため、大滝登山口手前か、その先で、待避用に少し膨らんだ路肩に止めるしかありません。やむなく登山口から少し手前に戻ったところで路肩に駐車しました。
大滝口は鳴神山を代表する登山道だったそうですが、作業道を付けるため、旧の登山道は壊されて工事が進んでいましたが、その作業道も最近の大雨で抉られて荒れていて、安全上は特別問題ありませんが、大きな石がごろごろした荒れ沢のようになっていて大変歩きにくくなっていました。
大滝登山口の大鳥居をくぐり、広い作業道を歩き出すとしばらくで、大滝(不動滝)が見えてきます。落差10mほどだそうですが、立ち寄らず通り過ぎます。
整備作業中で、林道のなごりを残す広いガレ道と、途中に残るコンクリート道を過ぎ、さらに進むと間もなくで、しめ縄が張られ不動様が祀られた水場に出ます。数日前まで悪天候だったためでしょうか、かなりの水が流れていました。
ここまで登ると約六合目だそうで、さらに沢を登り詰めると15分程で斜面稜線と案内板が見え、最初のお目当てのカッコソウ移植地に着きました。
しかし、見渡すと何も無い!まさか、と張り巡らされた保護ロープのまわりをたどりながら登っていくと、ありました。
遠目にはサクラソウにそっくりのピンクの花をつけた株が2株。良かった!と、高倍率ズームのコンデジで光の当たり具合を気にしながら何とか写真に。撮り終えてから少し離れたところにも一株。こちらは道のすぐ傍でしたが、まだつぼみ。この時点では、ずいぶん少ないな、という印象でした。
あと、もう一カ所、椚田(峠)近くの保護地に行けばたくさん見られるはず、と気楽なぶらぶら登山に向かいます。
移植地斜面からすぐに、川内駒形登山道との合流点、“肩の広場”、そして目前の雷神嶽神社に出ます。
鳥居が二つ並んであり、正面(東側)の鳥居をくぐって登ると東峰の桐生嶽に、左側(西側)の鳥居をくぐって登ると西峰の仁田山岳への標識があります。
今回は、左側の鳥居をくぐり、(展望はない)仁田山岳へ。途中で“眺望の岩”があり、「赤城山方面眺望」、という小さな標識が木にくくりつけられていたので、そこで写真1枚(大間々町方面)を撮り、そのまま前進。
しかしその前後で桐生嶽への分岐点にも気づくことなく、特に仁田山岳山頂標識はもちろん、ピークらしい岩も祠も気がつかないまま下り坂になってしまいました。
どうやら素通りしたようですがそのまま下り、“仁田山岳あたり”から10分ほどの平坦な尾根筋に、“裏の肩”方面という消えかかった標識がありました。そこでザックに入れっぱなしにしていたGPSで現在位置確認、小休止、軽く中間食。
その後5分ほどで椚田(裏の肩)鞍部に着きました。そのまま直進すれば座間峠へ、西に下ると赤芝、東に下るとコツナギ橋への分岐点です。
そして、コツナギ橋側に、「カッコソウ北保護地3分下る」の小さな標識がありました。 2つめの(期待の)カッコソウ移植地です。
杉林斜面を下るとほどなく、期待通りの美しいカッコソウに出会いました。
保護活動をされている皆さんのおかげで、杉林の林床に咲くたくさんのピンクの花を”貸し切り”で見ることが出来たのです。 (続く)
2012年5月14日 (月)
ハチの仲間 ②ハグロハバチ
若草萌える5月の草むらにいました。ハグロハバチです。
名前の通り全身黒いハバチで、大きさは7~8mmほど。♀はお腹に白い紋がありますが、♂にはありません。
●ハグロハバチ♂:
翅を開いた時には、背中にある白い小さな斑点が2つが見えます。
●交尾中のペア(画面下が♂で、背中に小さな2個の白点が確認できます。):
●別のところで撮ったもの。腹部の白線がわずかに見えますので雌のようです。
幼虫はギシギシの葉を穴だらけにしている芋虫で、シーズン中にはフィールドで目立ちます。
2012年5月13日 (日)
ハチの仲間 ①セリシマハバチまたはキモンハバチの仲間
5月の草むらにしゃがみ込んだ時に、雑草のオランダミミナグサの花のまわりを行ったり来たり、小さなハチが忙しく動き回っているのが眼にとまりました。それだけでいいのですが、写真に撮れたので、名前は?となると素人には容易には判別できません。
ずいぶん前にも見かけていて、結局わからなかった記録とおなじ種類のものと思うのですが、今回各種情報と比較し、絵合わせだけで推測してみました。間違っているかも知れません。
2012年5月12日 (土)
メイストームとキジ
若かりし頃、よく聞きました。3月の風(March wind)は4月の雨(April shower)をもたらし、それは5月の花(May flower)を誘い、そして6月の花嫁(June bride)を連れてくる、と。欧米でよく知られている「ことわざ」だそうですが。
四季の中で一番“まばゆい”季節、だったのです。
今、「メイストーム」、和製英語だそうですが、お天気用語で、その名の通り4月後半から5月頃にかけて、主に温帯低気圧が急速に台風並みに発達して、各地で天気が大荒れになる気象現象のことで、すでにこれまでにも大きな災害記録があります。
この5月は、初旬、ゴールデンウイークの最中から大雨、強風、そして続いた雷雨、突風、竜巻と、まさに予想以上の”メイストーム”のせいで、各方面に大きな事故・災害が発生しました。
子供の頃は、特に竜巻なんて、大陸の砂漠や大草原で発生するものとしか思っていませんでしたが、現代は”スーパーセル”の発生などと昔は経験しなかった大自然の変化に対して、あらためて謙虚に目を向けないといけない状況になっているのですね。
人は当然のこと、自然に暮らす生き物にとっても影響は大きいに違いありません。当地で大荒れの天気になった去る5月3日~今日まで、散歩コースにある調節池の風景です。
大雨でも、災害防止について期待されたとおりに機能していることもわかった光景です。
平常時の水位で形成された草原で暮らしていたキジも、“想定外の”出水“で、生活環境が破壊されびっくりしたことでしょう。しかし、すぐに遠くに引っ越しはしないで、近くで仮住まいしている気配でした。
(すぐ下の写真で、画面右上の、水中に出ている川柳の木は、通常の水位では草原に生えているものです)
人の気配を察して草むらに座り込んでは見たものの、あまりにも間近だったため、やはり危険と感じたのでしょう、飛び立ちました。
時間差を置いて、雄1、雌2羽が飛び立ちました。あまり高くは飛びませんが、それでも、どこまで逃げようかと迷走のカーブを見せながら100メートル以上は飛んで、また堤防の草むらに降りたようです。
なお、その後も、まだ水が引かない草地の縄張りで暮らしているようです。
2012年5月11日 (金)
愛鳥週間2012始まる/ムナグロ
放鳥されたトキの雛も全国の皆さんに見守られて順調に育っているようですね。
(→ http://www.ustream.tv/channel/toki002 )
今年も昨日(5/10)から16日まで、愛鳥週間(バードウイーク)が始まりました。それにちなんで、飛来数が減少していると言われるツバメの全国的生息実態調査が、日本野鳥の会によって行われるようです。
これまで全国では、石川県で継続的な調査が実施されていて、過去40年間の調査結果が報告されていますが、やはり、この間に約1/3にまで減少してしまっているとのことです。
(→http://www.pref.ishikawa.jp/seikatu/kouryu/undou2PFD/tubame/japanese_survey.pdf )
子供の頃から大好きだった三好達治の詩に、
“あそこの電線に あれ ツバクロが ドレミファソラシドよ” というのがあります。
”ドレミ”、までしか見られなくなった原因は確かに思い当たることばかりです。電線は地中化され、田んぼは害虫発生防除が徹底され、巣作り出来る軒先は減少し、子供の頃に普通に見られた「詩情のある光景」は、もう記憶の彼方になってしまいました。
余談ながら自宅でもだいぶ前のことですが、軒下に初めてツバメが泥をくわえてやってきたことがありました。
何度か繰り返しやってきて軒下のモルタル塗装壁面に数粒の泥をくっつけていましたが、乾くとすべて剥がれ落ちてしまうため、数日でこなくなり、その後は全くやってきません。
さて、毎年、ほぼ田植えが終わったこの時期、近郊水田に、旅鳥《夏はシベリアなどの北国で過ごし、冬は暖かい南国で暮らす渡り鳥の中で、南北を移動する間の、春と秋に、日本に休息のために立ち寄る鳥たち》のムナグロが、小さな群れで入れ替わり姿を見せるようになりました。
田植えの終わった水田に降りて、歩いたり走ったりしながら、急に立ち止まっては田んぼに生息する昆虫、甲殻類、ミミズなどを食べているようです。
ムナグロはチドリ科の鳥で、全長23~26cm、雌雄同色で、成鳥の夏羽は、頭から体の上面は黄褐色と黒のまだらで、顔から下腹は黒色、その境目は白色です。嘴と足は黒色です。
成鳥の眼は真っ黒い顔に埋もれて遠目にはどこにあるのかわかりませんが、上向きに顔をあげたときに何とかわかります。
関東地方はこのところ連日、突風や竜巻、また雷雨などの注意報が出て天気が不安定です。元気で無事に旅を続けられるように。
2012年5月10日 (木)
ムラサキケマンの種子散布
3月下旬、庭先の雑草溜と化して久しいプランターに、ムラサキケマンが一株生えていました。どこからかアリさんが運んできて播いていった種のせいでしょう。
ムラサキケマンはケシ科の2年草でフィールドでは春早くから赤紫色の花を総状につけ目立つ存在ですが、プロトピン(Plotopine)を含むため有害植物です。
幼植物の頃はにんじんの葉のような形をしていて、山菜のシャク(山人参)と間違われたりして中毒する例もあるようで要注意です。
それはともかく、いつもは庭木の下に隠れるように芽生えてくるので、見つけしだい草取りしてしまうのですが、今回は雑草だまりのプランターなのでそのまま放置していました。
4月中旬に、総状花序が目立つようになっていましたので記念写真に。
四月末には複数の花茎が立った大きな株になって、一株の中に、既に花が終わり果実が出来上がったものから、まだ花を付けているものまで通して観察できるようになっていました。
5月連休中、草取りをしようとして、果実の鞘に触れた瞬間、パチパチパチッと鞘がはじけて、鞘ごと視界から消えてしまうか、またはくるくると巻いて種をはじき飛ばした鞘だけが小果梗に引っかかるようにして残りました。
鞘は複数の細胞層組織から出来ていて、外側と内側の細胞種差で生ずる膨張圧差で(→内外層に膨張率/伸縮率の差が出来るため)一瞬にして、割れた鞘を巻き込みながら中の種をはじき飛ばします。その瞬間は肉眼では追いかけられません。
そこで、まだ残っている鞘を一つ、ハサミで小果梗から切り取り、シャーレの中ではじけさせてみました。
その鞘には10個の黒い円盤状の種が入っていました。種にはエライオソーム(白い部分)が付いています。
エライオソームはアリの好物で、餌にするため種ごと巣穴に運んで行って食べますが、残りの発芽能力のある種は外に捨てに行きますので、ムラサキケマンは、まず自分で種をはじき飛ばして散布し、それをさらにアリに運んでもらって移動距離を稼ぐという勢力拡大戦略をとっているのです。
余談ながらスミレも、やはりエライオソームの付いた小さな丸い種をアリに運んでもらいますが、鞘がはじけても、自力で種を飛ばして飛距離を稼ぐことは出来ません。
植物運動の仕組みには色々ありますね。
2012年5月 9日 (水)
アメリカザリガニ受難
田植えの準備が始まった頃から、また田植えが終わった田んぼから、アメリカザリガニが田んぼの中や、そのまわりに這い出しています。
あぜ道に居て、近寄るとするすると歩いて田んぼの中に入っていくものも。
こちらは田んぼ脇の舗装農道にいた二人組です。高さ50cmはあるコンクリート擁壁の向こう側の田んぼから、”脱獄囚”のように擁壁の下に、得意技で地下トンネルを掘って舗装道路側に出てきたとしか思えません。
こういうやからは、やはり鳥の餌になったり、輪禍に遭ったりで、あまり明るい未来が開けるとは思えないのですが、そういう生き方を選択する性分のザリガニもいるのでしょうねえ。
田んぼの中を流れる水路には、生まれたばかりで、まだ川エビくらいの白くて小さいのがたくさんいます。
増えすぎて、時に水田に害があるとして厄介者扱いをされるアメリカザリガニにもめぐる季節です。
2012年5月 8日 (火)
アカメガシワの赤芽
アカメガシワ( トウダイグサ科):
アカメガシワは、空き地、荒れ地などに真っ先に現れ、生長速度が早いためすぐに大きくなる落葉高木です。
(先駆(パイオニア)植物のひとつで)用水路沿いの道端などに、いつの間にかはびこっていて邪魔にされることが多いです。
「冬芽と葉痕、維管束痕」でお世話になっていますのであまり邪険には出来ませんが・・・枝が張りだし、葉が大きく茂りはじめた農道で、通りがかりに暇つぶし。
新芽は名前のように赤い色をしています。
緑色の葉の表面に、赤色の毛(星状毛)が密生しているためです。
余談ながら、アカメガシワの冬芽は裸芽で、星状毛の防寒着を付けていて葉脈のシワがわかります。
2012年5月 7日 (月)
マツバウンラン
マツバウンラン(ゴマノハグサ科ウンラン属):
ご近所で、更地になった日当たりの良い宅地跡に、雑草に混じってマツバウンランが群生していました。
街中の公園芝地にぽつんぽつんと生えているのは見たことがありますが、これほどの群生を見かけるのは初めてです。
マツバウンランはアメリカ原産の帰化植物で、1年草または2年草。生育期に日陰になるような大型の植物が少ない造成地やグランドの端など、また公園の芝地などにしばしば群生するようです。
手前にある一株を引っぱると、茎は丈夫で、いとも簡単に根元から抜けました。ごく浅い根張りのヒゲ根があるだけでした。これなら草取りは簡単です。全長約30cmほどでした。
小さな肉厚の葉をつけて地表を這う株には不釣り合いに長い花茎(20~60cm)を、春に立ち上げ、花茎の下の方には松葉に例えられる幅1~2mmの細長い葉をまばらにつけ付け、上部に薄紫色で距のあるちいさな花をつけます。
地面を這う小さな葉でもやっていけるのは、秋から春までの間に日陰をつくるような競合植物が存在せず、十分に日光が当たる場所を生育地としていることを示しています。
花期は4~5月、分布(帰化地)は本州、四国、九州。
2012年5月 6日 (日)
マメカミツレ
マメカミツレ(キク科):
過去に何度か記事にしていますが、これまではすべて市街地の道路の片隅や、民家の境界地の、雑草などほとんど生えないわずかな空き地などに、ごく小さな塊になって生えていたものです。
文字通りニッチな環境で、あまり競合することもなく、見た目は ハーブのカミツレ(カモミール)を小さくしたような草姿で、”見苦しい雑草”というふうでも無いので、積極的に草取りもされず、厳冬期以外はそのような場所に住みついていたものと思います。
今回はじめて、3月中旬、まだ雑草もあまり伸びていない農道の裸地に、ぽつぽつと小さな塊になって生えているのを見つけました。
4月初旬に少し大きくなった株の写真を撮っていましたが、現在は除草剤散布により完全に消滅しています。
今までその場所で見たことがありませんでしたから、どこからか種が運ばれてきて、たまたま生育したのでしょう。
数株が絡み合って塊になっていました。茎は細く、地上を這い、上部は斜めに上へ伸びます。
頭花はキク科の特徴の頭状花序で、5~10cmの長い柄の先に緑黄色~黄白色、直径が約4~5mmの小さな花を一個つけます。
葉は互生し、2~3回羽状に深裂~全裂します。また、葉の表裏両面には細長い軟毛がまばらに生えています。
頭花は(舌状花がなく)筒状花だけなので、開花しても蕾のように見えます。中心に両性の筒状花が多数あり、花冠の先は4裂しています。
その筒状花の周囲に花冠のない雌しべのみの雌花が並んでいます。
頭状花序の周りには総苞片が一列に並んでいます。開花後に偏平な楕円形の種が出来て、成熟すると茶色になります。
熟した種は触ったり雨に当たったりするとばらばらとこぼれ散っていきます。
マメカミツレ:
オーストラリア原産の1年草。暖地の市街地の道端や空地に生えています。一株でもかなり多量の種が蒔かれるように思われますが、近くで見る限り、周辺に大繁殖するということはなさそうです。花期は3~12月。
2012年5月 5日 (土)
クロハネシロヒゲナガ/2012
こどもの日、そして立夏。命あるものすべて伸びゆく姿があふれる季節です。
さて、毎年この時期登場の定番記事です。クロハネシロヒゲナガという”あいそなし”の名前のように、黒い翅(光の受け方次第ですが)、白い髭(触覚)が長く、翅を広げたときの長さ(開張)はおよそ14mmほどで昼行性の小さな蛾。
当地では、草原がネズミ麦などイネ科の雑草やカラスノエンドウなどで緑濃くなる4月中旬~5月中旬くらいまで、草の隙間を、あるいは草むらのすぐ上をフワフワと飛んでいるのを見ることが出来ます。
はじめて知ったときには珍しいものと思ったのですが、そんなことはなく、多分どこにでも普通にいるけれど、目に付きにくく、気がつかないだけ、というのが実際のように思います。
今シーズンは、いつも観察できた草地が春まで行われた整備工事のため損なわれて、そこでは見つけられませんでしたが、全く別の場所で、飛んでいるのを見かけたものです。4月末日の、ほとんど風のない、曇り空の午後でした。
ヒゲ(触覚)の長い♂です。
(画像は同じ個体です。クリックで拡大します)
お暇な方は当ブログ内の過去記事(以下のリンク:毎年、よく飽きもしないで、と思うのですが)をご覧下さい。(アンダーラインの日付をクリックすると当該記事に行きます)
クロハネシロヒゲナガ過去記事:
11/05/18:クロハネシロヒゲナガ産卵行動と、吸蜜植物の観察
11/04/25:クロハネシロヒゲナガ(2011/4)
10/05/03:クロハネシロヒゲナガ、タンポポで吸蜜
10/04/28:クロハネシロヒゲナガ写真集(5)ルーペ観察
10/04/27:クロハネシロヒゲナガ写真集(4)ペアリング
10/04/26:クロハネシロヒゲナガ写真集(3)♀
10/04/25:クロハネシロヒゲナガ写真集(2)♂
10/04/24:クロハネシロヒゲナガ写真集(1)生息する草むら
09/05/29:クロハネシロヒゲナガ④捕獲個体の細部観察
09/05/28:クロハネシロヒゲナガ③光を受けて輝くオス♂のホログラム
09/05/27:クロハネシロヒゲナガ②メスを求めて飛ぶオス
09/05/26:クロハネシロヒゲナガ①初めての出会い
09/05/06:飛ぶクロハネシロヒゲナガ動画
2012年5月 4日 (金)
2012年5月 3日 (木)
カイツブリ
田植えが始まる直前、用水路にやってきた最後のカイツブリです。初めて飛び上がって逃げるのを見ました。距離は40mほどでしたが、後はいつものように潜って遠くに浮かびます。
よーく見ると、お尻の目印として、房状の羽毛でできた尾羽(尻尾)がチョコンとついています。
田植えが始まると、用水路へ排水された田んぼの濁り水のせいで、近郊上流地域の田植えがすべて終わるまでは、用水路の水位も変動し、またすっかり”濁流”になります。
一帯で大雨が降ると、調節池で流量調整が行われるため、特に水量変化が大きくなります。カイツブリにとっては”素潜り漁”には不適当な水域になってしまうので、当面姿が見えなくなります。
代わりに大量のコイが産卵のため遡上してくるのですが。
2012年5月 2日 (水)
バン/2012・春
昨秋、若鳥としてやってきて、用水路沿いで暮らしていたバンです。4月中旬頃までは、額板も赤くなり、すっかり大人になった姿が見られました。
しかし、近郊で田植えが本格的になり、用水路に流れ込む水量変化も大きく、また大雨の時には草地が水没したりして、営巣には不向きな環境になってきました。
そんなことはお構いなしに、田植えが終わったばかりの水田に入って歩き回っているのはカルガモばかりです。
バンは、より水位の安定した住みやすい場所に移動していったのでしょう。その後姿を見なくなりました。同じように、水路のほぼ同じ所に、1羽で暮らしていたオオバンも移動していったようです。
季節の変わり目です。
2012年5月 1日 (火)
キジ
♪夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る ~と、唱歌『茶摘み』に歌われた八十八夜は、立春から数えて88日目で、閏年の今年は5月1日。
緑の薫風が爽やかな季節のはじまりです。
再度、登場の、狩猟鳥で国鳥のキジです。
春先から、堤防の草叢、また田んぼの水路に伸びた雑草づたいに、雄キジの”ケーン”という鳴き声が聞こえてきます。
今時は居場所を告げて縄張り宣言とともにメスを呼ぶ声のようです。雉も鳴かずば撃たれまいに、ですが・・・
草地でばったり出くわしたキジです。草むらにしゃがみ込んで様子を伺い、危険ではないと見ると、やおら立ち上がり、飛び立たないで、まだ体を隠すことが出来るほど雑草が伸びていない草地を、驚くほどの速さで走り抜けて、100mほど先の物陰に姿を隠して行きました。
時には重そうに弧を描いて飛んで逃げるのを見ることもありますが、飛ぶのは苦手で短距離しか飛びません。
地上を走るのは得意で、時々スピードダウンはしますが、瞬間時速およそ30km位は出せるそうです。
別の日、田植えが始まった水田地域の中を流れる水路の草地から”ケーン”という声が繰り返し聞こえました。
声のする方に雄キジがいました。どうやら草むらに雌キジがいるらしいのですが分かりません。
鳴いた後で翼を広げて打ち振るわせ、ドドドと音がする「ほろ打ち」。求愛行動の1種といわれる羽を打ち振るわせる行動です。(写真中、後ろ向き)
残念ながら何事も起こらず、しばらくそこでうろうろしてから草むらに消えていきました。
さらにまた別の日の別の場所、ケヤキの植樹が大木になった休耕地で。例によって”ケン、ケーン”という声。
伸びだした草に隠れるように、様子を窺う姿がありました。
稲が、身を隠すのに十分な大きさに伸びる頃には、田んぼで小キジを連れた母キジ親子の姿を見ることがあります。