オオヨシキリ
散歩コースの調節池水辺に生い茂ったヨシを、カマで刈り取っている年配のおじさんがいました。
手作業で草刈りとは奇特なことだと、通りがかりに挨拶をしたところ、草刈りをしているわけではなく、『このあたりの水辺にマコモを植えているが、今年はみんなヨシにやられたらしくて見当たらない』、という。
ただし本当の原因は『ヨシのせいかどうか分からないが、その昔は、このあたり一帯の低湿地/農地水辺にはどこにでもマコモが生えていて、食用にしたものだ』、しかし『20数年前、数年間にわたる大規模の圃場整理事業が行われてから、一帯の水辺の環境がすっかり変わってしまい、マコモが消えてしまった。
それで、(趣味で)自分ひとりでマコモを植える作業をずっとやってきている』、というお話。(御年89才とのこと)
『せっかく植えても大雨の後は,流域の水量調節のために水辺の水位が大きく変動し、今シーズンは既に数回、マコモを植えている草地が、数日間にわたり水没したままになったり、その後、貯留水を放出して、水位が根元より下がってしまったりと、マコモの生育には条件が悪すぎたせいもあるのかな』,と残念そうでした。
水位事情はまさにそうなのですが、調節池本来の機能なので、これは仕方ありません。(ヨシはそんなことには無関係にはびこっていますが・・・)
『マコモ』は知らない、見たこともない、というと、『稲やススキによく似た植物で、見たければ潮来(千葉県)に行けばいっぱいあるよ、歌にも詠われているから聞けばすぐわかるし、ついでに成田山新勝寺にも、お参りしたらいい』、とのお教え。勉強になりました。いつか機会があればと思うのですが・・・
そんな、昔とは一変したという、水際の広い草地にはヨシが勢いを増し、堤防斜面沿いには、負けじとブタクサなどの大型雑草ものびています。
そのような環境はまさにオオヨシキリの格好の繁殖地にもなっています。
ただ、巣作りしたヨシが水没するリスクは、マコモと同じですから、決して「絶対安全」の環境とはいえません。
「そんな心配ばかりしていたら住むとこがないよ」、とばかり、先に”高台”にやってきた雄から順に、ギョギョシ、ギョギョシと仰々しい大声を張り上げて縄張り宣言をし、のども裂けよと真っ赤な口を開け叫び続けて、雌を誘っています。
そして、今は繁殖期の真っ最中のようです。まあ、無事に一族の繁栄を、陰ながら応援することにいたしましょう。
オオヨシキリ(ウグイス科):
体長18cmほど。夏鳥として4月頃日本に飛来し、全国で繁殖する。
ヨシ原に棲み、主に昆虫を食べる。
繁殖期は5月~7月頃で、ヨシの茎の間にお椀型の巣をつくり、4~6個産卵する。
抱卵は12~14日。巣立ちまでは14日程度。
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