オオモノサシトンボ(未成熟♀)
今夏、初めてで最後の、文字通り一期一会の出合いになったオオモノサシトンボ。まだ未成熟♀の1枚です。
これまでも出会う回数は多くはなかったのですが、ともかく見られて良かったです。
(画像はクリックで拡大します)
今夏、初めてで最後の、文字通り一期一会の出合いになったオオモノサシトンボ。まだ未成熟♀の1枚です。
これまでも出会う回数は多くはなかったのですが、ともかく見られて良かったです。
(画像はクリックで拡大します)
ゲジ(ゲジ科)抜け殻:
樹幹の根元近くにゲジの抜け殻がくっついていました。日本には中型のゲジと大型のオオゲジの2種類がいるそうです。
この抜け殻はどちらか分かりませんが大型のゲジ(オオゲジ)のものでしょうか。
一部の歩肢が欠損していますが多分15対あったようで、最終齢の脱皮殻かと思います。さぞかし脱ぎにくいことでしょうね。
ゲジは夜行性で、昼間は庭の石の下や草むら、床下などに生息しています。
肉食性で、昆虫やクモを捕らえて食べていますが、生きた餌しか食べないので、動きは非常に敏捷です
中型のゲジは大きさ(体長)24~32mm。歩肢の数は15対で、孵化した直後の1齢幼虫には4対の歩肢があり、脱皮毎に胴節と歩肢が増え(増節変態)10回~11回の脱皮で、2年くらいかかって成虫になるそうです。成虫の寿命は6年ほどという。
なお、“ゲジゲジ”というのはゲジの俗称です。
茨城県フラワーパークで見かけた昆虫の続きです。写真だけ。
キリギリス(♂):
自宅近くでは全く見られなくなって久しいです。草むらのあちこちから聞こえる”チョン・ギース”という鳴き声を聞いて子供の頃の”夏休み”を思いだしました。
近くには産卵管のある♀もいましたがすぐ逃げられました。
折しも夏休み、網・虫かご持参の、子供達を対象にした園内での昆虫採集/観察教室なども催されているようです。
猛暑日になった先日、近隣ではバラ園で有名な茨城県フラワーパークまで出かけてきました。ずいぶん久しぶりのことでした。
●ヤマユリ:
12,000株が咲き誇るという”やまゆり園”が整備されていて、今年は(やまゆりが)少し遅れて咲いたため、ただいま満開、とのアナウンスで、暑い中を見学に。
林縁の傾斜地に満開になった大輪のやまゆりが見事で、辺り一面、一帯にむせるほどにユリの香が漂っていました。
ハンカチなどとても間に合わず、ボトボトとしたたり落ちる汗はそのままに園地を一巡りしてきました。林縁にはたくさんのチョウやトンボなど、昆虫の姿が見られました。その一部です。
●ジャノメチョウ:
たくさん飛んでいましたが、日陰の林間や下草の陰を伝うように飛んで、時々明るいところを横切るだけで、なかなかシャッターチャンスがありません。翅は茶色ですが、目には,真っ黒く映ります。
すべてピンぼけ画像しか撮れていませんでしたが、小鳥にもそうとう追いかけられる様子で翅の傷んだ個体が多かったようです。
●ヒメウラナミジャノメ:
林縁を飛んでいましたが、結構明るいところに出てきます。木漏れ日のあるところでは、ヒラヒラ飛びながら、ちょうどスポットライトが当たったような草葉に止まると翅を広げ、写真用ポーズをとってくれました。おかげで、翅を閉じた時(翅裏)の、細かい波形の紋様やジャノメ模様の写真がありません。
●ニワハンミョウ:
落ち葉の地面を足早に歩き回っていました。あのきれいなハンミョウと違って、光沢のない暗銅色~暗緑色で、上翅に白い小さな紋があります。
平地から山地まで広い範囲の地表で見られ、地面を徘徊し、他の昆虫を捕らえて食べる肉食昆虫です。
●オオヒラタシデムシ:
葬儀屋さん、掃除やさん。ミミズに群がってむさぼり食う成虫と幼虫、そして、なんとまだ生きていて前肢を動かしているカブトムシ(♀)に囓りついている成虫(さすがにこんな姿はいただけませんが・・・)、すぐ傍には立派なカブトだけが残された♂の遺骸も。
(続く)
ホシアシナガヤセバエ(アシナガヤセバエ科):
足が非常に長く、体も細長い、一見アメンボのような体型のハエがクヌギの樹液に来ていました。
ホシアシナガヤセバエです。大きさは10mmほど。体の上面は茶色、腹部は白色です。普段はあまり目にすることはありません。
前後、左右にツツッと移動しては止まる,という行動を取りますので、条件さえ良ければ撮影は容易ですが、樹皮にそっくりな体色もあって、すぐに見失ったり、なかなかピントが合わなかったりで、写真は今ひとつでした。(画像はクリックで拡大します)
夏、クヌギなどの樹液に他の昆虫と共に良く来るハエの仲間です。腐った果実などにも集まります。
出現時期は6~8月、分布は本州、四国、九州。
●ウチワヤンマ(サナエトンボ科):
梅雨の頃から、晴れた日に池のまわりに飛んでいます。
殆どの場合、水面上に出た枯れ草の茎等に水平に止まって、時々向きを変えながら縄張りの監視に専念していますので、撮影は容易です。
(画像はクリックで拡大します)
ウチワヤンマは平地や丘陵地の池や沼、またその周辺で見られます。
大きさは7~8cmほどで(10cmのオニヤンマより一回り小さく)、腹部第8節側縁下方にうちわ状の付属物があるのが特徴です。
”うちわ”の外縁は黒色、内側は黄色です。
パタパタとは動きませんが、ゆっくり動かしています。どんな意味があるのやら・・・
♂(雄)は縄張りを持ち、水面上の草や小枝などに水平にとまって、時々方向を変えながら監視行動を続けています。
止まるときは殆どの場合に、前胸部にある前脚を、複眼と胸部の間にたたんで格納し、中脚と後脚だけで止まっています。
出現時期は5月下旬~9月。分布は本州、四国、九州。
余談ながら、せっかく近くにお目当てのオニヤンマ オオヤマトンボが飛んできても、すかさず追い払い、追撃しますから、オニヤンマ オオヤマトンボは全く止まってくれず撮れません。
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PS:
今日は、多くの皆様同様、なでしこジャパン/カナダ戦で寝不足、そして酷暑でまいりました。当分は続きそうですね。お気をつけて。
ムーアシロホシテントウ(テントウムシ科):
白星紋のある小さなテントウムシです。大木の根元の窪みにいるところを、はじめてお目にかかりました。
そのままでは様子が分からなかったので、一度明るいところに連れ出して撮影後、元の場所にお帰りいただきました。
チョコチョコと歩き回って動いている時にはなかなか撮れません。触ると”固まって、亀のように頭を透明な”前胸背板”の中に引っ込めてしまいますので、その状態の写真ばかりになりました。
奥からのぞいているような表情が何とも愛らしい印象でした。(迷惑なことで、怒っていたのでしょうが・・・)
体長は4~5mm。オレンジの地色に白い斑紋のあるシロホシテントウの仲間で、「シロホシテントウ」とよく似ていますが、本種には前胸背板に4つの白斑が並んでいることで識別できます。
地色のオレンジ色の濃淡には個体差があるそうです。白色紋の数は18個あります。(前胸背板に4個、上翅片側に2-2-2-1の7個、(上翅で×2=14個)
キイロテントウとともに、植物に寄生するウドンコ病菌などの菌類を食べる益虫とされています。幼虫も同様。
出現時期 は4~10月(成虫で越冬します)。分布は 北海道、本州、四国、九州。
キイロテントウ( テントウムシ科):
林の中を黄色い“点”がフワ-ッと飛んで地面に降りたので、傍に寄って見るとキイロテントウでした。落ち葉の腐植の地面を歩き回りながら、時々止まるのを追っかけ撮影。
体長4~5mmのきれいな黄色のテントウムシ。前翅は黄色一色で斑紋はありません。前胸部は白色で、1対の黒紋があります。
小さな木片につかまったらそのまま仰向けにひっくり返って”フリーズ”してしまいました。
赤アリが近寄ってくると頭を引っ込めてじっとしています。前胸背板は透明なので、頭部を引っ込めた状態でも辺りを観察することができます。
本種は、”ムーアシロホシテントウ”同様に、植物に寄生するウドンコ病菌などの菌類を食べてくれる益虫です。幼虫も同様です。
出現時期は4~10月、分布は北海道、本州、四国、九州。
梅雨明け前後の庭や公園などで、日中あるいは夜間、うろついていた普通のガです。
●フクラスズメ(ヤガ科シタバ亜科):
大きさ(開張)85mm前後。褐色地に黒褐色の模様があるガ。夜の公園で、カナブンなどと一緒に、口吻を長く伸ばしてクヌギの樹液を吸っていました。
雑木林によく見られる普通種で、夜、樹液に集まります。
成虫出現時期は3~4月、7~8月、10~11月(成虫で越冬します)。分布は北海道、本州、四国、九州 。
幼虫は、派手な色をしていて目立ちます。イラクサ、カラムシなどの葉を丸坊主にするほど食べています。
●ヒメトガリノメイガ(ツトガ科ノメイガ亜科):
ツツジの植え込みから飛びだしてきました。大きさ(開張)22mmほどのメイガです。淡茶褐色の翅に、特徴的な黒褐色の曲線模様があります。日中に活動し花で吸蜜しています。灯火にもやって来きます。
成虫出現時期は6~9月、分布は本州、四国、九州 。
幼虫の食草はキクなど科植物です。
●シロマダラノメイガ(ツトガ科 ノメイガ亜科):
梅雨の晴れ間の日中、見上げた柿の葉裏に貼り付いていました。葉ごと切り取って、明るいところに置いて1枚撮ったところで飛び去りました。
大きさ(開張)20mmほどの小型のガ。
成虫出現時期は5~8月。分布は北海道、本州、四国、九州。
幼虫の食草はガガイモ、キョウチクトウなど。
●マエキオエダシャク(シャクガ科):
日中、庭木の陰から飛びだしてうろうろ飛んだあと、ツバキの葉裏に止まったところをフラッシュ撮影。
こんなもの撮るのではなかったと思うほどインパクトのない、大きさ(開張)25mmほどで地味一筋、全身ほぼ灰色のガ。
お名前は、(幼虫は尺取り虫の)、マエキオエダシャク。フラッシュで全体が光ってしまい、目立ちませんが、大きな目が特徴ということです。また和名のとおり、前翅の前縁は淡黄色に灰褐色のまだらの模様がついているようです。
成虫出現時期は4月、6~8月(2回/年)、分布は本州、四国、九州。
幼虫の食草はクロガネモチ、イヌツゲ、ケヤキなど。
●アヤナミノメイガ(ツトガ科 ノメイガ亜科):
大きさ(開張)19mm。植え込みのツツジの葉裏にいました。暗色に淡黄色の特徴的な斑模様があるノメイガの仲間。本種も他のノメイガと同様に下草の葉裏に止まる習性があります。灯火にもよく飛来します。
成虫出現時期は 5~9月、分布は本州、四国、九州。
幼虫の食草はイノコズチ類。
夏、ご近所で日中、出歩いていたり、葉裏に貼り付いていたりしたガの仲間です(幼虫も)。
●ウスキクロテンヒメシャク:
前翅・後翅4枚の翅に一つずつ黒点が(見分けにくいですが)確認できるので本種としました。
ツツジの植え込みで蜘蛛の巣にかかり追い回されたすえ、何とか逃げ切りました。大きさ(開張)およそ20mm。
成虫出現時期は5-6、7-9月、分布は日本各地。
●マエアカスカシノメイガ(ツトガ科ノメイガ亜科):(写真上)
庭木に止まっていました。大きさ(開張)29~31mm、翅が白く透け、前縁部が赤褐色のメイガです。
成虫出現時期は4~9月、分布は日本各地。
幼虫はネズミモチ、イボタノキ等につきます。
●コベニスジヒメシャク(シャクガ科):(写真下)
植栽から飛びだしてきました。大きさ(開張)19~25mm、成虫出現時期は6~9月、分布は日本各地。
●カノコガ(カノコガ科):(写真上2枚)
あぜ道のノゲシに止まっていました。大きさ (開張)約35mm。草原で普通に見かける昼行性のガです。日中に活動していろいろな花で吸蜜します。
出現時期は6~9月、分布は日本各地。
幼虫は、シロツメクサ、スギナ、ギシギシ、タンポポなどを食べています。
●ウメエダシャク(シャクガ科):(写真下)
日中、カナメモチの生け垣のまわりをヒラヒラ飛んでいました。
大きさ(開張)35~45mmほど。おもにウメの木で発生するシャクガの仲間。
昼行性でひらひらと木のまわりを飛びます。
成虫出現時期は6~7月、分布は日本各地。
幼虫はウメのほかモモ、サクラ、ニシキギ、スイカズラ、エゴノキなどを食べます。
●オオスカシバ(スズメガ科ホウジャク亜科):
大きさ(開張)50~70mm 。草地に開いた花の周辺を飛び回っていました。うぐいす色の太い胴体を持ち、透明の翅を素早くはばたかせて直線的に飛ぶスズメガの仲間。
昼間に活発に活動し、ホバリングしながら 忙しく動き回ります。
出現時期時6~9月、分布は本州、四国、九州。
●ホソバセダカモクメ(細羽背高木目)(ヤガ科)幼虫:
あぜ道に生えた食草のノゲシを食べていた中齢の幼虫です。体長40mmほど。
食草はハルノノゲシ、アキノノゲシなどキク科の雑草。畑でレタス、サニーレタス(キク科)などを食い荒らすこともあるそうです。
幼虫出現時期は年2 回(5~6月、9月頃)。
蝶と蛾、チョウはきれいで、ガは気持ち悪い”と差別的な”ことを言って専門家にお叱りを受けたことがあります。
実際に、チョウのように(きれいに)見えるガもいれば,(気持ちワルイから)ガに決まっていると思い込んだために、正体不明だったチョウもいます。
『ガもチョウも、生物分類学上では特に違いはありません』.というのが、専門家のお答えです。
そんな前置きはさておいて、今回は気持ち悪さも大きさも、”きれいさ”もまちまちの、この夏見かけた「ガ」、ばかりです。
モモスズメ(チョウ目スズメガ科):
里山の公園(写真上2枚)や、自宅の庭木に止まっていたもの(下3枚)です。大きさ(開張)70~90mmのスズメガの仲間です。
前翅に波形模様と小黒点が一つあります。また後翅は薄紅色をしています。
果樹園や雑木林周辺で見られ、市街地の灯火によく飛来して、朝方に灯火の近くの庭木などにじっととまっているのも見かけます。
幼虫は、モモ、ウメ、サクラ、ビワ、リンゴ、ヤマブキなど、いろいろな樹木の葉を食べます。
成虫出現時期は5~8月、分布は北海道、本州、四国、九州。
ウンモンスズメ(雲紋雀)(チョウ目スズメガ科):
6月に街路樹の葉先にぶら下がっているのを見かけましたが、こちらは公園のケヤキ林脇で、植栽のツツジの下葉にぶら下がっていたものです。
隠遁の術で完璧に風景にとけ込んでいて遠くからは分かりません。撮影に邪魔になる傍の枝葉を触っても全く動きませんでした。大きく膨らんだ腹部の様子から♀ではないかと思いました。
成虫の大きさ(開張)は65~80mmで、体と前翅は緑色、後翅は赤色を帯びています。灯火にもよく集まります。
幼虫は公園にも植樹されているニレ科のケヤキ、アキニレの葉を食べます。
成虫出現時期は5~9月、分布は本州、四国、九州。
ヨツボシノメイガ(チョウ目ツトガ科):
公園のツツジ植栽から不意に飛びだして林間をしばらく飛び回ったものがいました。”チョウ”に見えるでしょうか”ガ”でしょうか?やはりガでチョウね。運良く大木の根本付近に貼り付いたので近寄って撮れました。、
大きさ(開張)は33~37 mmで、前翅に3つの白紋と1本の白紋列、後翅に1つの大きな白紋がある(チョウのようにも見える)きれい(か)な?、メイガのなかまです。
ツトガ科のメイガの多くは、林縁下草の葉裏にとまるという共通の性質があり、見つけにくい、また撮りにくいことが多い中型のガです。
成虫出現時期は5~9月、分布は北海道、本州、四国、九州。
ヒトツメカギバ(チョウ目カギバガ科):
低木の葉裏に止まっていました。下から見上げるアングルで、近接フラッシュ撮影になり、少し色飛びしています。薄暗い樹間を飛ぶと白いチョウのように見えました。
大きさ(開張)30~44mm。白色で、前翅に茶褐色の眼状紋があり、前翅の周縁と後翅には灰褐色の細かい斑紋があるカギバガの仲間です。
出現時期は6~10月、分布は北海道、本州、四国、九州。
幼虫の食草(樹)はミズキ類の葉です。(なお、ミズキは公園樹としてもよく植えられています。樹高は10~15m、枝は扇状に四方に広がり、広卵形から楕円形で葉柄がある葉が互生しています。初夏に新枝の散房花序に多数の小さな白色4弁花をつけます。果実は核果、球形で紫黒色になります)
ツマトビキエダシャク(チョウ目シャクガ科エダシャク亜科):
夕刻の公園の植え込みにいました。遠目には、緑葉の半分が枯れている、とは見えませんでしたが、すぐにガとも思わず、別の枯葉が載っているのかと思いながら傍に行くと「ガ」だったのです。
まだ十分明るい夕刻で、葉を揺らしても、裏返しにしても逃げる気配がありませんでした。お出かけ前の休憩中だったのでしょうか。
大きさ(開張)35~45mm。翅は見た目が全体的に紙のように薄い感じで、地色は淡黄色。翅の縁がギザギザしていて、前翅の端にこげ茶色の模様があります。
成虫出現時期は 5~7月、8~9月(年2回発生)で、分布は北海道、本州、四国、九州。
なお、幼虫の食草はクワ科クワ。
夏に向かって、それぞれの生き様がうかがえる身近のチョウたち。
草原で一族の繁栄を期して、仲良し中のモンシロチョウとベニシジミ。
夜来の大雨が小降りになった朝方、庭の徒長したバラの梢で、葉裏にぶら下がるように止まって動かないツマグロヒョウモン(♀)。
何処かで羽化してここまでやって来たのでしょう。午後気温が上がってからやっと飛び立っていきました。
お目当てのクヌギの樹液が出るにはまだ少し早い公園で、林近くの植え込み地面に降りてうろうろしていたコムラサキ。
ここまでは、鳥に追い回されることもなく、とりあえず平穏な生活だったらしいナミアゲハ(上)とキアゲハ(下)。
薄暗い林間や直射日光に曝されない葉陰を選んで生活しているヒカゲチョウ(写真上2枚)とヒメジャノメ(下)。でも、めざとい鳥は追いかけて来るのです。
地味な装束もいささか傷んでいて、生活の苦労がにじんでいますが、まだまだ大丈夫。これからもがんばります。
6月中旬のこと。駐車場の片隅に積んでいたプラスチックコンテナの上の物品を下ろしたところ、格子状に成形されたコンテナ容器底の一角に小さな”トックリ”がありました。
トックリバチの巣です。
積んであった品物のわずかな隙間から出入りして巣作りしていたようで、全く気がつきませんでした。
トックリの口は開いていましたので、ちょっとのぞいてみましたが、それだけでは様子が分かりません。
あるいはもう既に放棄された古いものかと思って指で押してみると、底部を残してポリッと取れました。
そして、開口部から中に(相対的に)大きなガの幼虫らしきものが少なくとも3匹詰められているのが見えました。
巣作り進行中だったのです。やむなく、とりあえず、剥がれてしまった底部の円盤の上に、元のように載せておきました。
そして翌日の午前中、なんと口は塞がれ、近くに、1匹のイモムシが落ちていました。イモムシは触るとゆっくり動きますので、麻酔状態にした”生き餌”として運んできたものが、もうトックリの中に入らなかったものと思われます。
(底が抜けたトックリ画像をパソコン大画面で見ると、明らかにトックリの中に詰められていた幼虫と同種のもので、野菜の害虫「カブラヤガの若齢幼虫」らしいことが分かりました)。
中に入れようとしたり、入り口を塞いだりする作業でトックリが動いたらしく、載せただけの底部の円盤からずれてしまっていました。
親の来訪はもうありませんから、壊した”責任上“、円形に切ったプラスチックシートを瞬間接着剤で底部に貼り付けて補修しました。
そして成り行きを見届けるために、デザートのプラスチック空容器2個を重ね合わせて上部に空気孔を開け、吊り下げられるようにした、間に合わせの”観察ケース”を作って中に入れ、否応なしに目にすることができる玄関先の外壁に下げておきました。
それからちょうど一ヶ月後の7月10日お昼前、外出から帰ってきたら、玄関先の容器からかさかさと音が聞こえ、1匹のハチが白い液を排泄しながら動き回っているのが分かったのです。
ガラス板で蓋をして、我が家では初対面のトックリバチの誕生記念撮影をしてから蓋を外すと、元気よく”ブンッ”と、蒸し暑い梅雨の合間の晴れ間に飛び立っていきました。
親が準備してくれた食糧は完食したようです。無事に誕生して良かったです。
小さな昆虫の世界とはいえ、なかなか見事なものです。
トックリバチ(=ミカドトックリバチ)(スズメバチ科):
体長13mmほどで、黒色の体に胸部と腹部に黄色い帯状の模様、そして前胸背面に三日月型の黄色い紋が1対あります。
名前にように、泥土でトックリのような形の巣を作ります。徳利の天井に卵を1個だけ生み付け、ふ化後の幼虫の食糧として仮死状態にしたガの幼虫を詰めこみます。そして入り口を泥で固め、ふたをしたら”個室住居”の完成です。
孵化後、ガの幼虫を食べて成長し、約1ヶ月後には、羽化してトックリの壁を破って外に出てきます。
蜂の巣状の集合住宅ではなく、立派な個室住宅をあちこちに作るミカドトックリバチの親も大変でしょうね。成虫出現時期は6~9月。分布は日本各地。
カブラヤガの若齢幼虫:
若齢幼虫は、日中も野菜などの葉裏に集団でとりついていて、主として葉を食害しています。
老齢になると日中は土中に潜み、夜間に葉や茎を食い荒らし、食べ尽くすと根まで噛みきって食べてしまうので、家庭菜園の大敵であるネキリムシと呼ばれる害虫の仲間。
普通のカメムシの背は、三角形の小楯板と、左右の前翅がはっきり分かれて見えますが、アカスジキンカメムシの背は、小楯板で亀の甲のようにすっぽり覆われていて、前翅は付け根からその先の革質部がわずかにのぞいていますが、続く膜質の大部分は小楯板の下に隠れています。
この確認のため、迷惑だったと思うのですが、しばし撮影に協力してもらってから、お別れしました。
1)あらためて全体の様子を。
背中は亀の甲のように大きな小楯板ですっぽり覆われています。
2)前翅の付け根から少し先さきまでの革質部分が、”亀の甲”から少しだけはみ出して見えていますが、膜質など主要部分は隠れています。
3)ほんの一瞬、飛び立つ準備をするかのように、”亀の甲”の両脇から前翅が(後翅も)、ぱっと繰り出されましたが、飛び立つことはなく、元のように、小楯板の下に納められてしまいました。
”こうなっているぞ”、と教えてくれたのでしょうか。
4)お尻から。
たたみ込まれた前翅膜質の黒い先端部が”亀の甲”からわずかにのぞいて見えます。
5)最後に、透明プラスチック板に這ってもらって、裏返しにして腹側から1枚。
この後、元気よく飛び立っていきました。なお、直接手で触ったりしていませんから、臭いにおいを放つカメムシかどうか体験していません。
夏の草原や林縁でうろうろしていたヘッピリムシ仲間です。
●シロヘリクチブトカメムシ(カメムシ科):
草原にいました。大きさ13~15mmくらいで、背中の縁が白く、口が太めだから「白縁口太カメムシ」。
南方系のカメムシですがだんだん北上して今では関東にも定着しています。
不完全変態で幼虫の時からチョウやガなど鱗翅目の幼虫を捕捉して体液を吸うクチブトカメムシの仲間です。
出現時期は5~10月、分布は 西南日本~関東地方。
●チャバネアオカメムシ(カメムシ科):
林縁にいました。体長11mmほどで、翅が茶色で体は緑のカメムシです。
灯火にもよく飛来します。サクラ・クワ・カキ・ミカンなどの果実を食害する害虫です。
出現時期は4~11月。分布は日本各地。
●クヌギカメムシ(クヌギカメムシ科):
林縁にいました。全体は黄緑色から淡い黄褐色で、小さな黒点が散らばり、縁が黄白で縁取られています。
クヌギや、コナラに寄生して葉の汁を吸います。
出現時期は5~10月、分布は本州、四国、九州。
●ムラサキシラホシカメムシ(別名ツヤマルシラホシカメムシ)幼虫(カメムシ科):
初めて庭にやって来ました。成虫は大きさ5mmほどの小さなカメムシですが、単独では、よく似たマルシラホシカメムシとなかなか区別が難しいです。
(成虫の,黄白色の丸い斑紋の大きさで区別されています。大きい方が本種で小さいのがマルシラホシカメムシ)
銅色の体に、ふたつの白い斑点がトレードマークです。じっと見ているとお面のように見えてきました。
草原周辺に普通に見られ、イネ科植物や、タンポポ、ハルジオン、ツユクサなど、いろいろな植物の汁を吸っています。
出現時期は6~9月、分布は本州、四国、九州。
●アカスジカスミカメ(カスミカメムシ科):
大きさは5~6mmほどで、体色が、とりついていた雑草ネズミ麦の穂とそっくりだったので、目をこらさないと分からないほどでした。
”絵合わせ”では、アカホシカスミカメにも似ていますが、アカスジはイネ科植物、特に稲の重要害虫ということで、イネ科雑草についていたのでアカスジ、としました。
ただ、体全体の赤色パターンはよく一致していますが、標準的なものにくらべてずいぶん淡いので、あるいは違っているかもしれません。
なお、アカスジカスミカメ発生時期は年4回ほどで、5~10月、分布は日本各地。
梅雨の最中のうっとうしい日々が続いています。朝、つけっぱなしにしていた携帯ラジオから「これまで経験したことがないような大雨」という警戒・注意情報が流れてきて、何事が起きているかと驚いた日の夕刊には、大きな災害発生の報道が・・・
お見舞い申し上げるとともに、くれぐれもお気をつけて。年々その激しさが増してくる災害列島です。他人ごとではありません。明日は我が身です。
昨年は都合で遅れてしまったゴーヤの緑のカーテンが今年は順調にできています。
ゴーヤ・カーテンには、やって来る小昆虫などを目当てにカナヘビが登っていたり、まだ小さなアマガエルがいたりして、雨模様の日は、リビングからボーッと眺めていると無聊の慰みにもになります。
昨日は、朝から小雨模様で風が強い1日だったにもかかわらず、ノシメトンボが来ていました。
毎日欠かさずやってくるので、”うちのトンボ”として、単細胞の頭には、愛着が増してくるのです。
支柱の先に止まっていたトンボ君に、”この指止まれ”、と指を出すと、
”手乗りトンボ”のように、すっと指先に。脳天気とんぼと極楽とんぼです。
雨降りの後に開く、植えっぱなしの”レインリリー”(園芸種球根)がピンクの花を開き、蒸し暑い、うっとうしさも少しは救われます。
そして、雑草溜まりの鉢の中に、雨に濡れ、息絶えたシオヤアブ(♀)が一匹落ちていました。
これも自然の成り行きです。
ヒゲコメツキ(カブトムシ亜目 コメツキムシ科):
林縁の歩道脇で、半分枯れ落ち葉に隠れるように、立派な触覚のある、小豆色に光る甲虫が”落ちて”いました。
普通ならすぐに逃げるはずですが、まったく動きません。お得意の死んだふりではなさそうで、拾い上げてみると、ヒゲコメツキ(♂)の“ご遺体”でした。
とりあえず遺影を撮らせていただきました。外観上は、立派な櫛の歯状の触覚も含めてどこにも損傷はありません。。(画像はクリックで拡大します)
「袖振り合うも多生の縁」、お弔いの段取りをと思ってあたりを見回せば、近くの物陰などにひっそり佇む自然界の葬儀屋さん、オオヒラタシデムシの姿がありました。
林縁のあちこちにいましたが、たいていは明るい場所を避けて物陰を伝うように動き回るので、ピンぼけが多く、フラッシュ撮影では少し色が違って見えますが、日陰の自然光では緑灰色を帯びた黒色に見えました。
まだみずみずしいミミズの死体に齧りついて動かないものもいました。
余計なお節介は不要のようで、一切お任せすることにしましたが、途中で見かけたクワガタの立派な大顎は、葬儀屋さんのお仕事だったのでしょうか。
それはともかく、何れの日にか、元気なヒゲコメツキのお仲間にお目にかかりたいものです。
ヒゲコメツキ(コメツキムシ科):
背面は光沢のある赤褐色で、黄白色の細かい紋をもつ体長24~30mmの大型コメツキムシ。
オスの触覚は大きく立派な櫛状ですが、メスの触角は鋸歯状です。ブナ、コナラなどの葉上にいて、昆虫などの小動物を捕食しています。
幼虫は腐葉土中や朽ち木の中に棲息します。成虫出現時期は6~8月。 分布は北海道、本州、四国、九州。
オオヒラタシデムシ(シデムシ科):
体長は約23mm で、緑~青灰色をおびた黒色の扁平な体型。上翅にあらい縦筋と細かい点刻がある大型の甲虫。
シデムシという名前は“死出虫”または“埋葬虫”と書かれ、陰気な印象は否めませんが、ミミズや昆虫など小動物の死体や糞を食べる森や野原の掃除屋さんです。目立たないところで自然界をきれいに保つ裏方です。
出現時期は4~10月。 分布は北海道、本州、四国、九州。
●ウスバキトンボ (トンボ科 ハネビロトンボ亜科):
6月下旬くらいから、田んぼ道を歩くと、緑の稲田の上を群れて飛ぶウスバキトンボが大変目立つようになりました。
昔は精霊〈蜻蛉〉(ショウリョウトンボ)と呼んで、旧暦のお盆の頃に群れて飛んでいたものでしたが。
日中は、水辺から離れたところで、あまりはばたくこともなく広い翅で風を捉え、グライダーのように飛び続けて、見ていても草木などに止まることはほとんどありません。
数日かかって、たくさん群れ飛んでいる中で、偶然1匹だけ、ヨシの茎に翅を開いてぶら下がったところが撮れました。体長は5cmほど。
見るからに軽そうで、華奢な体つきです。
本種は寒さに弱く、日本国内では冬期に死滅するため、毎年春に南洋から日本南部・九州、四国地方に群で海を渡ってきた成虫が、晩春~秋までに数回(4~5回/年)の世代交代を繰り返しながら移動/北上を続け、分布をひろげて行きます。
盛夏には、水田、用水路、時には防火水槽や学校のプールなどでも産卵して、羽化まで40日ほどで成長するという繁殖スピードです。
真夏に、全国で群れをなして飛んでいるトンボは、各地で繁殖した個体群なのでしょう。
幼虫(ヤゴ)はミジンコ類、ユスリカ類やハナアブ類 、カゲロウ、カワゲラ、トビケラ類などの幼虫を捕食しています。
成虫は、飛びながら、ユスリカ、アブなどの飛翔性昆虫を捕食するので、なおさら地上に止まることが少ないのでしょう。
出現時期は4~11月 、分布は北海道・本州・四国・九州・沖縄。
●チョウトンボ(トンボ科)
こちらは夏の池端で、ヒラヒラとチョウのように飛んでいるおなじみのトンボです。抽水性植物(ヨシ、マコモ、ガマ、ハス、コウホネ、やオモダカなど、根が水中にあり、茎や葉を水面上に伸ばして生育する植物)などが生えた池や沼等の周辺で見られます。
翅は光を反射してメタリックな青紫~黒色に光り、きれいです。前翅は細長く、後翅は幅広で、腹部は細くて短いので、体長3.7cmほど。
出現期は6~9月。羽化は6月中旬ごろから始まるようです。分布は本州以南。
初夏の林縁で見かけたハナムグリの仲間です。
アオハナムグリ(コガネムシ科):
日陰の落ち葉の上に飛んだので、フラッシュ撮影になり色飛びしてしまいました。白い斑点模様はコアオハナムグリ(大きさ10~14mm)に似ていますが、体長15~20mmと大きく、体色もきれいな緑色です。また体表にはコアオハナムグリほどの細毛は生えていません。
分布は日本各地。出現時期は5~9月。
クロハナムグリ(コガネムシ科):
体長13mmほど。全身がビロウドのような黒色で、光沢はなく、前翅の中央部に外から内へ“液だれしたような” 淡橙白色の帯状紋があります。
前胸部背にも特徴的な紋が見られました。
成虫は花に集まり、幼虫は朽木や腐植土を食べます。
出現時期は5~8月、分布は日本各地。
アオオサムシ(オサムシ科):
日中、薄暗い地面を歩いていました。フラッシュ撮影です。体と脚は黒色で、背面には金緑色の光沢があり、上翅には鎖状の筋と点刻があります。
足早に周囲を歩き回りますが、後翅は退化していて飛ぶことができません。
平地から山地周辺の地表に住み、日中は倒木や落ち葉の下、土中などに身を潜め、夜になると地上を歩きまわって、他の昆虫やミミズを捕らえて食べるとされています。しかし日中でも歩き回っているようです。
本州の関東・中部より北で普通に見られます。大きさは22~33mm。今回見つけたものは大きく、およそ35mmくらいでした。(成虫で越冬し)出現時期は4~10月。
後日、雨上がりの日中草むらから這い出してきたミミズではなく、小さなナメクジを見つけると、瞬時に襲いかかり、鋭い大あごで噛みきって食べてしまいました。ナメクジ退治に一役かってくれているのかも知れません。
半分にちぎれたナメクジはそのまま這っていきました。
ともかく、一瞬の出来事で、襲う瞬間には間に合いませんでしたが、短い(8秒)動画です。
土木工事に際して運び込まれてきた土に混じっていた種によって、これまでに無かったところに今夏、突然出現した強害雑草オオブタクサの大群落。
少し小型の仲間ブタクサとともに北アメリカ原産の帰化植物で、どちらも晩夏から秋にかけて、スギ、ヒノキ花粉症などに次いで多いとされる「ブタクサ花粉症」の原因植物として、疎ましい限りです。
除草作業で、かなり減りましたが、手つかずで残されたところも。そんな”ブタクサ藪”に様々なムシが集まっていました。
●ブタクサハムシ(ハムシ科):
その名の通りブタクサで大発生します。北アメリカ、メキシコ原産の帰化種小型ハムシ。体長4.2mmほどで、黄褐色に縦長の黒い紋が特徴的です。
幼虫も成虫もブタクサ、オオブタクサを食草として発生しますが、ヒマワリやキクイモなども食害する害虫です。
ブタクサ、オオブタクサだけを枯らすまでに食べてくれるなら”益虫”なのでしょうが・・・
出現時期は6~9月 、分布は 本州、四国、九州。
●コガネムシ(コガネムシ科):
オオブタクサの葉の上に数匹いて、大量のウンチをしていました。草藪にもたくさんいました。
童謡に歌われている“お金持ち”のムシ。体長22mmほどで、全身が金緑色に輝くきれいな甲虫です。
成虫は色々な植物の葉やクヌギ、ナラなど広葉樹の葉も食べます。幼虫は植物の根を食べます。植え替え時の植木鉢で鉢土中に見つかることも。
●アシナガバエ科のハエの仲間:
ブタクサの大きな葉の上を忙しく歩き回っている小さなハエ(♂)の仲間。フィールドで普通に見られます。庭にもやって来ます。
体長5mm前後で、肢が長く、メタリックな金緑色に輝くスマートな体型をしていて、小さくてもとても目立ちます。
●ブタクサの葉にとまっていた不明のハエ/アブ(?)の仲間:
いずれも10mm未満ほどの小さな虫です。
草むらに生息する小さな虫たちの世界のほんの一部です。
生い茂った夏草の原っぱで生まれ育っていた虫たちが、7月はじめから始まったから夏の雑草除草作業のあおりでねぐらを追われて跳びだしてきます。
それをよく知っている鳥達がやってきてついばんでいる姿も、年中行事の一つですが。
草むらの昆虫が全部育ったら、それはまた大変なことでしょうから・・・
イナゴ幼虫:
大きさはやっと10mm弱。コバネイナゴと翅の長いハネナガイナゴがいますが、どちらの子供か分かりません。近くに多いのはコバネイナゴですからこちらでしょうか。
エンマコウロギ幼虫:
幼虫の頃から既に大柄で12mmほど。黒い体に背中の白線がトレードマーク。産卵管が見えないので♂でしょう。
マダラスズ幼虫:
♂(写真上)と、産卵管がある♀でほぼ成虫に近いようです(写真下)。
芝生や原っぱ、道ばたなどで普通に見られます。成虫の大きさは8~12mmほどで、体の色は黒く、後脚に黒白の縞模様があるヒバリモドキの仲間です。
メスは成虫でも翅が短いです。オスは草むらで日中でもビィーッ、ビィーッ、ビィーッと鳴いていますが、あまり大きな声ではありません。
出現時期は6~7月、9~11月、分布は日本各地。
トノサマバッタ:
草むらや稲田から勢いよく飛びだしていくのは成長したトノサマバッタ。たくさんいます。サギに狙われます。
ケラ(コオロギ上科・ケラ科):
穴掘り名人。草地から追い出されたせいか、アスファルト舗装の上を歩いていました。乾燥に弱いので危険ですが、よほどの事情だったのでしょう。
俗にオケラと呼ばれています。初夏に草地から聞こえてくるジーッという連続音の鳴き声は、昔はミミズの鳴き声といわれていました。
防災有線放送で、”熱中症に注意して下さい”、と繰り返しアナウンスがあった日中、うろうろと外出すると、やはり暑いです。
田んぼ道まわりには、むさ苦しい、暑苦しい、そして涼しげな野の花が咲いています。
イヌゴマ(シソ科イヌゴマ属):
田んぼの水路脇に、雑草に絡まれて茎をゆがめながら生えていました。湿地や水路脇等の水気の多いところを好んで生える多年草です。
高さ40~70cm、茎は四角形で直立し、稜には下向きの短いとげがあって触るとざらつきます。
地下茎は長く地中を這っています。葉は披針形で2枚ずつ対生。夏に茎の先に花穂を作って、薄桃色の唇形花をつけます。
花後、ゴマのような種ができますが食用にはなりません。役に立たないので、イヌゴマ。(ワンちゃんに失礼)
花期は7~8月。分布は日本各地。
ヤブカンゾウ(ユリ科ワスレグサ属):
水田沿いの道端や、水路脇、また堤防斜面などに点々と生えています。中国原産の多年草です。
なお、同じような環境に生えて、一重咲きで、よく似た花はノカンゾウです。日本では本種もノカンゾウも結実しないということです。花期は7~8月、分布は日本各地。
ハクチョウソウ(白蝶草)(アカバナ科ガウラ属):
農道に沿った畦脇に点々と株立ちして生えていました。雑草刈の時にも残されて、農家の方が増やされたようです。
北アメリカ原産の帰化植物で、観賞用として渡来したものが、強い繁殖力で野生に転じたものが多いそうです。
耐寒性の多年草で、草丈は60~120cmになり、細くしなやかな長い花茎にたくさんの白い花をつけ、少しの風にも揺れて涼しげです。
花は一日で萎れますが、穂状の花序を伸ばしながら、下部から上部に向かって数個ずつ順に咲いていきます。
花弁は4枚、雄しべは8本で長くたれ下がり、雌しべは1本で花柱は雄しべより長く、柱頭は4裂しています。
このような花姿が、遠目には白蝶のように見えるので、ハクチョウソウ。こぼれ種でも殖えて繁殖域が広がっていきます。
花期は6~10月、分布は日本各地。
アカバナトビハムシ(ハムシ科):
ハムシ科の甲虫は幼虫・成虫ともに植食性で、その多くは害虫とされ、また種類も多く、光沢のある美しい色彩を持つものから、特徴ある模様のあるものなど様々ですが、外観の類似した種類では写真だけで種を確認するのは難しいこともあります。
今回、数種の雑草溜まりになったまま放置しているプランターで、混在している他の雑草には全く食害はなくて、アカバナユウゲショウ(別名ユウゲショウ)だけが、穴だらけになって汚らしいのに気がつきました。
いずれ、プランターごと処分するしかないので、どうでも良かったのですが、のぞき込んでみると、緑色を帯びた瑠璃色に光る小さな甲虫とその幼虫が、まだ食べられていない下葉に隠れて、たくさんいるのが見つかりました。
そこで観察のため、蚕食が始まった葉っぱを一枚ムシごと切り取ってシャーレに載せ、とりあえず記録写真に。
ところが、しばらくすると、成虫は突然ピンッと跳んで視界から消えてしまいました。そして傍に転がっていた円いプラ容器の縁を歩いているのを見つけました。
追っかけで写真を撮っていると(写真下のところから)、再びピンッと跳ねて行方不明に。
あらためて、まだアカバナユウゲショウにくっついているのを、葉ごと切り取ってシャーレに入れ、少しばかり観察した結果、一番類似点が多そうなアカバナトビハムシではないかと推測しましたが、間違っているかも知れません。
体長は約3.6mm。
アカバナユウゲショウの葉をすごいスピードで囓って孔を開ける成虫と幼虫(写真上3枚)、そして下2枚は、突然尻を持ち上げた成虫で、背面から、そして腹面からの画像。
何してる? 腹節の生殖節から出入りする雄生殖器?
腹面からの動画も(約2分)。なお、動画をご覧頂く場合には、スクリーン下部の右端にあるフルスクリーン(全画面表示)アイコンをクリックして、フル画面でご覧下さい。
また全画面表示を中止、または終了するには、パソコンのキーボード(通常最上部右端に配列されている)【Esc】(エスケープ・キー)を押して下さい。
【註】
1)「アカバナユウゲショウ」(別名ユウゲショウ、ベニバナユウゲショウ)(アカバナ科マツヨイグサ属):
マツヨイグサのように、淡紅色の花を夕方に開かせるというのでこの名がありますが、実際には昼間から開花が見られます。
南アメリカ原産の帰化植物で、明治時代に観賞用として輸入されましたが、現在では野生化したものがあちこちの市街地の道端、田の畦、野原等、いたるところに見られます。
花期は5~10月。国内(移入)分布は本州以南 。時には白花も観察されます。
なお、「アカバナ」は別種の植物です。
2)「アカバナトビハムシ」については、
オオマツヨイグサやメマツヨイグサ(アカバナ科マツヨイグサ属植物)、またアカバナ(アカバナ科アカバナ属)を食草とする依存度が高く、それらの花や葉の上でよく見かけられること、 体長は約3.5mm(3~4mm)ほどの小型の甲虫で、直射日光下では緑色を帯びた瑠璃色~瑠璃色の光沢をもち、逃げるときは蚤のように ピンッと跳ぶという、写真と記述が多く見られました。
今回の観察結果は、これらと類似点が多かったので、(幼虫も含めて)アカバナトビハムシと推測したものです。
出現時期は4~8月。分布は日本各地。
ヨツボシクサカゲロウ(クサカゲロウ科):
庭掃除中、2回ほど庭木の葉から飛び立つのを見ましたが、その写真は撮れませんでした。
それで以前に草原で見かけたときの写真再掲です。
(夜行性なので日中は葉陰などに隠れていて直接気がつくことは少ないのです)
ヨツボシクサカゲロウは普通に見られる大型のクサカゲロウの仲間で、前翅長21mmほどで、翅脈は淡緑色です。
体は緑~黄緑色で前胸背中央に黄条があり、名前の通り、顔面に4つの黒斑があります。
(ただ、見つけたときに、顔の正面から撮影できるアングルに止まっていることが少なくて、一度捕獲しないと(顔の4つの黒斑は)観察は難しいです。)
卵は葉裏などの横長のスペース1ヶ所に集中的に産み付けられています。(昔からウドンゲ 〔優曇華〕、あるいは”銀の花”とも呼ばれていました)。
庭木のマキ(槙)の細長い葉裏でよく見かけますが、今回は6月初旬にアリに運ばれたアブラムシがたくさん付いていたフヨウの葉裏に生み付けられていたものです。
それから2週間ほど後に、フヨウの葉にアマガエルの糞のようなものがくっついているので(実際にアマガエルは沢山いて、あちこちに糞をくっつけています)のぞき込んでみたら、見覚えのある幼虫だったのです。
成虫も幼虫も食性としてはアブラムシを捕捉して食べます(体液を吸う)が、特に幼虫は大食漢で、まわりにいるたくさんのアブラムシなどすぐに食べ尽くしてしまいますので、確かに近くの葉裏は皆きれいでした。
それで、先に見かけていた葉裏をのぞいてみると、やはり卵の抜け殻が残っていました。
成虫の優美さに較べて、幼虫の姿は酷すぎますが、大事にしてやらなくてはいけません。
アブラムシが増えて手に負えなくなると、”無差別”殺虫剤の出番になりますが、今回は間に合ったようです。
旧暦の二十四節季・七十二候の「半夏生」は2012年は7月1日でした。当日は午前中どんよりした曇りで、午後からは雨、そして翌2日の午前中まで残りました。
梅雨の最中ですから当然なのでしょう。
ハンゲショウ:
ちょうどこの頃には、七十二候の半夏生とは本来は関係の無い「ハンゲショウ」というドクダミ科の多年草が(花弁も萼もない)白い花をつけ、その花穂のまわりの葉だけが半分白い化粧をしているように見える草姿で群生しています。
昨日午後から晴れ間がのぞいたので、蒸し暑くなりましたが、運動をかねて写真撮りにいってきました。少しは涼しさも感じられたような気がしました。花期は6月下旬~8月。
ネジバナ(ラン科):
傍らの湿っていて日当たりの良い草地には、ラン科植物のネジバナが”残って”いました。ネジバナはよく見るとかわいらしい野草ですが、ゴルフ場や公園の芝地などにも普通に生える多年草で、そこでは当然、芝生の雑草として芝刈り機で刈り取られてしまいますから、目にする機会は限られてしまいます。花期は5~8月。
ヌマトラノオ(サクラソウ科):
田んぼ脇の湿地にはヌマトラノオが早くも花穂をまっすぐ伸ばして、白い花が下から開き始めていました。花期はおよそ7~8月。
ノカンゾウ(ユリ科):
ノカンゾウも橙色の花を開いていました。一層、暑さを感じてしまいました。花期は7~8月。
昨夏、当地では計画停電は既に経験済みです。停電対策Goodsも買いそろえて、そのストックがありますが、できたらそれらのお世話にならないで過ごせるよう心がけて、今シーズンも暑い夏を乗り切っていかなくてはと思っています。
庭の隅で、再びノミバッタに遭いました。やはり金属ロボットのようなおもむきです。近寄ると、当然、蚤のようにピンッと跳んで視界から消えます。
再び見つけてから、写真撮りのためにやむなく、プラスチック・シャーレに捕獲しました。
その際、後肢の片足を痛めたようで、その脛節は伸ばしたままでした。
優れた跳躍力を発揮する後肢の様子を少し拡大して見ました。
腿節と関節(写真上)はとても頑丈そうです。腹側から見た関節と脛節(写真中)は、見にくいですが、折りたたみナイフのようにカチッとはまり込むようになっているようです。ついでに跗(ふ)節(写真下)です。
時間が経って、少し弱っきたらしく、元気な時の静止時には折りたたんでいた後肢は伸ばしたままになり、ただ歩くだけで跳ねることはしなくなりました。
体長計測。5.5mmでした。その後は、元いた場所へ帰しましたが元気になったでしょうか。
元気な時に、餌に与えたサヤエンドウを囓るノミバッタです。(なお余談ですが、畑でノミバッタが大量発生すると、野菜に被害を与えることがあるそうです)
短い動画(26秒)です。
人の世は相も変わらず定まらないままに7月。暑い夏になりそうです。
しかし、いつもの用水路にはいつものように、何もそんなに急ぐこともあるまいにと、子育てには無責任のカルガモの男どもが閑そうに羽繕いしている傍で、こちらも、のーんびり生きているアオサギの姿がありました。
アオサギは、餌の魚取りも、さして焦る様子はなく、数回突っ立った位置で嘴を水中に突っ込みましたが不発。アホサギ?
でも、どうってことはなさそうで、やがて飛び立っていきました。何をあくせく、人間様よ。
アホサギで結構、と、ばかり。後ろ姿もボロッちいです。
一方、その上流には、子育て中のカルガモ家族の姿がありました。”8人”家族です。めざとい母さんガモは、”7人”の小ガモに教えます。
『こっちにおいで、あそこに人間のおっさんがいるでしょ。あれは運動神経鈍そうだから特別危険ではなさそうだけれど。人間の中には突然,誰でも何でもよかったなんて、暴走したりする同類がいるから気をつけなければいけません。見かけたら早めに物陰に隠れるようにするのよ、さあついていらっしゃい』
『ハーイ、母さん』。
それでも、いつも最後についていく腕白坊主は、”ホントかな”と、つい、おっさんが気になって仕方ありません。(画像はクリックで拡大します)
さあさ、ここでしばらく隠れておいで。優しく,賢い母さんです。
過去に観察した最多の家族数は12羽という記録があります。