”ガ”のようなチョウ「ギンイチモンジセセリ」、お仲間のチャバネセセリ
ギンイチモンジセセリ:
ちょうど3年前の夏の終わりに、ヨシの茂る草原で、日中ひらひらとガのようなものが群れ飛んでいるのを観察しました。
なかなかとまりませんが、草葉にとまった時には、それなりにきれいな黄色の裏翅でした。
近寄るとすぐにヒラヒラと低く飛んで逃げますがスピードは遅く、その時、黒、黄色、黒、黄色と、2色が交互にちらちら目に映りました。翅表が黒色だったのです。
何だろうと、”ガ”で検索しても分からず、なんとも奇妙な不明の”ガ”と思い込んでいました。
今年になって、たまたま、目にした”蝶のような蛾と、蛾のような蝶”の記事に「蛾のような蝶」の例として、見覚えのある画像があり、ああ、これだったのかと気がついたのです。
そこであらためて、今夏、頭がくらくらするような酷暑の日中、当時と同じ草地に何回か”取材”に行って見ましたが、全く見つけることは出来ませんでした。ただ3年前とは、その後の土木工事など人為的攪乱のために状況は変化しています。
やむなく、古い写真をあらためて、ここに整理しました。これは夏型の個体です。
名前の由来にもなった、春型にくっきり見られる”銀イチモンジ”、すなわち後翅裏面の黄色中央にある銀白色の帯は、夏型では鈍い黄色の帯になって目立ちません。
ヒラヒラ飛ぶ成虫は簡単に帽子で捕獲できましたので、一匹掴まえて、むりやり翅をひろげて押さえ、写真撮り。
大暴れして表翅の黒(褐色)の鱗粉が相当剥がれ落ちてしまい、逆に裏翅の黄色に混じって、黒、黄色ともに元のきれいな色ではなくなってしまいました。
撮影後、押さえを放すとすぐに飛び去りました。さぞかし迷惑だったでチョウ。
(写真上::黒褐色表翅、下:黄色裏翅)
ギンイチモンジセセリ(セセリチョウ科):
成虫は大きさ(前翅長)約15 ㎜。ススキ、ヨシなどイネ科の植物が生えた陽当たりのよい草原に多く生息しています。
表翅は黒褐色で、裏翅は黄色です。春型では後翅裏面の黄色中央に銀白色の帯がありますが、夏型では鈍い黄色の帯となり目立たなくなります。
草むらの間を飛ぶ時のスピードは遅く、翅の表裏の黄色、黒色が交互にヒラヒラ見えて意外に目につきます。草に止まる時にはたいてい翅を閉じています。
タンポポ、ヒメジョオン、シロツメクサ、マルバウツギなどに集まって吸蜜しています。
また幼虫の食草はススキ、チガヤ、エノコログサ、ヨシなどのイネ科の植物で、食草を筒状にまいた巣の中に入って越冬し、春には摂食せず、2回脱皮し蛹になります。
成虫出現時期は、本州の山地では、6~7月に年1回、また関東地方以西の平地や低山地では、4~5月と、7~9月の年2回発生する2化性です。
分布は日本各地。ただ、分布は限局的になっていますが、産地では個体数は多いとのこと。なお、環境省のレッドデータ・カテゴリーでは準絶滅危惧(NT)になっています。
( http://www.jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=07230144985 )
チャバネセセリ:
同じセセリチョウ科のチョウで庭にもよくやってきます。今頃はどこにでもたくさん飛んでいます。
同じ仲間と思ってみると、雰囲気は似ています。やはり蛾に近いなあ、と。
| 固定リンク
「昆虫」カテゴリの記事
- 三寒四温で進む春(2021.03.03)
- モンキチョウ(2021.02.22)
- ナナホシテントウ(2021.02.06)
- 越冬中のキタテハ(2021.01.28)
- ヤノナミガタチビタマムシ、フサヤスデの仲間(2021.01.14)
コメント