晩秋の昆虫たち②
冬枯れで地面がむき出しになったり裸地になったりした今頃になると、夏には草藪に隠されてなかなか姿が見えなかった小型の昆虫類の姿を目にする機会があります。気温が低いため、動きも比較的遅く、追っかけ写真も撮ることが出来ます。
●コバネイナゴ(バッタ科):
草地には、すっかり”佃煮色”になってはいますが、まだコバネイナゴが結構たくさんいます。
さすがに勢いはなく、比較的容易に捕まえることが出来ます。近寄ると立ち枯れの草とぶつかり合うザワザワという音を立てて一斉に跳びはねます。
大きさ30mmほど。夏から秋には、体の側面に濃茶色の筋がはいった明るい緑色のバッタで翅は短く、腹端を越えない個体が多いですが、個体差があり、長翅型のものも見られます。イネ以外の雑草にも良く群がって食べています。
昔は佃煮とし、貴重なタンパク源でした。越冬は土中に産まれた卵で。もう次の世代への準備は完了しています。
出現時期は8~11月、分布は日本各地
●ヒナバッタ(バッタ科):
画像が悪くてはっきりしないところもありますが、クルマバッタモドキまたはヒナバッタかと。
草原の舗装面に出ていました。近寄ってもすぐには逃げません。大きさ21~28mmでイナゴより小ぶりのバッタで、日当たりの良い草原に棲んでいます。
体色はつやのない褐色で、前胸部背に白い縦スジがあり、両側の2本は中程が内側に”くの字”に曲がっています。また腹部には黒い縞模様があります。(今回の写真では見えていません)
越冬は地中に産まれた卵で。出現時期は7~12月、分布は日本各地。
●マダラスズ(コオロギ科):
雑草が茂る季節には声は聞こえても姿はなかなか見られませんが、晩秋、裸地に出てくる頃にはよく見られます。
大きさ約7mmの小さなコオロギの仲間で、黒っぽい体と後肢の白黒のまだら模様が特徴です。草地、道端など、身近な場所にごく普通に生息しています。
♀です。産卵管がありますのですぐわかりますが、翅も短いです。
♂です。鳴き声はジーッ・ジーッ・ジーッとあまり特徴のない単調な鳴き方で、夏から冬のはじめ頃まで聞かれます。
越冬は卵で。出現時期は 6~12月、 分布は日本各地。
● ヒシバッタ(ヒシバッタ科):
11月半ばになって見かけたのは今回初めてです。体長約10mm。土色で背面に色々な斑紋のあることが多いですが、無紋の個体もいます。
通常は比較的乾燥した畑地や草地に普通に棲んでいますが、小さいことと背景色にとけ込んでいるので、普段はあまり目にする機会がありません。
後翅は短くほとんど飛べません。代わりにとてもよく跳びはねます。幼虫で越冬しますが、成虫で越冬している可能性もあるようです。
出現時期は4~11月、分布は日本各地。
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