オノエヤナギと虫こぶ(オノエヤナギメフクレフシ)
11月下旬、雨の翌日、晴れても冷たい北西の風が強く吹いて寒かった日中です。
川岸に立って大きな葉を広げていたおなじみのオニグルミ。長さ50cm以上にもなる大きな複葉が落ち始めて(その葉柄の痕が)、冬芽と共にまだ新しい葉痕/維管束痕としてのぞいていました。
●オノエヤナギと「オノエヤナギメフクレフシ」(ヤナギメフクレハバチ寄生による虫こぶ):
雨降りの後で、水路脇の道端に自生したオノエヤナギの樹下に、大量の茶色の丸い粒が集まって落ちているのが目にとまりました。
余談ながら、以前にクヌギの樹で同じような状況を見たことがありました。
・オノエヤナギ(ヤナギ科):
湿地や川岸などに普通に生える落葉高木で樹高は5~10mになります。葉が細長くてしわっぽいのが特徴。
分布は北海道、本州(奈良県以北)、四国。
・落下した虫こぶ:
近寄ってみると、直径8~10mmほどの球状で、大部分は既に枯れていて、例外なくぽつんと小さな穴が開いていました。虫えい(虫こぶ、ゴール)のようです。
雨に濡れた後だったこともあるのか、見かけに寄らずパリッと割れることはなく、かなり弾力がありました。
潰してみるとたくさんの糞粒が残っていました。もちろん”幼虫”は見当たりません。
樹木を見ると、葉(の表裏)には虫こぶは見られず、葉の落ちた小枝に、まだ黄緑色の残るものから茶褐色のものまで、かなりたくさん”果実“のようにくっついた状態で残っているのが観察できました。
いくつかの虫こぶのうち、まだ穴が開いていなくて弾力性が残っているものを一つ潰してみましたが、中には糞粒ばかりで、幼虫らしきものは見当たりませんでした。
カッターなど持ち合わせがなかったので潰れてしまったのかも知れません。
なお、オノエヤナギに出来る虫こぶには、”オノエヤナギハウラケタマフシ”(コブハバチの1種によって、オノエヤナギの葉裏に形成される虫こぶ)や、
”オノエヤナギメフクレフシ”(ヤナギメフシハバチによって、オノエヤナギの越冬葉芽に形成される虫こぶ)、その他が知られていています。
今回見かけたものは夏以降に形成されたオノエヤナギの越冬葉芽に、”ヤナギメフクレハバチ”によって作られた虫こぶの「オノエヤナギメフクレフシ」と思われます。
越冬葉芽の内部に産み付けられたヤナギメフシハバチ(ハバチ科)の卵から孵化した幼虫は芽の内部組織を摂食し、出来た隙間が幼虫室になって成長を続けます。
成熟した幼虫は10月中旬~下旬に芽鱗に孔を開けて虫こぶから脱出します。
地上に落下した幼虫は地中に繭を作り前蛹になって越冬し、翌春に蛹になり、夏に羽化して成虫になります。
幼虫が脱出した後も、虫こぶは脱落しないで枝に残っています。
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