アカボシゴマダラ、そしてゴマダラチョウ終齢幼虫
●アカボシゴマダラ(タテハチョウ科):
過日(6/8)通りかかった農家の生け垣の植栽樹に、産卵行動をしているアカボシゴマダラを見つけました。
今シーズンはじめてのことです。1枚撮れたところで飛び去りました。
本種は東アジアの広域に分布していて、黒と白の斑紋は近縁のゴマダラチョウによく似ていますが、名前のように、後翅の外縁に鮮やかな赤い斑紋があるので一目で明確に区別できます。
2年前の夏(2011/7)散歩コースの公園で偶然目にして以来、昨年も近隣で確実に目にするようになりました。
日本には、もともと奄美大島とその周辺の島々だけに分布する固有の亜種( H. a. shirakii Shirozu, 1955 )がいましたが、近年 1995年に埼玉県で一過性の侵入が記録され、その後2010年以降になってからは関東地方をはじめ各地で目撃されるようになりました。
この分布の拡大が続いている亜種は、中国大陸産の原名亜種 H. a. assimilis由来と推定される外来生物で、市街地の公園などの環境にも適応して、類似環境に生息するゴマダラチョウ等在来種と生態的に競合する可能性も危惧されるようになっています。
昨夏、公園のクヌギの樹液に来ていた観察例では、確かに他種を圧倒しているように見受けられました。
関東地方での食樹はゴマダラチョウと同様エノキで、幼虫で越冬します。
●ゴマダラチョウ幼虫(タテハチョウ科):
農道の道端に数本のエノキ自生樹があります。邪魔になるので定期的に切り詰められるためいつまで経っても3mほどの小木のままです。
つい先日のこと、散歩の途中でその内の1本にゴマダラチョウの終齢幼虫がいるのが偶然目にとまりました。
緑色で、大きさは35~40mm前後でしたでしょうか。葉の表で休んでいたのですが、巧みなカモフラージュのせいで全く目立ちません。
写真を撮ってからしばらくして目が慣れて来ると、近くに更に3匹の、いずれも葉の表に出ている幼虫が見つかりました。
一番”太い”幼虫。
7月初めには成虫になるでしょうか。 幼虫の食樹はニレ科のエノキ、エゾエノキの葉。分布は日本各地。
なお、2年前(2011/8月下旬)に、今回と同じところでゴマダラチョウの産卵を偶然観察したことがありました。
※ゴマダラチョウ
本種は多化性で、年に2(~3)回成虫が発生します。その年第1回目(5~6月)の成虫は、前年の秋に孵化した幼虫が蛹になり、そして羽化したものです。
前年秋の幼虫は、エノキの葉が黄色になってくると葉を食べるのをやめ、体色は緑色から茶褐色になり、11月中旬頃には枝や幹を伝って地面に降りて木の下に積もった落ち葉の中に潜り、落葉の裏に糸を吐いて台座を作って越冬します。
そして春になるとその幼虫は再びエノキの木に登り、更に若い葉を食べて生長して終齢幼虫から蛹になり、そして羽化するのです。
アカボシゴマダラに負けないようにがんばってほしいものですが。
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