富士山5合目 御中道・御庭の植物(2013/8下旬)②ムラサキモメンヅル、ミヤマオトコヨモギなど
8月下旬、富士山5合目、御中道およびその周辺地域で撮影した植物の続きです。
●メイゲツソウ(明月草;ベニイタドリ)(タデ科イタドリ属):
御中道沿い一帯にたくさんの群落が見られました。
日本固有種で、雌雄異株、亜高山や高山の砂礫地や崩壊地に生えるイタドリの山地型亜種多年草です。
イタドリの花は白色ですが、本種は紅色になります。
なお、富士山5合目付近には他にもオンタデやオノエイタドリ、イタドリなど、イタドリの仲間の群落がいたるところで見られます。
いずれも平地のものと違い、高山に育つものの草丈は20~50cmと低いです。
花期は7~9月、分布は北海道~本州中部地方。
●コケモモ(苔桃)(ツツジ科):
樹林帯の遊歩道沿いに群落が見られました。花は既に終わり、赤い実がかわいらしかったです。
地元ではこの実で作られたジャムが人気のお土産だそうです。
亜高山帯~高山帯のハイマツの下などに見られる高さ10㎝ほどの常緑小低木。
花期は6月~7月〈富士山〉。
●ベニバナイチヤクソウ(イチヤクソウ科イチヤクソウ属;なおAPG植物分類体系ではツツジ科):
林縁に点々とみられましたが、既に花は終わり、果実が出来ていました。
亜高山~高山帯の樹林下、林縁などに自生する半寄生植物多年草です。
20cmほどの花茎に、淡紅色の椀形の5弁花のようにみえる合弁花で、花冠が半分開いたものを7~10数個ほど、下向きにまばらにつけます。
花期は6~8月上旬、分布は北海道、本州中部以北。
●ミヤマオトコヨモギ(キク科ヨモギ属):
森林限界の砂礫地帯に点々と生えていました。
本種は日本の固有種で、亜高山帯から高山帯に生える多年草です。
草丈は10~40cm、茎は斜めに立ち上がり、根生葉はさじ形で、先が浅く切れこんだ鋸歯があります。
茎先に総状花序を出し、直径1cmほどの花びらの無い球形の頭花を付けます。
高地に生えるヨモギで、草丈が低く頭花が大きいグループの代表格で、富士山に分布するのはミヤマオトコヨモギだけ。
花期は7~9月、分布は本州中部地方。
●ムラサキモメンヅル(紫木綿蔓)(マメ科ゲンゲ属):
低山から亜高山、高山帯で石灰岩質や溶岩性の岩礫地にしか育たない日本固有種の植物です。
分布は限られていて、富士山では確実に見ることが出来るというので、事前に画像で草姿も記憶して出かけたのでしたが、期待に反して既に今シーズンの花はすべて終わり。
注意して探したのですが既にマメ果が出来た株しか見つけられませんでした。
またの機会に先延ばしです。
ムラサキモメンヅル:富士山では高山帯の砂礫地に生育しています。草丈は10~60cmほどで、根粒菌をもつ、ねじれた直根を地中深くまで伸ばすことで、水分や養分を確保して厳しい環境に耐える多年草です。
葉は5~10対の小葉を持った羽状複葉で互生し、小葉は長楕円形または狭長楕円形。
茎先に総状花序をだし、紫色でレンゲソウに似た蝶形の花を密集して咲かせます。
花後にできる実は袋状の豆果(→写真)で、上向きにつきます。
花期は6(7)~8月、分布は北海道~本州(中部以北)。
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