ヤサガタアシナガグモ
ヤサガタアシナガグモ(Tetragnatha maxillosa)(アシナガグモ科):
水田地帯の真ん中を流れる水路に立ち枯れた草の茎に、”枯れ茎ですよ”という風につかまっていました。
脚を縦に真っ直ぐ伸ばし茎に掴まることで風景に溶け込み、ただ脚を伸ばしておくだけでも枯れた小枝か茎のように見え、風景に馴染んでしまいます。
肉眼で実物を観てもなかなか識別が難しいほど見事なカモフラージュでした。(画像はクリックで拡大します。)
腹面
すぐ傍のキツネのボタンにも1匹いました。こちらは移動中ですぐ目につきました。
そして、もう一匹、腹面を見せて空中に浮かんでいるよう見えたのがこちらです。
水田(田んぼのイネ)に多いクモで、イネの害虫を捕捉する”益虫”です。(ムシではありませんが・・・)
もっとも水田では散布される防除剤のため、見かける機会は少ないですが、体長♀10~12㎜、♂9~10㎜で、足が長いだけでなく腹部も細長く、褐色の模様があります。
水面から数十センチ以内の空間に斜め~水平に円網を張りますが、網は目立たないので、肉眼的には宙に浮いているように見えます。
アシナガグモ(Tetragnatha praedonia)に似ていますが、体型がほっそりしていて、アシナガグモのように水辺から離れたり、高い木の枝に網を張ったりすることはありません。
出現時期は4~10月、分布は日本各地。
余談:
なお、原色日本クモ類図鑑(保育社)には、アシナガグモとヤサガタアシナガグモの識別は、上顎の牙の基部外側に突起があるのがアシナガグモで、突起がなく丸く湾曲しているのがヤサガタアシナガグモと、簡単に区別できると記載され、その両者の精密な図も掲載されています。
ただ、その観察には捕獲標本を実体顕微鏡などで観察しなければむずかしいように思いました。
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