アメリカキンゴジカ
●アメリカキンゴジカ(アオイ科):
アメリカキンゴジカは熱帯アメリカ原産の帰化植物です。
以前に初めて一株だけ見かけたことがありましたが、今回偶然通りかかった全く別の地域で、田んぼ脇に見覚えのある本種が数メートルに渡って群生しているのを目にしました。午前11時半頃でしたが、もう開いた花は全く見つかりませんでした。
他に群生は見られません。近くに広い残土置き場があり、大型ダンプが出入りしたり、はびこった雑草を処理したりしていましたので、そのような人為的攪乱によってどこからか運ばれてきて、限定的に生えたのでしょうか。
ともあれ、せっかくの機会だったので、暇ついでに後日、少し観察してみました。
草丈は30~60cmほどになり、茎は木質で、よく枝分かれしていて、強く引くとちぎれることはなく根ごと抜けてきました。
葉は基部の幅が広い長楕円形で互生していて、縁には赤紫色の縁取りと鈍い鋸歯があります。
花は、淡黄色。茎頂と葉腋に2~6個ついていますが、一斉には開かず、また開花時間はとても短く限られていて、午前中の比較的早い時間帯で、およそ1時間程度の間でした。
今回当地での観察では、当日の晴れ具合により、開きはじめる時間や閉じるまでの時間に多少の変動がありました。
早朝まで雨、9時頃には薄曇り、のち晴れ間が広がった日では、午前9:40頃から開きはじめ、個体株でバラツキはありますが10::00~10:20頃の間にはほぼ満開になり(といっても完全には開ききりませんが)、その後はどんどん窄(ツボ)みはじめ、10時40分頃にはほとんどすべてが閉じてしまいました。
また、朝から快晴で気温が上がり夏日になった日には、9時過ぎに開きはじめ、9時半には満開、10時には閉じてしまいました。
このように気象条件で多少変動はありますが、午前中の早い時間(9:05~9:40/10::00~10:40前後)の短い時間(1時間程度)で、開花を終えて、昼前には、花弁を内側にクルリと巻き込んで閉じてしまい、萼の中にすっぽりと包み込まれるようになってしまいます。
そして翌日には、しぼんだ花は萼の外へと押し出されています。萼の先端部に乗って止まっていたものは、触れると、ぽろっと落ちてしまいました。
最大に開いた時の花径は1.5cmほどで、5枚の花弁が左右非対称に切れ込んだ風車のような形をしています。
あとで花を切り取って萼を剥がしてみると、花弁の基部は合着しています。
花後に形成された果実は5分果です。分果には角状突起があります。そして分果の中には種が1個だけ入っていました。
●朝から快晴で夏日になった日、開花が進んだ午前9時37分に撮影した開花状況。
同じ株でも枝によってこの程度のばらつきは見られました。
この日、群生した株の大部分の花は、午前10時過ぎには閉じてしまいました。
●草丈50cm前後で、開花が進んだ株の様子。
開花時間 (-開きはじめから最大に開き、そして閉じてしまうまで- ) は、午前中の1時間ほどで、昼前には完全に閉じて萼に包まれるようになります。花は5弁の合弁花。
そして翌日には萼から押し出されて浮き上がっていました。
(個々の花はすべて別の個体の写真です。)
●花後の萼を開いて(ちぎって)みると、次々に果実(5分果)が出来ていて、それが黒く熟して、萼が開いてくると開裂し、小さな黒い種が散布されていくようです。
開花時間帯はもちろん季節(7~11月〉によっても異なるでしょうが、いずれにせよ花が閉じると目立ちにくい雑草ですから、意外に気づかれることなく分布を広げているのでしょうか。
(なお今回観察にあたり、アメリカキンゴジカに関する詳細な情報がありますので、参考にさせていただきました。 http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/amerika-kingojika.htm )
| 固定リンク
« ツメクサガ | トップページ | がんばるベニシジミ »
「植物」カテゴリの記事
- レンギョウ、ギンヨウアカシア(2021.03.05)
- 三寒四温で進む春(2021.03.03)
- 2月は逃げる/カワヅザクラ開花はじまる(2021.02.28)
- ツバキ開花 (2021.02.26)
- モンキチョウ(2021.02.22)
コメント