マダガスカル旅行記(2013/10) (4)アンタナナリボからフォール・ドーファン、そしてベレンティへ
4日目:(日程概要地図はこちら)
本日の予定は、午前中アンタナナリボ市内見学を済ませ、午後、空路アンタナナリボ(イヴァトゥ国際空港)からフォール・ドーファンまで移動し、植物園見学後、宿泊でしたが、やはり変更になり、フォール・ドーファン着後、バスに乗り換えてさらに、ベレンティまで足を伸ばし、ベレンティ着後、すぐにナイトウォーキング・サファリへ、そして(ベレンティ)宿泊、となりました。
●5時45分、宿泊した(アンタナナリボの)ホテルの部屋から、霧に霞む日の出と、アヌシ湖畔を見下ろし、6:30朝食、(散布されている殺虫剤のおかげで)ロビーの床の所々に落ちている蚊と蘭のディスプレーをながめ、7:15ツアー・バスでホテル出発。
●まず、すぐ傍のアヌシ湖畔に咲き誇るジャカランダの花の写真撮りに立ち寄りました。
アヌシ湖は、町の中心にある周囲2kmほどの人造湖。
湖の真ん中には第1次世界大戦の慰霊碑が聳え、対岸の山上には女王宮や首相官邸が見えます。
アシヌ湖畔に咲き乱れるジャカランダ:
湖畔を彩るジャカランダの花期は(マダガスカルでは春の)10月中旬から11月にかけてということでちょうど最盛期とあって、(まだ朝からの霧が晴れず、写真うつりは今ひとつになりましたが、)花は実に見事でした。
ジャカランダは中南米原産のノウゼンカズラ科の高木で、およそ50種もあるそうですが、熱帯~亜熱帯にかけて世界の各地で栽培されています。
咲き誇る紫色の花が有名でブラジルやアルゼンチンでは街路樹として、またモロッコでも花後の植樹に出来ている、まだ緑色で扁平な莢状の大きな果実を見かけたことがありました。
見学後、バスで「世界遺産アンボヒマンガ」の見学に向かいました。
昨日の午後見学予定が、市内道路の激しい渋滞のため本日に変更になったものですが、相変わらずの大渋滞で、その渋滞の壁を何度か乗り越えて到着。
アンボヒマンガの丘は、マダガスカルを初めて統一したメリナ王朝の首都があったところで「青い丘」という意味。
●渋滞の中、車窓から”住居”より立派という”墓所”も目にし、やがて見えた小高い丘が”青い丘”で、この一角に王宮があります。
アンボヒマンガ到着、バスは門の広場に停車。なお遺跡の門は、(現在の門と少し違っているようですが)200アリアリ紙幣にデザインされています。
バスを降りて門を見学後、丘の上にある王宮まで石畳の坂道を登ります。
※アンボヒマンガ:
メリナ王国の王宮とラナヴァルナ1世女王の別荘として使用された遺跡で、2001年に世界遺産に登録されています。
王宮”ルバ”はなんと意外にも、たった1つの部屋でしかありませんでした。質素というより貧弱なワンルーム宮殿なのです。
中にはベッドが2つあり、王のベッドは垂直に取り付けられた梯子を登らなければなりませんが、女王のベッドは床面に置かれていました。
部屋の中央には直径50㎝くらいの丸太の柱があり、これで屋根を支えている構造。
周囲の壁には棚が付けられ木製の容器などが展示されていました。王宮と呼ぶにはあまりにも質素でした。(内部は撮影禁止でした。)
なお入室する際は右足から,退出する際は後ろ向きで左足から、というのがお作法だそうで、説明されたとおりに出入りして内部見学。
続いて、王宮に隣接するヨーロッパ風の2階建て別荘の建物も見学。
女王ラナヴァルナ1世が避暑のために建てたヨーロッパ風の2階建て別荘が残っています。
1階には食堂や会議室、家族の寝室、2階には女王の寝室と休憩室があります。休憩室からの眺めはすばらしく、見下ろす庭には固有種アムタナの大木などの緑がきれいで、また周囲の展望はなかなかのものでした。
遺跡そのものは小規模なものでした。
見学を終えてから、次の目的地フォール・ドーファンに移動するため、バスでアンタナナリボの空港に向かいましたが、昨日にもまして、間近に控えた大統領選挙のイベントなども加わり、街中の道路は大混雑。
大渋滞の中行き交う車や人並みにひやひやすることもありましたがしたが、なんとか無事に空港到着。
昼食は空港でランチボックス。
●アンタナナリボ発12:40、フォール・ドーファンには定刻通り14:30に到着で、ここまで順調。
そしてフォール・ドーファンから、陸路、1台のツアー・バスでベレンティに向かう”難行”が始まりました。(スーツケースはバスの屋根の上に積載)
ここから、ネイチャーガイドとして豊富な専門知識と経験を有し、しかも日本語が堪能な”有名現地ガイド”オリビエさんも同乗。
道路は1950年代に舗装されて以来、補修などほとんど行われていないという、聞きしに勝るデコボコの悪路で、ポンピング・ロードの異名を持つ国道13号線です。
約90kmを、(休憩時間も含めて)4時間弱かけてベレンティまで走ります。車に弱い人は、酔い止めが必要です。
道すがら、大揺れに揺れ続ける窓外の風物の説明を聞きながら、所々で車から降りて、写真ストップ、気分転換と、つかの間の休息なども。
●旅人の木、サンダニス(タコの木)、150kmも歩いて売られに行くという、肩に筋肉と脂肪からなる大きな瘤があるゼブ牛(zebu)の群れ、ジャックフルーツの樹と、無造作に転がされている大きな果実、しょっちゅう故障して、でも余裕でニコニコしながら修理中の乗り合いミニバスと運転手等々。
やがてたどり着いたスワニラマのフルーツマーケット(といっても道端の露店です。)で、写真ストップと小休止。
●再び凸凹道を揺られている最中、ガイドのオリビエさんが車中から目ざとく見つけた、道端の木のカメレオン。下車して写真撮り。
また、付近に住むアンタヌシ族が、故人を偲ぶために建てた大小のオベリスク(方尖塔)が並んだ、お墓のようなモニュメント。(オベリスクが大きいのは長寿だった人、小さいのは早く死んだ人という。遺骨はここになく別にあるとのこと。)ここでも写真ストップ。すぐ傍にカメレオンがいました。どうやらそんなに珍しい存在でもないようです。
マダガスカル島の山脈は北から南に連なっています。そして西半分が乾燥地帯、東側が降雨林地帯になっていて、そのため多くの生物がそれぞれの地区に適した進化をしてきました。
その山を横断していきますが、フォール・ドーファンを出発しておよそ1時間40分ほど、アヌシ山を越える前あたりまでは温暖/湿潤地帯です。
車窓からは豊かな運河や熱帯雨林、またのどかな田園風景が眺められました。
そして山を越えると様相はがらりと変わり、乾燥地帯になりました。(途中”青空トイレ”なども)
でこぼこの道路沿いにリュウゼツランの長大な花穂が見えたり、三角ヤシが散見されるようになり、,やがて、ワオキツネザルが生息する、現在では貴重な三角ヤシの自生森(現在は国立公園に指定され保全されている)が眺められる地域を通り過ぎて行きます。
さらに進み、日没が近くなってきた頃に、周囲の植生はサボテンのような樹木ばかりになってきました。
中でもひときわ目立ったのは「金棒の木」(ディディエリア科のアルオウディア・プロケア)の密集地です。(サボテンのような姿をしていますが、樹木です。)
そこで写真ストップして腰を伸ばします。空を赤く染めて陽が沈んでいきました。
そこから再び、既に暗くなった赤土のでこぼこ道を走り、やがて国道13号線を右折すると、聞いていたとおりの壮大なサイザルプランテーションの中を通り過ぎ、揺られ続けた腰の痛みも限界に近づく頃、ほぼ予定通り、4時間弱かかってすっかり日の暮れたベレンティに到着となりました。
懐中電灯をつけ、腰をさすりながら、スーツケースを受け散り、宿泊するBERENTY LODGEにチェックイン。
※ここ「ベレンティ自然保護区」は、1936年、2万5000ヘクタールに及ぶサイザル麻プランテーションのフランス人オーナーが、その私有地の中に設けた250ヘクタールの(1/10ですが)プライベート保護区で、現在のオーナーは2代目だそうです。
到着後休む暇もなく、虫除け、ヘッドランプ、懐中電灯、手袋など準備、身支度をして、午後7時過ぎ、ベレンティ保護区の”トゲの森ゾーン”へ。
夜行性の原猿類を探索するナイトウォーキング・サファリです。
(なお翌日の朝は”ガレリの森ゾーンへ、昼行性のベローシファカなどのキツネザル観察に。)
真っ暗い夜の森の梢に活動する夜行性動物を探し当てるのは、さすが”プロガイド”です。
●ガイド氏が照らす光の中に、イタチキツネザル(絶滅の危機にある.体長25cmほど、体重約500g~1kgと小さい、夜行性で木の葉や花、果実、樹液などを食べる。マダガスカル南部に生息。)や、トゲカメレオン、小鳥、そしてサルでは世界最小のネズミキツネザル*などを見ることが出来ました。
*なお余談ながら、2013年3月26日、マダガスカルで新たにネズミキツネザルの新種2種類が発見され、この発見により、ネズミキツネザルの既知種数は20種類になったそうです。
ネズミキツネザルは主に木の上で生活する夜行性の動物で、体重は軽く30~60gほどで、夜行性で昆虫や小動物を食べる世界最小のサル。
なお新たに発見された新種の一つ「マロヒータ」はこの仲間では最大で78gという。 ( http://www.afpbb.com/articles/-/2936109 )
午後8時過ぎ、ロッジに戻ってから夕食。スープ、エビカレー、フルーツサラダ。美味しかったです。
着替えや明日の準備などしてから、やはりお湯の出ないシャワーを浴びて、ベッドはカヤで覆い、さらに蚊取り線香をつけて就寝。
(余談ながら電気は自家発電設備供給で、使用できるのは午前5:00~9:00、および午後5時~10時まで。従って懐中電灯は手元に準備です。)
(ベレンティ泊)
(5日目に続きます。)
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