晩秋の公園植樹の実①アラカシのドングリ、クヌギのドングリ、マテバシイのドングリ、アキニレの実、イヌシデの実
公園の植樹も20数年経って大木になり、たくさんの実をつけるようになっています。
中には餌の乏しくなった冬の間、小鳥たちの貴重な餌になる実もあります。
●アラカシのドングリ(ブナ科コナラ属):
雌雄同株で、雌雄異花。
公園に一番多く植樹されているアラカシのどんぐりが熟して地面に落ちるのはちょうど今頃から。
樹下だけではなく、風雨に運ばれて遊歩道にまでおびただしい量のドングリが飛散しています。
ドングリのなかでもクリ、マテバシイ、スダジイなどは渋みのもとであるタンニンの量が少ないので、生でも食べられるほどで、縄文時代の人々の重要な食糧だったそうですが、アラカシの果実はスダジイの50倍ほどもタンニンを含むため、水にさらしてアク抜きをしないと食べられないそうです。
●クヌギのドングリ(ブナ科コナラ属):
雌雄同株、雌雄異花。
樹下に、まん丸で大きなドングリがたくさん落ちています。
花期は4~5月で、葉の展開とほぼ同時に花が咲きます。
前年枝から穂状の雄花序が多数垂れ下がり、長さ10cmほど。雌花は新しい枝の葉腋に付きます。
ドングリ(堅果)は2年かけて成熟し、直径約2cmでほぼ球形。
殻斗は総苞片が反り返って直径3~3.5cm。
10月に大半のドングリが落下して、今、樹にはほとんど残っていません。
●マテバシイのドングリ(ブナ科マテバシイ属):
雌雄同株、雌雄異花。
葉は革質で厚い。“ドングリ”(堅果)は多数付きますが、マテバシイのどんぐりは他種のドングリよりずっと早く、9月下旬にはさかんに落果して、この時期、樹にはもう全く見つかりません。
樹下には落ちたドングリがまだたくさんあります。堅果は長さ約2cmの長楕円形で、基部は直径約1㎝の椀状の殻斗に包まれています。
殻斗の表面には鱗片が瓦状にびっしり並んでいますので、他種のドングリと識別できます。
●アキニレの果実(ニレ科):
数本の植樹があります。落葉高木です。ハルニレと違い、秋に花が咲き、晩秋に実が熟すので、アキニレです。
9月に本年枝の葉腋に4~6個、小さな両性花が咲きます。
花後にできる翼果は長さ10mm前後の楕円形で、中央に種子があり、11月頃に淡褐色に熟します。
食べ物の少なくなった冬の間、小鳥たちの貴重な食糧になります。実を食べにやってくるのはアトリ、マヒワ、カワラヒワなどの、皮を剥いて中の種を食べるのに適した嘴をもった小鳥たちです。
●イヌシデ(カバノキ科 クマシデ属):
数本植樹されている落葉高木です。
花期は4~5月頃、雌雄異花で穂状になった花序が垂れ下がります。
葉のようにも見える翼のある種を包んだ果苞の数は比較的少なめです。
果苞一つ一つに、種子(堅果)があります。晩秋には熟して、翼のおかげで風に乗って舞飛び、種子散布が行われます。
種はカワラヒワやヒヨドリなどが食べにきます。
なおシデ(四手(紙垂))とは、しめ縄や玉串などに下げられている細長く切った紙のこと。果穂を四手に見立てた名前。(イヌは、ワンちゃんには失礼ながら、役に立たない、という意味。)
分布は本州(岩手県以南)、四国、九州。
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