トビモンオオエダシャク/早春の蛾
トビモンオオエダシャク(シャクガ科エダシャク亜科):
3月中旬、雨上がりの翌日でまだ寒い昼過ぎ、それでも気温は10℃近くまで上がった公園でのこと。
ケヤキの幹の地面に近いところにトビモンオオエダシャクが貼りついているのを、全くの偶然に見つけました。
そのあまりにも見事な隠遁術に驚き、また感心させられた早春の蛾です。(撮影2014.3.14)
逃げられても良いかと、小枝の先で触れると、飛ばずにポタリ、と仰向けに地面に落ちてしまい、ゆっくりともがいています。
寒さもあって充分活動できる状態になかったのでしょう。
※小枝を差し出すとつかまってぶら下がりました。
そのまま明るいところに移動して記念撮影。
そこで予想外にきれいな白い翅裏も観察できました。
※大きな眼と櫛状の触覚も確認できました。♂の個体のようです。
※お邪魔した失礼を詫びながら、もと居たあたりに止まらせたところ、触覚を広げて少し動いて体を斜めにしてから触覚を翅の下にたたんで、じっと動かなくなりました。
そこに居ることを知っていなければ、やはり気づきにくい状態です。
お見事でした。
●幼虫:
幼虫は尺取り虫で4~9月に現れ、終齢幼虫は70~90mm。サクラ、リンゴ、ナシ(バラ科)などのほか、クヌギ、コナラ(ブナ科コナラ属)、また、カエデ(カエデ科)、ツバキ(ツバキ科)などの多種の樹木の葉を食害して成長します。
幼虫期が長く、数ヶ月かけて成熟するといわれています。
頭部に1対の角状突起があり、体色は枝に擬態するため、茶色、褐色、灰色など変化があります。
昼間は小枝や若芽に擬態してじっとしていることが多く、見つけにくいようです。
晩夏~初秋に土に潜って蛹になり、越冬します。
●成虫:
成虫は(年1化性で)、翌年の早春(3月〜)に羽化し、樹皮などに卵塊を生みつけます。
開張(翅を開いたときの大きさ)は50~75mmほど。
表翅や体の地色は灰色または茶褐色ものが多く、さらに黒っぽい波状のまだら模様があります。
ただ翅のデザインは、樹木の木肌模様にとけ込んでフラージュするために色彩や斑紋には変化があり、またさらに隠遁効果を増すために斜めにとまるという行動をとることなどには驚かされます。
分布は日本各地。
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