キブシ、ダンコウバイ、クマシデ、アケボノアセビ、イヌナズナ(2014/4)
富士山すそ野で標高900mを越える、春まだ浅い山地林縁や里地で見かけた花木などです。
●キブシ(キブシ科キブシ属):
平地ならもっと早い時期から淡黄色の花をつけた長さ10cmほどの穂状花序をぶらさげて一番先に目立ちます。
標高の高い林地ではこれから、という感じのキブシの花。雌雄異株の落葉低木です。
3~4月、葉に先立ち、昨年の枝の葉腋から、穂状花序を下垂させて、淡黄色の花を多数つけます。
雄花の雄しべは8本。雌花は花穂が短く、雄しべは退化していますが、外見での雌雄区別は難しいようです。
分布は日本各地。
●ダンコウバイ(クスノキ科クロモジ属):
日当たりの良い山地斜面のあちこちに黄色い花をつけた木が眺められました。
早春の頃から山里や山地でよく目にするダンコウバイかアブラチャンです。
両者はたいてい同じ環境に生えているので近寄って比較すれば違いははっきりしますが、遠目には黄色い花のボリュームがある方がダンコウバイ。
近くで撮れた1枚はダンコウバイでした。
雌雄異株の落葉小高木。分布は本州、四国、九州。
●クマシデ(カバノキ科クマシデ属 ):
明るい林地に冬芽が伸びだして花芽の展開が始まっていました。
まだ葉が展開していないので、似た仲間がある内では、今回の写真だけでは心許ないのですがクマシデとしました。
日当たりのよい山地に自生する雌雄同株の落葉高木で、樹高は10~15mほどになります。
花期は4~5月頃。雌雄異花で、雌雄それぞれの尾状花序を出します。
雄花序は、前年枝に束生して下垂し、雌花序は新枝の頂につきます。
小苞が重なり合った花穂の形が独特で、10~11月に長さ4~5cmの果実を付けます。
分布は本州、四国、九州。
なお近縁種にアカシデ、イヌシデがあります。アカシデは新芽と紅葉の葉が赤くなることから、クマシデは葉脈の数が倍以上あることから、葉のある時期にはイヌシデと区別することができます。
●アケボノアセビ(曙馬酔木)(ツツジ科):
里地に植栽されていたアセビの紅色種で、白花種に較べてかなり目立ちます。
アセビは庭木として栽培されていますが、古来から本州各地の山地などに多く自生している”万葉植物”のひとつです。
そして有毒植物なのに、万葉人にとっては好ましいものとして認識されていたのでしょうか、万葉集にも多くの古歌があります。
『 池水に影さへ見えて咲きにほふ馬酔木の花を袖に扱入れな 』
(大伴家持 巻20-4512)
●イヌナズナ(犬薺)(アブラナ科イヌナズナ属):
山里集落の道端にたくさん咲いていました。
身近にはありませんので、見かけるとうれしくなって必ず撮ってしまう2年草の”雑草”です。
草丈15~20cmほどになり、茎や葉には短毛が密生しています。
花は黄色い直径4mmほどの4弁花で、日照のない時には全開しません。
自然度の高いフィールドではごく普通に見られますが、都市化が進んで人為的攪乱などにさらされる近郊では全く観察することはありません。
春の七草の一つで”役に立つ“ナズナと違って”お役に立たない“ので”イヌ”の名前。
小さな黄色い花はかわいらしいです。果実は楕円形で、ペンペングサ(ナズナ:白花)のハート型とは異なっています。
花期は3~6月、分布は日本各地。
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