アイスランド周遊の旅6日目:
キルキュバイヤルクロイストゥル発→スヴィーナフェルズ氷河末端部見学→ディルホゥラエイ→スコゥガフォス滝→セリャリャントスフォス滝見学→レイキャヴィークへ(泊)
●アイスランドの旅、6日目見学地 参照地図:
昨夜は曇天でオーロラは見えず、結局、深夜は雨になったようです。
●雨上がりのホテル周辺:
ホテルの前後に見えるはずの海も氷河も曇りで見えません。
雨滴でぐっしょり濡れた芝地には雑草の花がかたまって咲き、その向こうには餌を探してホッピングするワキアカツグミの姿も。
●朝一番に宿泊ホテルから歩いてもいけるほど近いスヴィーナフェルズヨークトル(Svínafellsjökull)見学:
ここはヴァトナヨークトルの南端エーライヴァヨークトル(Öræfajökull)から延びる氷舌(舌のように長く延びだした氷河の末端)のひとつです。
・ホテルを出てすぐに氷河が見え、入り口につきました。
案内表示板があり、氷河にはクレバスや氷河湖への転落、落石などの危険性があり、ガイド無しで立ち入らないことなどの警告なされています。
(氷河の先端には小さな氷河湖ができています)。
・スヴィーナフェルズヨークトル:
見学した氷河の末端は、近くで見ると“氷河”から連想した真っ白な氷とういうよりも、汚れた岩という感じでした。
氷河は溶岩の谷底や側壁部を削りながらその岩屑を取り込み、さらに火山灰で真っ黒に汚れて、あたかも堆積岩の層のようにほぼ水平に黒っぽい層と白っぽい層とが交互に層をなし、氷河が流れていることを示す景観です。
・氷河湖に浮かぶ氷塊も真っ黒に汚れていました。
・道沿いには夜来の雨でぐっしょり濡れたハゴロモグサの仲間やハマカンザシなど、また
周辺の平地には植生のルピナス*が群生し、さらに石の上に大きな黒いナメクジが縮こまっているのも見かけました。
☆ルピナス:
アイスランドの居住に適さない内陸地では、その土質(溶岩/火山灰土)のせいで雨や雪として降ってきた水が、植物が生育のために利用できないほど速く地下に浸透してしまうため、大部分は灰色や黒色、茶色の土や溶岩、火山灰で覆われた砂漠のような様相を呈しています。
緑の植生の多くは氷河川の岸辺には見られますが、そのため融けた氷河の洪水を受ける危険性もあり、安定した農地化(牧草地)は難しそうです。
その危険性の少ない地域ではルピナスが広範囲にわたって植えられている光景が見られました。
痩せた溶岩/火山灰土の土地を牧草地化するため、緑肥植物としてルピナスが広く植えられているのです。
ルピナスは(暑さに弱いものの)寒さに強いマメ科植物で、根瘤バクテリアとの共生により空気中の窒素を固定して痩せ地でも生育するため、生育後の植物体をそのまま痩せた(溶岩/火山灰土の)大地に鋤込んで肥料にする“緑肥植物”として導入されて、広く利用されているのだそうです。
近寄ってみると、既に花の時期は終わり、茶色の鞘状の種が出来ていました。
・氷河沿いの途中に遭難碑もありました。
●見学後に、国立公園・ビジターセンターへ立ち寄り。
・ビジターセンター:
トイレ休憩と、売店で本など買い物も.。
このあたり一帯は1967年にアイスランドで初めて指定された3つの国立公園のひとつスカフタフェットル国立公園でしたが、その後2008年にヴァトナヨークトル国立公園が制定されたことにより、現在はその一部になっています。
国立公園に関するハイキングコースや、宿泊施設、レクリエーション施設などの情報が提供されています。
a.m.10時、ビジターセンターを出て、ディルホゥラエイに向かいます。
・30分程走ったところで、1996年にヴァトナヨークトル'氷河の下にある火山の大噴火によって”一面が黒い砂漠”になり、またギーギャ河に架かる橋やスケイザルアゥ河に架かる橋なども、融けた氷河の大洪水によって流されてしまったということでしたが、その被災も短期間で復旧され、長大橋による交互通行方式で運用されているという国道部分を2箇所通過しました。
火山国ならではの災害復旧ノウハウを目の当たりにしました。
・真っ黒い不毛の地域がしばらく続いた後に、少しずつ緑の苔で被われて行く風景に変わっていきました
・11時過ぎ、キルキュバイヤルクロイストゥル域内のガソリンスタンド/売店に立ち寄りトイレ休憩。
さらに1時間ほど走ると、1700年代の大噴火の跡が、今は苔むした溶岩台地となっている風景が広がります。
そして11:35頃、ミールダルス氷河が見えてきました。
氷河の下には1918年に大噴火したカトラ火山が隠れていて、再噴火の時期が近付いてきているそうです。
・11:53頃、大地一面がルピナスの緑に被われている光景が眺められました。
1918年のカトラ火山大噴火の跡に行われている緑地化なのだそうです。
さらにしばらく走ると台形の崖が見えてきました。島でした。
・12時過ぎ、ヴィーク(Vik)に着きました。
ここにも、地方でよく見かけられるガソリンスタンド兼カフェ兼コンビニのような場所があり、トイレ休憩。
Vikはウール製品が有名とのことで、傍らにはウール製品の売店もありました。
周辺にフルマカモメの営巣地がたくさんあり、売店など覗かず、営巣子育て中のフルマカモメを覗いていました。
出発してほどなく
・遠方に屹立する奇岩の風景が見えるところで写真ストップ。
これから訪れるディルホゥラエイの遠望です。
大西洋に突き出した岸壁は、遠望では島のように見えますが、島ではありません。
そこは、英国のトロール漁船員によって「ブローホール(額の穴)」と名付けられた、ボートが楽に通れるほどの巨大な穴がある、海に突き出た断崖の岬なのです。
●ディルホゥラエイ到着:
・山側の草地斜面には放牧の羊がいました。
麓の横側断崖には大きな窪みがあり、玄武岩でできた見事な柱状節理が観察できました。

・砂浜側にある絶壁部分の高さは120m、その沖合いには自然が創った幾つかの奇岩柱が屹立して特異な景観を呈しています。
一帯の砂浜はブラックサンド・ビーチと呼ばれるとおり、砂も小石も真っ黒です。
間氷期に海底火山噴火によって出来た地形と考えられているそうで、氷河の下で火山が噴火すると溶岩が急に冷やされてガラス質を含む黒い砂になるのだという。
風よけになっていた断崖から海辺に近寄った途端に強風に曝され、また激しく白波の立つ海の波しぶきを浴びて、遠景は霧がかかったような写真になりました。
沿岸の険しい断崖にはパフィンやフルマカモメ、ウミガラス、カツオドリ、アジサシなど多数の海鳥の棲息地としても知られている、アイスランド本島の最南端地点です。
●パフィン(ニシツノメドリFratercula arctica 、ウミスズメ科ツノメドリ属):
周囲に飛び交うフルマカモメなどの間に、崖に巣営して飛び交っているパフィンを見つけました。
北大西洋で繁殖するパフィンは、5~9月の時期にはアイスランドで非常に良く観察されるポピュラーな種で、周辺地域を含めての象徴的な存在という。
全長35~41cm。上面は黒、胸部から腹部にかけては白い羽毛で覆われた特異の愛嬌のある姿ですが、飛び方はどことなくぎこちなく見えました。
小魚(多分シシャモ)を大きな口いっぱいに咥えた写真の絵はがきが人気の鳥です。
なお北海道に生息するエトピリカ属をこの属に含める説もあるそうです。

見学後、次の南アイスランド地域の氷河が作りだした滝巡りに向かいます。
●スコゥガフォス滝:(フォスは滝の意ですから、”滝”の字は不要なのですが・・)
スコゥガフォス(Skógafoss)はアイスランド南部のスコゥガル(Skógar)にある滝。
幅約25m、落差は約60m、水量も多く、条件が良ければ虹のかかることも多くて、滝が多いアイスランドでも人気だそうです。
なお、滝の上まで登る遊歩道が整備されていて、滝の落ち口には展望台が設けられています。
元気のいい人達は登られました(10分ほど)が、私は初めからその気にならずにギヴアップ。


見学後、遅めの昼食に。
●モルドゥヌープルのホテル「アンナ」で遅めの昼食。
ここは1927 年に建てられた民家を改装したホテルで20世紀のアイスランドに大きな影響を与えたというアンナ女史の名にちなんでいます。
食後、さらに25分ほどでセリャリャントスフォスにつきました。
●セリャリャントスフォス滝:
セリャランスアゥ川から流れ落ちる、落差40mほどの滝ですが、滝の裏側に小道があり、裏側からも滝を見ることができます。。
国道1号線から近く、アクセスしやすいため、こちらも訪れる人が多い人気の滝ということです。
しぶきで濡れないようにヤッケを着用して行ってみました。


予定をすべて終了し、宿泊地レイキャヴィークに向かいます。
・途中で降り出した雨もレイキャヴィークに近くなる頃には上がり、空に大きな虹が見えました。
そしてほどなくレ一キャヴィーク到着(午後6時)。
レイキャヴィーク泊(2連泊)。
(→7日目に続く)