10月のスタート初日はどんより曇り、午後は一時小雨模様の冴えない天気になりましたが、秋本番です。
近隣の自生地で維持管理されていて、秋の風情が感じられる野草の花を見てきました。
●シロバナサクラタデ(タデ科イヌタデ属):
湿地に生える多年草です。根茎は地中で長くのび、枝を分けて増えます。
枝先に花序を1~5本出し、白い花を多数つけます。
花期は9~10月、分布は日本各地。
●フジバカマ(キク科):
草丈1.5~2mになる多年草です。自生地はだんだん少なくなり、準絶滅危惧種になっています。
花期は9~10月、分布は本州、四国、九州。
●ツリフネソウ(ツリフネソウ科ツリフネソウ属):
やや湿ったところによく見られる1年草です。
舟を吊り下げたような姿に見える花は紅紫色で、直径3cmほどの花が数個つり下がっています。
花弁は3個(その内、下の2個が大きくて黄色の斑点があります)、萼片も3個。
そして萼片も紅紫色で花弁のようにみえ、下の1個は大きく袋状になり、その先端は細長い踞になってクルリと巻いています。
(ちなみに花色が黄色のキツリフネは巻きません)
果実は肉質のさく果で、長さ2~3cmほど。熟すと果皮が5片にはじけてクルクルと巻き、種子を飛ばします。
花期は7~10月、分布は日本各地。
●ワタラセツリフネソウ(ツリフネソウ科):
渡良瀬遊水地に自生している個体が、2005年9月21日に日本植物学会で新種として発表されました。
( http://www.ryomonet.co.jp/mo/mo/ )
それまではツリフネソウとして区別はされていませんでしたが、外観や遺伝子レベルでも違いが認められて、2009年新種として登録されています。
ワタラセツリフネソウの小花弁は先端が萎縮して黒っぽくなっていてわかりやすい特徴の一つです。
花期は8~11月、分布は関東平野の湿地や水辺。
●タヌキマメ(マメ科タヌキマメ属):
今回は自生地で見つけられませんでしたので、管理栽培されている観察用標本の写真です。
本種は日当たりのよい草地などに生える1年草。
茎は直立し、草丈は20~70cmほどになります。植物全体に褐色の長い毛があります。
葉は線形または披針形で、長さ4~8cmほど、先はとがり、互生しています。
茎先に穂状花序を出し、青紫色で大きさ7~10mmほどで蝶形の花をつけます。
花の基部にある萼は大きく、褐色の毛が密生していて、和名はこれを狸に見立てたもの。
花は下から上に順次開花し、結実して豆果になります。
・花の基部を被う毛の密生した萼は、花後さらに1.5cmほどに成長し、豆果を包むようになっています。
豆果は熟すと割れて、中から多数の種子が放出されます。
花期は7~10月、分布は本州(東北地方南部以西)、四国、九州。
※ついでに、むりやり再登場のキツネノマゴ。これで狸と狐のセットに。
●キツネノマゴ: