カラスのカラ巣
碧空の下なれども寒風すさまじく、”金色の小さき鳥の形して銀杏散るなり堆肥農家に”などと、どうにも詩情がない田舎道。
(余談ながらイチョウは葉が厚く油分も多いため、そのまま堆肥にするには時間もかかり、一般的には落ち葉堆肥には不向きとされています。
ただし、米ぬかなど発酵促進剤を混ぜたりして手を加えれば出来ないことはありません。)
貸し農園と農道境界に植栽のイチョウが黄色になって、畑や道路脇に散り敷き、”趣味の農業人”は迷惑顔も。
今は休耕地になっている畑地を囲む防風林のケヤキも、不揃いな紅葉が進んでいる、名残の晩秋~初冬風景です。
少しばかり遠回りした帰り道。
●カラスの空巣:
年代を重ねた農家屋敷林の一角、既に葉を落としたケヤキの巨木が電灯線電柱をはるかに超えて聳えています。
通りがかりに見上げると鳥が2羽、ニワトリではなくカラスが高枝に止まっていました。
カメラを向けると、”アホー”と一声発して飛び去りました。
さらにその上方の繊細な枝絡みの間に、すぐにそれと分かるカラ巣が一つ。(画面中央)
望遠アップで撮ってみると、案の定、人家のベランダから失敬してきたブルー、ピンク、緑などの針金ハンガーで、巣の基礎構造が増強されています。
(画像はクリックで拡大します)
小枝材料だけで造営されて来た伝来の巣に較べて、はるかに耐久・耐震性に優れた”鉄筋入り”木造構造でした。
“お利口な”カラスの作った空巣です。
【余談】:
4~6月は野鳥の子育てシーズンで、カラスもこの時期に子育てします。
巣作りはその時だけ使用するためのもので、その時期以外には巣は使いません。
つがいのカラスは縄張りを持ち、その中で①クスノキ、カシなどの常緑高木、②ケヤキなどの落葉高木、③背の高い構造物(高圧鉄塔・高層建物屋上・電柱等)の順に好んで巣作りをするそうです。
樹木なら、又の部分に小枝を組み合わせて直径50cmほどのがっちりした基礎構造を作り、その中に木の皮や羽毛などを敷いて直径20cm大のボール状の“産室”を作ります。
そして、既によく知られていることですが、基礎構造に使う小枝の代わりに、クリーニングの針金ハンガーを人家から失敬してきて使用することも少なくありません。
ただ、電柱に針金ハンガーを使用して巣を作った場合には、感電、ショートなどによる停電事故を引き起こすこともあり、中途半端に賢いカラスは困りものなのです。
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