初冬の植物の実り(ジャノヒゲ、スイカズラ、ネズミモチ、マンリョウ、ヤブコウジ)
冬に向かい、フィールドに目立つ植物も少なくなってきました。
そんな時節柄、身近にありふれた植物の実なりを記事の埋め草に。
●ジャノヒゲ(リュウノヒゲ) ユリ(キジカクシ)科:
ずいぶん昔、冬の里山の林縁傾斜地で、群生したジャノヒゲの細長くしだれた葉の隙間から、きれいな球形で濃青色の実(種子)がのぞいているのを見つけました。
たくさんあったので、少し採取して帰りました。
庭に埋めておいたところ隣家との間で日当たりは良くない場所でも芽生えて年々生長し、10数年放置したままでも立派な大株になりました。
先日、少しずつ家回りの整理/片付け掃除をしていた際、草丈も30cmほどに伸びて、直径50cmほどもある大きなぼさぼさの頭風になり、通るのも邪魔になってしまいました。
そこで剪定ばさみを持ち出して、長くのびている葉をばっさり切り詰めはじめたところ、びっくりするほどたくさん濃青色の実がなっているのがわかりました。
長い葉ですっぽり覆い隠されていて、まったく見えていなかったのです。
日当たりが一番良い位置にある大株が一番たくさんの実をつけ、日照が一番少ないところの株は貧弱で、葉刈りをして見たら、実もわずかでした。
あらためて日光の偉大さを確認できました。
本種は、草丈10cm~30cmになる常緑多年草で山地の林縁や樹陰や草原の半日陰の所に自生しています。
開花期は7月~8月、晩秋には光沢のある美しい濃青色の実を付けます。濃青色の皮を剥ぐと白く小さな種子玉があらわれます。
分布は日本各地。
なお余談ですが、古来、ジャノヒゲのヒゲ根のところどころに栄養分を蓄える肥大した部分(塊根)が出来ていて、漢方薬生薬原料の一つ麦門冬(ばくもんどう)として利用されています。
●スイカズラ(別名ニンドウ/キンギンカ)(スイカズラ科):
他の木に絡んで枝を伸ばした茎先に黒く熟した実をつけています。少しずつ鳥に食べられているようです。
蔓性の常緑低木で冬も葉を丸めるようにして落とさずに耐え忍ぶ姿から、ニンドウ(忍冬)の別名です。
初夏に茎の腋に2個ずつ並んで花を咲かせ、甘い匂いを漂わせます。
花は初め白色ですが、徐々に黄色になるため、一つの木に“金銀”の花が咲いているように見えてキンギンカ(金銀花)の別名もあります。
花後に径6mmほどの緑色の丸い果実(液果)が2個ずつ並んで付き、晩秋には黒く熟します。
野に餌の乏しくなった冬の間、他の木の実同様に鳥の餌になっています。
そのおかげかどうか、あちらこちらに運ばれて自生しているのを目にする蔓植物です。
●ネズミモチ(モクセイ科):
生け垣に多用されている常緑小高木のネズミモチに、長さ9mmほどで鼠の糞のような形の実がたくさん熟しています。
6月頃には円錐花序に白い花を付け、昆虫が多く集まってきます。
こちらも鳥散布種子として鳥に食べられて糞として排出され分布を広げます。
●マンリョウ:
庭のマンリョウも気がつけば意外なところに生えて赤い実をつけています。
こちらも鳥に食べられて点々と拡散して行くようです。
幼苗を見かけた時にはたいてい“草取り”しているのですが・・・
●ヤブコウジ(百両):
11月末、里山の林床で落ち葉の間から高さ10cmほど立ち上がって赤い実をつけていたのを撮ってきたものです。
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