冬の初めの身近な昆虫(ビロウドサシガメ、ツチイナゴその他)
師走、年貢の納め時を迎えた昆虫達のこの頃。
●ビロウドサシガメ(サシガメ科):
12月はじめ、日当たりの良い遊歩道を歩いていました。
地表性で、草むらの根ぎわ、石や落ち葉の下などに棲んでいます。
そのため、植物が生い茂った場所ではほとんど目にすることはありませんが、除草作業が行われて裸の地面がのぞき、さらに大雨が降った翌日などには、まだ濡れて居心地の悪い地面から、乾いた遊歩道のあちらこちらで歩き回っているのを普通に見かけますので、特に珍しい昆虫ではないようです。
本種は成虫で越冬するため、成虫で越冬できない昆虫達が姿を消した晩秋以降では、それなりに目立つ存在です。
体長11~14mm、つやのある黒い体にクリーム色とほんのり赤い縁取りがあります。
小さな昆虫類やヤスデなどを捕捉して体液を吸っています。
分布は本州、四国、九州。
●ツチイナゴ(バッタ科):
11月下旬、草むらの日当たりに出てきたところです。
目の下に涙模様の斑紋がある大きめの”イナゴ”で、(狭義の)バッタの仲間では、成虫で冬を越すただ一つの種類です。
大きさ55mmほどで♀の方が大きく、出現時期は3~7月、10~12月。
分布は本州、四国、九州。
●コバネイナゴ(バッタ科):
12月はじめ、冷え込んだ草むらで”佃煮“色に霜焼けして命を終えた個体があり、一夏戦った後、まだ日当たりに出てじっとしている”最後の老兵“がいたりします。
越冬は卵です。
大きさ30~40mmほど。体の側面に濃茶色の筋がはいった明るい緑色のバッタで、翅は短く、腹端を越えない場合が多いですが、個体差があり、長いものも見られます。
夏の間、防除作業の行われる稲田には当然少ないのですが、イネ以外の雑草も良く食べるので、草原にはそれなりの数が活動しています。
今でも佃煮として販売されています。
●ヨモギハムシ(ハムシ科):
12月はじめ、青藍色の個体が1匹だけ、日の当たる歩道を歩いていました。
雄だったようです。
本種は大きさ 8mm前後の黒色、青藍色、紫藍色や黄銅色の光沢をもつハムシ。
ヨモギ、ヤマシロギクなどを食べ、これらの植物葉上や周辺の地表で見られます。
よく歩き回り、ほとんど飛びません。触るとすぐに”固まり“ます。
晩秋には、産卵場所を探して地表を歩く、お腹の大きなメスをよく見かけます。
成虫と卵で越冬します。出現•時期は4~12月、分布は日本各地。
●オオクロバエ(クロバエ科):
12月はじめ、晴れても昆虫類の姿はめっきり少なくなった公園のクヌギ林。
わずかながら浸みだした樹液にハエの仲間だけが来ていました。
その一つがオオクロバエ。近寄ると”ブンッ“という羽音を立てて逃げますが、また直ぐに戻ってきます。
丸みを帯びた体形でやや大型のハエで体長は12mmほど。
動物の糞や死骸,腐った果実、樹液などに集まります。
余談ながら、夏には樹液にもっと多数群がっていて見苦しいです。
●ベッコウバエ(ベッコウバエ科):
12月はじめ、公園のクヌギにたむろしていた数匹のベッコウバエです。大きさ15~20mm。
さすがにこの時期、動きは鈍く傍に近寄ってもすぐには逃げません。
夏、林の中で生活し、クヌギ、コナラなどの樹液によく来ています。またキノコや動物の糞などにも集まる大きなハエの仲間です。
日当たりのよい場所では冬場でも日光浴している姿も見かけます。
成虫で越冬します。出現時期は5~12月の間に(年)2回発生、分布は日本各地。
●ツマグロヒョウモン♀:
成虫では越冬できませんから、最後の姿でしょう。
越冬は通常、幼虫ですが、蛹の時もあるようです。
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