ヒメクロオトシブミとコナラ、イヌシデに作られた揺籃(2015/4)
振り返って見ると4月下旬は予想以上に気温の高い日が続いて、日中の日当たりではじっとしていても汗ばむほどの日が続きました。
おかげで街路樹のハナミズキなどもあっという間に散ってしまいました。
隣県のフジの名所からも、開花後に予想以上の速さで見頃を迎えることになって、見学は早めに、という案内もあったように、周辺では季節が足早に進んでいる模様。
その様な影響のせいだったでしょうか、
先にはじめてコナライクビチョッキリが揺籃を作っているのを観察してから、オトシブミ類も同様に姿を見ていました。
しかし、わずかその数日後、同じところではもう活動するオトシブミの姿は、少し探したぐらいでは見つからないで、その代わりに、方々のコナラの小木や、イヌシデの大木に既に多数の揺籃があるのが目にとまりました。
揺籃の様子から、全て、以前にも観察したことがある「ヒメクロオトシブミ」のものと推測しました。
作成中の様子が観察できたらと期待していたのですが、やはりさっさと仕事を済ませてしまったようで、残念ながら、タイミングを逸したようです。
〈観察期間は4.22~28〉
●活発に活動していたヒメクロオトシブミ:
(4/22撮影、全てフラッシュON):
いずれもコナラの小木で。
後で画像を見ると、その時には気がつきませんでしたが、止まっている葉が揺籃作成用に既に切断されている様子が写っていて、揺籃作りも平行して進んでいたものと思われます。
※作成済みの揺籃(撮影は4/28~29)
●複数のコナラ小木に作られた揺籃:
8個見つかりました。一応全画像掲載。
①
●複数のイヌシデ大木に作られた揺籃:
3つ見つかりました。
いずれも見上げる高い位置にあり、双眼鏡があれば良かったです。
アングルは限定。また風に揺れるので望遠マクロ撮影も難しかったです。
終いには首が痛くなって。でもまあ良くも飽きもせず・・・でした。
なお一番低いとことにある枝に作られていた揺籃を、近くに落ちていた枯れ枝を引っかけて、手元に引き寄せることが出来たので、1つだけ細かな観察が出来ました(3つ目)。
何とか一度は、このすばらしい揺籃の作成過程を自分の目で観察してみたいものですが・・・ (ネット上には多くのすばらしい映像があります。)
※追記:
地域にもよりますが、4月中旬くらいから、イヌシデ(コナラ、クヌギなど)の新葉の展開とともにヒメクロオトシブミのゆりかごづくりが盛んになります。
イヌシデなどに作られた揺りかごは、目さえ慣れれば簡単に見つけることが出来ます。
(なお当然ながら、目の高さより低いところがベストで、そのためには”ひこばえ”などの幼木か、小木が狙い目ではあります。)
さらにまた『タイミングさえ良ければ』 若葉を器用に巻いてゆりかごを作る様子を観察することも可能です。
※イヌシデイヌシデ(カバノキ科クマシデ属):
山野に自生する雌雄異花の落葉高木で、樹高は15~20mに育ちます。
公園などにも植樹されています。
葉は互生、葉身は卵形あるいは狭卵形で、基部は円形。表面には全体に毛があり、裏面には葉脈上にあります。
また葉の縁には細かい重鋸歯があります。
雌雄の花序は穂状で下垂します。樹皮は灰白色でなめらかであり、古木になると縦に網目模様ができます。
花期は4~5月頃、(自生)分布は本州、四国、九州。
なお近縁種に、アカシデ、クマシデがあります。アカシデは新芽と紅葉の葉が赤くなることから、クマシデは葉の側脈が倍以上あることからイヌシデと区別することが出来ます。