前回は
『⑦ AM11:08~24、この間も単独で、円筒の両側を行き来して、かいがいしく働き続ける♀です。アップで見ると、実にたくましい全脚で、”マッチョ”な女性です。』まででした。
今回はその続報です。
⑧ AM 11:25 近くをうろついていた♂が舞い戻ってきました。
♀が働いている下方の葉には、まだ侵入者の姿がありましたが、♂は無関心。
⑨ AM 11:26~29 戻った♂は何をするでもなく、ただウロウロ。
⑩ AM 11:30 ♂の戻った目的はこれだったのです。
⑪ AM 11:33~34 ♀はお邪魔虫をくっつけたまま作業を続けています。
⑫ AM 11:35 完成間近になりました。
ポイントは、巻き上げた揺籃円筒が巻き戻らないように、最後の”かぶせ”構造をつくる仕事です。
結局、何も役立たずの♂。
⑬ AM 11:36~40 巻き込み作業が終わりました。
揺籃作成作業としてはこれで終わりです。この後、点検するようです。
⑭ AM 11:40~41 ♂は依然とくっついたまま。
揺籃の回りを一周して仕上がり状態の点検を済ませてから、おもむろに葉の上の方に移動して行きました。
⑮ AM11:42 くっついていた♂も♀から離れて、それぞれゆっくりと葉陰に去って行きました。
完成した揺籃の、アングルを変えて見た写真です。なかなかの作品でした。
余談:
近くには天敵の徘徊性のクモも葉裏に隠れています。
他にも寄生蜂などの天敵がいて、オトシブミ達も油断は出来ないようです。
※今回も葉の裁断作業観察できませんでした。
葉を巻き上げて揺籃が出来上がるまでだけの所要時間は、(AM 10:57~11:40)43分でした。
(前回、葉の主脈を切断しないタイプの揺籃作成時間(やはり葉の裁断所要時間は除く)35分に較べて)少し長かったようです。お邪魔虫(♂)のせいかどうか分かりませんが。
多くのオトシブミの仲間は、一つの揺籃に一つの卵を産みつける種類が多いそうですが、エゴツルオトシブミなどは2つ以上を産みつけることも珍しくはないとのことです。
図書館でパラパラめくっていた図鑑には、2個の卵が産みつけられているエゴツルオトシブミ揺籃の切断写真が掲載されていました。
いずれにせよ揺籃の中心付近に産みつけられますから-(孵化した幼虫が周囲の葉を食べながら成長し、蛹になり、羽化して成虫になって残っている葉の壁を食い破って外に出てくるため)-産卵のタイミングは葉を巻き上げる初期の段階だろうと勝手に推測しますが、ともかく、素人にはいつ産みつけているのか、まったく分かりませんでした。
およそ700万年の時間をかけてサルから分かれて大脳を高度に発達させて進化し、良いこともすれば、悪いこともするニンゲンに較べて、小さな昆虫の脳味噌(DNA)は、うまく出来ているなと、いつも小さな生き物の偉大な生き様に感心することしきりでした。
※余談の余談:
ついでの暇つぶし。
オトシブミの揺籃つくりの様子を、ただ撮ってきただけの写真を見ていて、アングルも縦横も入り乱れていて、どういう状況の写真だったのか、にわかに判断できないこともあったりしました。
そこで、”100均”で折り紙を買ってきて、オトシブミに習って、揺籃を試作してみました。
材料としては、黄緑色(裏は白)の折り紙を、エゴノキの葉形に切り抜き、中央葉脈(主脈)の位置に(裏側から)細いアルミニウム線をセロテープで貼り付けました。
これを使用して、巻き上げる補助具には、細い竹くしを使いました。
似たようなものが出来ましたが、やはり一番の作業ポイントは、巻き戻りが起こらないように最後の”かぶせ”の窪みを作るところでした。
材料が展延性の無い紙ですので、余計に難しかったです。
実際は、アルミ線を使用しているので巻き戻ることはないのですが・・・。
写真撮影用に、その辺りはセロテープで巻き付けています。
以下にその画像です。
※余談3:
●以前の記事です。 https://kuromedaka-saitama.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-6631.html
●参考文献:
エゴツルクビオトシブミの揺籃形成と寄主植物の関係 http://www.biol.tsukuba.ac.jp/tjb/Vol2No2/TJB200302199900733.pdf
●ジラフビートル(キリンクビナガオトシブミ)♀: