海辺の植物(ハマヒサカキ、シャリンバイ、トベラ、コマツヨイグサ、アキノミチヤナギ)
11月下旬、十数年ぶりに訪れた房総半島の海岸地域で見かけた植物です。
但し、特別目新しいものではありません。
・トイレ休憩に立ち寄った「海ほたる」からは、良く晴れて、強風で白波の立つ海の向こうに、冠雪の富士山が見えました。
●ハマヒサカキ(ツバキ科ヒサカキ属)
海浜近くの駐車場脇砂地にありました。
自生株ではなく植栽されたものかも知れません。
・雌株には小振りの花と、多数の黒紫色に熟した果実が鈴なりに付いていました。
※本種は雌雄異株。暖地での開花期は10~11月。また10月初めに緑色で直径5mmmほどの球形果実が出来、晩秋から初冬には黒紫色に熟します。
花の開花期も10月なので、果実が熟すには1年以上の年月が必要ということになります。
●シャリンバイ(バラ科シャリンバイ属):
砂地に生育していました。紫黒色に熟した実が付いていました。
※本種は暖地の海岸近くに自生しますが、公園樹や庭木、また道路の分離帯の緑化樹などにも使われています。
自宅近くの遊歩道にも植栽されていて、今頃同じようにたくさんの熟した実をつけています。
花期は5月頃で、枝先に白い花を多数咲かせます。
葉の形には変異が多いそうです。
果実は直径1cmほどの球形。10~11月には黒紫色に熟し、表面に白い粉がふいています。
●トベラ(トベラ科トベラ属):
海辺の砂地に生えていました。既に熟した実が割れて、中から赤い粘液に包まれた種がのぞいているものもありました。
※本種は雌雄異株の常緑低木または小高木で、主に海岸地帯に自生分布しています。
乾燥に強いことから庭園や公園、道路の緑化帯などにも植栽されています。
葉は互生し、枝先に輪生状に集まります。葉身は長さ5~10cm、幅2~3cmの倒卵形または長倒卵形で、先は丸くなっています。
花は白色~淡黄色で芳香のある5弁花。
果実は秋に熟し、3つに割れて中から赤い粘液に包まれた種子がのぞきます。
花期は4~6月、自生分布は本州(太平洋側は岩手県南部以南、日本海側は新潟県以南)の海岸地帯。
●コマツヨイグサ(小待宵草)(アカバナ科マツヨイグサ属):
海辺の砂浜に広がって生えていて、花径3cmほどの小ぶりで黄色い花が目立ちました。
※北米原産の帰化植物。秋に芽生え、春から黄色い花を咲かせます。
茎は地面を這うことが多く、砂地表面を覆うように繁殖しています。
花の直径は3cm前後で、黄色い花の咲くマツヨイグサ属では最も小さい花です。
花は昼間に開花し、咲き終わると朱色を帯びます。
葉の形は変異が大きく、深く切れ込むものから、鋸歯のあるものもあります。
なお本種は河川敷や砂丘に侵入するため、そうした環境に特異的な在来植物への競合・ 駆逐のおそれがある事から、外来生物法により「要注意外来生物」*に指定され、現在各地で駆除が実施されているようです。
現在、日本各地の荒れ地や河原、また特に海岸の砂浜などに普通に分布しています。
* http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/caution/detail_sho.html#30
●アキノミチヤナギ(タデ科ミチヤナギ属):
海に近い砂地の林縁に生えていました。茶色の「そう果」がたくさん付いていました。
なお葉には黒点状の病変が出来ているようでした。
※アキノミチヤナギは河原や海岸などの砂地に生える1年草ですが、内陸地域でも時折観察されるようです。
そう果は長さ約3mmの3稜形で、花被に包まれますが、先端は花被から突き出ています。
花期は9~10月、分布は日本各地。
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