シロバナホトケノザ
ホトケノザ(シソ科オドリコソウ属)の花が満開です。
毎年、除草や耕運など人為的な攪乱が生ずる畑地、空き地などにはあっという間に群生して広がっています。
そして、頻度は稀だそうですが、白色の花をつけるシロバナホトケノザも手元の図鑑には記載があります。
シロバナホトケノザ(f.albiflorum D.M.Moore)植物体は、花の赤い色素が欠落しているだけでなく、葉や茎からも赤色が抜けて、薄い緑色をしています。
また余談ながら、シロバナに関しては除草剤による変異説などもあるそうです。
●シロバナホトケノザ:
たまたま3月下旬、畑・水田地帯を通り抜ける舗装道路で、ほぼ裸地になっている道路端に、ホトケノザが今を盛りと赤い花をつけ、小さな群落を飛び飛びに作って繁茂していました。
そしてその小さな群落の一箇所だけにまとまって、シロバナホトケノザが混生しているのを見つけました。
実際に見かけたのは初めてでしたので、少し詳しく観察してみました。
(なお生育場所は農地周辺地域ということになりますが、除草剤の使用状況やその影響などについては分かりません。)
(余談ですが、花がよく似たヒメオドリコソウのシロバナを観察したことがありました。)
・唇形花の”帽子” (上唇)の中に隠れるように長短2個ずつ、4本の雄しべが伸びていて、その葯4個は縦に並んでいるように見えます。
葯からは橙色の花粉がたくさん出ています。
そして雄しべの間に包み隠されているような雌しべの、先が2つに分かれている柱頭がのぞいて見えていました。
・盛んに花をつけている株をのぞき込んで見ると、たくさんの種が出来ています。
・こぼれ落ちそうになっている種の一方の端に白色のエライオソームが付いています。
鞘に収まっていた種子の根元側です。
・株を少し揺すっただけで種がバラバラと落ちてきます。
採取したものをルーペで拡大して見ると、白い斑点がびっしりあるものと全くないものとがありました。
※1) ホトケノザは越年草で、前年秋に芽生え、早くも年内に咲き出し、3月ともなれば畑や空き地、裸地斜面など一面を覆い、遠目には赤紫色の絨毯に見えるほど繁茂します。
草丈は10~20cm。茎の上部の葉腋に長さ約2cmで紅紫色の小さな唇形花をたくさんつけます。
その長い首の下の方に蜜が入っています。
開花せず蕾のままで結実する閉鎖花も多数混じっています。
花期は2~6月、分布は本州、四国、九州。
※2) 種の1端に付着している白い物質には、エライオソームという成分(脂肪酸、アミノ酸、糖からなる化学物質)が含まれています。
アリの大好物(誘引物質)で、これを目当てにアリが集まってきて、種を巣に運んでいってエライオソームを食べてから種を捨てる、あるいは運ばないでエライオソール成分だけを舐めとることもあるそうです。
エライオソームを付ける種子はその様な手段でアリに寄る拡散をはかり、分布を広げて行きます。
この様な種をつくる植物は他にもカタクリ、スミレやムラサキケマンなどがあります。
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