ウチワヤンマ、オオヤマトンボ
先に余談を:
・先日(2017.8.23)、スイス南東部で土砂崩れ災害が発生。
原因は温暖化により山の永久凍土が溶け、水圧が岩を押し出したことなどと見られるとのニュースが伝えられました。
いささか旧聞の蛇足ながら、かつて,訪れたことのあるスイスで、温暖化の影響で氷河が融けて後退が加速され、1900年から2000年の間に1、870m後退したという事実を表示した案内標識 -『後退する氷河』-という位置から見たモルテラッチ氷河の光景です。
(2009年7月筆者撮影)
速度を速めて後退を続ける、灰色に汚れた氷河の末端は多くのことを物語っていました。
・またアメリカではハリケーン”ハービー”が現地時間25日(金)夜、テキサス南東部に上陸。中心気圧は938hPa、最大風速58メートルの勢力。
上陸後、停滞し続けたため、アメリカ南部テキサス州では、未曾有の洪水が発生、なお豪雨が続く予報という、生々しい映像報道が目に飛び込んできます。
温暖化にともなう地球規模での天変が発生するようになり、安閑としていられなくなりつつある世界の気象情況です。
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当地は6月7日梅雨入り、そして7月19日に梅雨明け。
しかしその間の降雨量は少なく、2年連続の少雨の梅雨となりました。
その後は「天変」が続いて現在まで日照不足。
近隣の稲刈りも遅れているようです。
本題です。
■調節池:ミニチュア自然のトンボ:
ミニチュア自然の池も「天変」の影響。
同じ「池」ではあっても、溜め池などと異なり、「天変」の影響は大きく、調節池の水位は、その本来機能からして大きな水位レベル変動を繰り返すため、調節池で暮らしている水生昆虫仲間も大きな影響を受けています。
特に平地や丘陵地の抽水/挺水植物が生える比較的大きな池沼/湖などに生息する「ウチワヤンマ」や「オオヤマトンボ」も姿を現しますが、見られる頻度や時季などは年度によっても大きく変動します。
今シーズンは初めて見かけたのは7月下旬からで、これまで絶対数もかなり少ないです。
●ウチワヤンマ(サナエトンボ科ウチワヤンマ亜科):
オオヤマトンボより生息数は多く、縄張りにしている池水面から突き出している抽水/挺水植物の(枯れ)茎先に静止していることも多く、また、他の個体やシオカラトンボ、オオヤマトンボなどが接近すると直ちにスクランブル発進し、ほどなく戻ってきますので、観察は容易です。
・小型の甲虫らしき獲物を捕捉して食べていたウチワヤンマ。
※ウチワヤンマ:
大きさ約80mm。腹部の先端に、うちわ型の突起を持つ、大きなサナエトンボの仲間。
出現時期は5~9月、分布は本州、四国、九州。
●オオヤマトンボ(エゾトンボ科オオヤマトンボ属):
池で観察できる個体数は少ないオオヤマトンボです。
ウチワヤンマの生息する池の水面で、やはり、縄張りを岸辺に沿って何回も繰り返しパトロールにやってきます。
ウチワヤンマと異なり、(日中)見ている限り、何処かに静止する様子はまず見られないため、なかなか撮れません。
同じ水辺に縄張りを持つウチワヤンマに接近すると、直ちにスクランブル発進してきますが、無視しているように悠々と飛び去っていきます。
その繰り返し行動から、縄張水面の枯れ茎に静止しているウチワヤンマにピントを合わせておいて、接近してくるオオヤマトンボを自動連写モードで撮影して何とか撮れた不鮮明な画像を掲載しました。
・縄張りに静止していたウチワヤンマ
(なお今回は珍しく、ウチワヤンマはスクランブル発進しませんでした。)
※オオヤマトンボ:
大型のトンボで、腹部は黒色の地に黄色の条斑があり、頭部と胸部は金属光沢のある青緑色。
腹部第7節によく目立つ黄色斑があります。
出現時期は5月~9月、分布は日本各地。
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