ムラサキツバメ
天候不順続きのため、すっかり足が遠のいていた公園で。
たまたま午前中だけ晴れた9月1日(午後から雨に)の公園。
昨年、大がかりな伐採と強剪定が行われて味気なくなっている林地の遊歩道で、目の前をあまり見慣れない茶色っぽい小型のチョウが横切って飛び、近くのクロガネモチに止まりました。
見上げる位置で葉も邪魔でしたが、確認のためレンズを向けてみました。
翅は閉じたままで静止していて、開く様子はありません。
少しずつ位置を変えながら3回ほどシャッターを押したところで飛び去ってしまいました。
●ムラサキツバメ(シジミチョウ科) :
まともに撮れていたのは翅を閉じて静止した1枚だけでした。(翅を開いた画像はありません。)
(画像はクリックで拡大します。)
原画をパソコンで拡大して見るとムラサキシジミに似ていますが、ムラサキシジミより一回り大きく、後翅に尾状突起があり、裏翅に特徴的で明瞭な紋様があることから(♀?)、以前に一度だけ、わが家の庭で確認したことがあったムラサキツバメと判断しました。(表翅の情報がありませんから雌雄の別は不明です。)(撮影2017.9.1)
※本種は温暖化により北上を続けるチョウの1つとして注目されてきました。
2000年頃前後から当(埼玉)県でも観察されるようになっていたようで、その北上の要因分析が行われています。
関東地方へ侵入したムラサキツバメの耐凍性(体組織の凍結に耐えうる性質)を調査した結果、過冷却点(体組織の凍結開始温度)は意外に高いため、本種が耐寒性を増大して北に分布を拡大したという可能性は低く、やはり分布の北上は気候の温暖化によってもたらされた可能性が高い、と報告されています。
(長田志朗、嶋田知英:埼玉県におけるムラサキツバメの分布拡大、日本蝶類学会誌、31、18-23、2002.)
なお、北上の要因としては、温暖化による自然分布拡大の他に、ムラサキツバメ幼虫の食葉樹であるマテバシイが街路樹や公園植樹などとして移植されていることや、あるいはまた放蝶などの人的影響も考えられているということです。
なお散歩コースの公園にもマテバシイが数本植樹されています。
(マテバシイ画像再掲)
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