コフキトンボ♀、通常型/オビトンボ型
■コフキトンボ:
コフキトンボ♂に関しては昨年8月にすでに記事にしています。
特別珍しいトンボではありませんが、雌には雄に類似した体色の個体の他に、オビトンボ型と呼ばれ、翅に茶褐色の帯斑がでてくる異色型の個体が存在することが知られています。
そして昨年夏~秋シーズンの池では比較的多数のコフキトンボが観察できたので、夏に♂だけ、とりあえず(上記の)記事にしていました。
その後も、時折池に出かけた際は♀の個体、そして特に、オビトンボ型の異色型を探して観察をしていました。
そして幸い一回限りでしたが、オビトンボ型にも遭遇していましたが、記事にはしていませんでした。
今年も夏から秋、池に観察に行って見ましたが、今季は池の出水変動が大きくて、池で見かけたトンボの数は激減。
シオカラトンボだけはそれなりに見かけましたが他は少なく、コフキトンボもごく少数の♂を見かけただけでした。
そこで遅ればせながら、まだ記事のないコフキトンボ♀の通常型と、オビトンボ型について今回、コフキトンボに関する続報としました。
♀の画像は一部通常型を除き、2016年9月下旬から10月初旬に撮影したものです。
●コフキトンボ♀(通常タイプ):
(以下の画像はクリックで拡大します。)
・2016年9月下旬撮影♀個体①:
・個体②胸部拡大:
毛深く、また特異的なパターンの黒条があります。
・同上個体の腹部拡大。。腹部第2,3,4節にヒダがある。(シオカラトンボと区別できる。)
●コフキトンボ♀「オビトンボ型」:
2016年.9月下旬の複数日に観察、撮影しましたが個体数は少なく、以下の画像はすべて同一個体かも知れません。
・2日後に再度見かけた個体ですが、前回撮影と同じ個体かも知れません。
なお、こちらは池水面ではなく、傍の草地に造られた小規模のビオトープ池の水面上に頭を出していた雑草の枯れ枝にとまっていたもので、遠景(背景)色は草地の色になっています。
ついでに、あらためて今夏見かけたコフキトンボ♂も再掲。
・コフキトンボ(黄色丸印)が暮らしている池の風景はこんなところ。
ほとんど例外なく、岸辺から少し離れた水面に出ている枯れ茎などに静止しています。
●コフキトンボ♂:
2017年7月下旬撮影の複数個体:
体は毛深く、また粉を吹いています。
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※コフキトンボ(トンボ科コフキトンボ属):
平地の抽水/挺水植物が生える池沼などに生息しています。
近くの池ではほとんどが、水際から離れた水面上に立ち上がった抽水/挺水性植物の茎先に止まっています。そして水際から離れることはまずありません。
・♂は縄張りを持ち、他の♂が侵入してくるとすぐにスクランブル発進し、追い払うと元の位置に戻ってきます。
雌雄ともに、待っていれば止まってくれるので、撮影は容易です。
♂は成熟すると全身に白い粉をまとうようになり(→コフキトンボ名前の由来)、一見シオカラトンボに似ていますが、コフキトンボのほうが小ぶりでずんぐりしています。
また複眼の色はシオカラトンボ♂の複眼は青色、♀は緑色なのに対して、コフキトンボ♂の複眼は濃褐色です。
胸部の斑紋もシオカラトンボとは異なり、さらにシオカラ トンボの腹部には第2、3節にしか“ヒダ”がありませんが、コフキトンボの腹部には腹節第2、3、4節に“ヒダ”があることなどで、撮った写真を確認すれば区別は容易です。
・♀には2型があります。
1つは♂と同色のタイプで、こちらは成熟するにつれて♂同様、胸部や腹部に白粉をまとうようになります。
もう一つは「オビトンボ型」と呼ばれ、翅に茶褐色の帯斑がでてくる異色型の個体で、成熟しても白い粉はつけません。
このオビトンボ型の分布は地域によって大きな差があり、この型の♀しか存在しないところもあれば、混在している地方もあるという不思議なトンボということです。
オビトンボ型について、関東は混在地域だそうですが、当地で観察できた限り、オビトンボ型の数はかなり少ないようで、見つけるとしつこく追っかけして撮りましたが少数で、期間も限定的でした。
実際、見かけられたのは、実質的には一回限りで,大変貴重な機会になりました。
出現時期は5~10月、分布は日本各地。
この後、さらに一番きれいだったオビトンボ型の観察記録があります。
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