ケヤキの実(痩果)
●ケヤキの実(痩果):
先日、雪が消えた公園まで自転車散歩に出かけました。
(余談ながら、相変わらず氷点下の最低気温が続いていて、未だに僅かながら先月の大雪の残骸が街中の日陰などにも残っています。)
・きれいに清掃されたケヤキの林縁歩道に、時折葉のついた小枝先が落ちていて、1つ拾い上げてみると、初めて実物を目にしたケヤキの実が1個だけ付いていました。
(画像①)
多分、先の大雪のあとで、まだ木に引っかかるなどして残っていたものが落下したのでしょう。
それで、改めて辺りに目をこらすと、大半は実が脱落して小枝だけになったものでしたが、まだ実が付いている小枝も比較的容易に拾うことが出来ました。
(画像②、③、④) (画像はクリックで拡大します。)
・実の形状は言葉で表現しにくいので、その場でアングルを変えて写真に撮りました。
(画像①及び③標品の実)
拾った小枝は持ち帰りそのまま室内に保存。
数日後、暇つぶしに改めて果実の写真を撮り直そうかと小枝に触ると、実は直ぐにポロポロと外れて転がりました。(全部で11個)
・拾い集めて撮り直した画像から、果実の様子が一応分かりました。
(画像はクリックで拡大します。)
大きさ(長さ)は約5mm、実の先端に2個の花柱が残っていて、また基部に雌花の花被があり、その中心部が枝に着いていたところ、など。
帰り際に改めて、裸のケヤキを望遠で見上げてみると、針金のような細い小枝に冬芽が付いているのがわかります。
(画像はクリックで拡大します。)
この春(4月)こそ、サクラ見物のついでに、”忘れていなければ” 双眼鏡を持って花の観察を、と思いますが・・・・・
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※ケヤキ(ニレ科ケヤキ属):
・高さ30mを越えることもある落葉の高木。特に関東平野では街路樹や公園木として広く植栽されています。
「県(埼玉)の木」に指定されていて「県の天然記念物」に指定されたケヤキが県内各地にあります。
・雌雄同株で雌雄異花です。
花は、新枝の先の小振りな葉の展開と同時(4月)に葉脇に付きます。
雄花は、花粉を風に乗せて飛ばす”風媒花”です。
高木の枝先に咲く小さな花を見上げての目視観察は、状況にもよりますが、難しさもあるのでしょう。
今まで、桜の見物には行くのに、同時期に咲いてはずのケヤキの花の観察記録がないのは、単にさしたる関心がないことと、高木を見上げて確認することをしないからでしょう。
■改めて図鑑などの情報元から備忘のため簡単なまとめを以下に。
・雄花は新枝の下部に数個ずつ集まって付き、4~6裂する花被と4~6個の雄蕊がある。
・雌花は新枝の上部の葉腋に通常は1個つき(まれに複数束生する場合もある)、雄花同様4~6裂する花被があり、雌蕊は1個、花柱は2こあり、”白いハサミ”のようにも見える。
雄花、雌花ともに、花弁はありません。
・花後、葉腋に緑色の未熟な果実が形成され、秋に熟します。
枝先にある、4~5枚の小さな葉がついた小枝で、葉の付け根裏側あたりに隠れるようについている不定形で長さ5mmほどの小さな粒が果実。
中にある種が硬い膜質の果皮でぴったり覆われている痩果です。
秋に小枝が枯れると実は暗褐色に熟し、枝から離れて落下するものと、枝に付いたまま枝ごと風に運ばれて散布されるもの(散布体)があるが、枝に付いたままのものの方が、より遠くまで風散布される。
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・余談:
箒を逆さまに立てたような樹形、いわゆる箒立ちと形容される樹形になる落葉高木のケヤキ。
公園にもたくさんのケヤキが植樹されて大木になり、小規模ながらケヤキ並木にもなっています。
酷暑の時季にはほっとする緑陰になっていたのですが、そのケヤキも思い切り強剪定が施されて、当分の間は哀れな姿をさらすようになりました。
近郊には、遠方からでも目立つケヤキの巨木とともに防風・屋敷林に囲まれたシンボリックな旧農家が点在していましたが、昨今、その実情は分かりませんが、ケヤキの巨木が切り倒されてしまう光景も、何度か目にしてきました。
時の流れと共に気候変動も生活環境・風景も変わります。
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