ケヤキの花(その2)
■前置き:
2018.4.6(金)
当日は全国的にも”春の嵐”になったようでしたが、当地の天気は曇り一時雨で最高気温23℃、ここまでは良かったのですが、午後から急激に風が強くなり強風注意報も出て、(当日)夜遅くまで強風が吹き荒れました。
・当日午後5時現在の気象衛星画像(一部のコピー):
その様な天候の当日、所用で午前中から外出していましたが、午後3時頃から急速に風が強くなり、時折小雨もパラつくようになったため、あわてて帰宅しました。
近くの団地前まで戻った時に、吹きさらしの広い歩道上で、吹きだまりになった道路境界縁石のコーナー沿いに、大量の茶色っぽい粒が堆積しているのが目に止まりました。
若葉の付いた新梢もたくさん吹き寄せられていました。
直ぐにケヤキ雄花の花がらとケヤキの新梢花序と分かりました。
団地の敷地/道路境界に2本植栽されているケヤキ大木から、役目を終わった“雄花の花がら”や、“花序の付いた小枝(散布体)”が強風に引きちぎられて飛来し、堆積したのです。
毎年、程度の差はあれ同じようなことは繰り返されているはずですが、これほどまでの光景は初めてのこと。
つい先日、公園で(それなりに苦労しながら)ケヤキの花を観察したばかりではありましたが、少し拾って帰り、再度眺めてみました。
新葉の付いた新梢花序(散布体)の形で(離脱)ちぎれて飛散した枝についている雌花の子房は、早くもが膨らんで大きくなり、2本の柱頭が嘴のように宿存して、”ひよこ“*のような外観の未熟果実(痩果)になっていました。
*(某老舗菓子本舗の和菓子“銘菓ひよこ”)
果実の稔る枝は細く、付いている葉も3~5cmの小さなもので、冬には木枯らしなどの強風に曝されるとそのまま脱落した枝は、(周囲に障害物がなければ)果実だけよりもはるか遠方に散布されて、種子散布に貢献する(分布域を広げる)ということがうなずける結果でもありました。
強風のおかげで労せずして“経過観察”が出来ました。
■ここから記録です:
(画像はクリックで拡大します。)
●強風の吹きだまりになった縁石沿いに、せき止められて散乱・集積した緑~茶褐色小粒のケヤキ雄花の”花がら”と新葉の付いた新梢花序
:
●ケヤキ雄花の花がら:
緑色の葯が開裂して花粉の放出も終わった”花がら”
小枝を観察してみました。
●1本目の小枝。
既に4箇所の雌花の子房が大きく膨らんで、その上に2本の白い柱頭がハサミのように飛びだして残って(宿存して)います。
・4箇所の雌花の子房拡大。
3の花には雄蕊の葯らしいものが見えて、両性花のように見えます。
●2本目の小枝:
先端部位には雌花、中間部には両性花らしいもの、基部には葯が開いた雄花が付いていました。
●3本目の小枝:
基部の方には葯が開いて花も終わりになった雄花の”花がら”が多数付いています。
●その他(両性花):
4本の標品を眺めていて、両性花ではないか?と思ったものをまとめてみました。
画像左最下段の花(両性花)では、真ん中に白い角のように見える雌花の柱頭があり、回りを囲むように雄蕊の開裂した葯から多量の花粉がこぼれ落ちている様子が観察されました。
その右も似たような感じでした。
こうして生長した後、木枯らしの強風が吹きすさぶ季節になると、茶枯れた葉と、褐色に熟した”ひよこ”のような形の小粒の果実を付けた小枝が「散布体」として離脱し、風に乗り,遠くまで運ばれて分布域を広げるのです。
●余談:
ヤノナミガタチビタマムシ:
先に公園でケヤキの開花を観察中、若葉の上に点々と黒ごまを播いたように、表記のケヤキの害虫が付いていて葉の蚕食しているのを見かけました。(撮影4/4)
小粒ながらその被害は場合によっては放置しがたいこともあるそうです。
※ヤノナミガタチビタマムシ(タマムシ科):
体長3~4 mm、背中に波形模様を持つケヤキの害虫。
卵から孵化した幼虫は葉の内部に潜り、ケヤキの葉を内部から食害しながら成長し、初夏に葉の褐変・落葉を引き起こし、時には木の存続に甚大な被害を与える恐れがある。
成虫になるとケヤキの葉を外部から主脈を残しながら食害する。
大木が被害を受けている場合は、ヤノナミガタチビタマムシのいる葉(樹冠)の位置が高いために、薬剤散布で駆除することは困難という。
冬の間は、剥離したケヤキの樹皮の割れ目に集まって成虫越冬し、若葉の展開と同時に活動を始めます。
とりあえずケヤキの花見関連フィーバーは目出度く終わりになりました。
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